私とあいつの関係性
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記事:みづき(ライティングゼミ・朝コース)
突然、あいつはやってくる。
毎月、
「やあ、元気にやってるかい?今週はよろしくな」
なんて、しれっと当たり前のような顔で訪ねてくる。
そして、堂々と一週間居座り続けるのだ。
気まぐれに突撃訪問を繰り返し、私の手間を増やすあいつ。
その態度に頭が痛くなったり、腰が痛くなったりする。
もう、来なくていいよ。面倒くさい。
何度思ったことか。
あいつは本当に手のかかるやつなのだ。
あいつが初めて私を訪ねたのは小学校の卒業式。
それからも、あいつは、何故かいつも重要なタイミングでやってくる。
初めて付き合った人との初デート、中学の運動会、高校入試、さらにはセンター試験。
もはや、厳しい戦いをともにくぐり抜けた戦友みたいになってくる。
そんな、手間のかかる、タイミングの悪いあいつだけど、尊敬する点がある。
それは、たくましさと健気さ。
どんなに私に疎まれようとも、どんなに出番が来なくても、
毎月、いつかは来るかもしれない出番のための準備を怠らない。
その準備が役にたつのなんて、長い一生のうちに数回程度なのに。
あいつは毎月、私を訪ね、ふかふかのベッドを用意する。
私の未来のために。
いつかは、私がこの手に抱くかもしれない、小さな命のために。
あいつは手間がかかるし、
頭痛を一緒に連れてくるし、
ほとほと面倒くさいやつなのだけど、
けなげで、逞しくて、愛おしい、私のパートナーなのだ。
ここまで読んで、「あいつ」の正体に気づいた人もいるだろう。
そう、「あいつ」は多くの女性が一生のうち半分以上付き合っていくであろう、「月経
のことだ。
私が「あいつ」との関係を改めて考えるきっかけになったのは、1つのショートムービーだった。
月経への無理解に苦しむインドの女の子の話。
生理=穢れという偏見が蔓延するインドの社会。
月経がなぜ起こるのか、理解している人は極端に少ない。
生理中の女性は穢れているとされ、同じ家で眠ることや、食べ物に触ることすら許されない。
月経がはじまると精神的苦痛から学校に通うことができなくなる女の子も大勢いる。(インドには女の子用の個室トイレがない学校が多いのだ)
月経のための設備や用品もなく、不衛生な処置を強いられる。
インドのこのような環境は衛生面でも、精神面でも女の子に苦痛を与える。
私は、このショートムービーに衝撃を受けた。
日本では、
月経だからといって、遠のけられるなんてことは絶対ない。
どこでも生理用品は手に入るし、
それについてのCMも堂々と行われているくらいだ。
そんな日本の状況に慣れ親しんだ私は、月経について、深く考えたことなんてなかった。
でも、
よく考えてみたら、
月経って、新しい命を生むための準備だよね。
みんな、そいつが作ったふかふかのベッドの中で、
スクスク大きくなったんだよね。
それはきっと、神聖で、尊いもののはずだよね。
それを「穢れ」だなんて考えてしまうのは、悲しい。
私はインドの状況にショックを受けたけど、
日本でもひと昔前までは似たような状況だったらしい。
月経は「穢れ」だと考えられ、女性たち自身も恥ずべきものと考えられていた。
生理中の女性を隔離する地域もあったという。
そして、そんな日本社会でも月経に関する知識の普及、生理用品のマーケティング戦略や大衆化を通して、少しずつ月経に対する穢れのイメージが払拭されていった。
今、インドでも精神面で、衛生面で、女性が月経に苦痛を感じなくてもいいような社会づくりが進められているらしい。
インドだけでなく、世界中にはまだまだ月経に対する理解が進んでいない場所もあるだろう。
いつか世界中の人々が、
女性の尊い体の変化に、
未来の小さな命のための準備に、
肯定的な感情をもてるようになれたらいい。
そのために、私が今できることをやろう。
それは募金をすることかも知れないし、
自分にやってくる「あいつ」の尊さについて考えて、発信することかも知れない。
私にとって、「あいつ」は、
手間のかかる、面倒くさいやつだけど、
けなげで、頼もしくて、愛おしい私のパートナー。
今度、あいつがやってきたら、時々はあたたかく迎えてあげよう。
いつも、おつかれさま。未来の小さな命のためによろしくねって。
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