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メディアグランプリ

さぁ、本屋さんに行こう!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【9月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岩本 義信(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「ごめん! 帰るの1時間遅くなるm(_ _)m」
 
先日、私は都内のとある本屋さんから妻にLINEでメッセージを送った。
私が本屋さんに行った時は、ほぼ毎回こんなメッセージを妻に送っているので、約束の時間通りに帰ってこないことは妻にとっては想定の範囲内になっている。
 
私は本屋さんが好きだ。
幼稚園の頃から、半世紀が経過した今になっても今なお好きだ。
本屋さんに行くとどうしても長居をしてしまう。
長居する理由は、私が優柔不断で買う本を即決できないからという根本的な問題はさておき、本が好きということ以外に、それだけではない何かが本屋さんにはあるような気がしている。最近、天狼院や会社を辞めた後輩が勤務している本屋さんに通うようになって、あらためてそのことを強く感じるようになって、それが何かを考えてみたくなった。
 
本屋さんの店内に入ると、「いらっしゃいませ」の店員さんの声と共に、紙のにおいなのか、印刷のインクのにおいなのかはわからないけれど、本屋さん独特の匂いに包まれ、私はそれだけで幸せな気持ちになる。ここに来るまでに心の中に抱えていたストレスや緊張感は一瞬で消え去り、心が落ち着き、自分の世界に入り込める。新たな知識を得たり、悩みを解消したりしに本屋さんに来るのに、その前に本能の部分を満たされてしまうというのは妙ではあるけれど、それも魅力の一つである。
 
本屋さんの匂いに気持ちを満たされながら、前から気になっていてまだ買えていない本のあるコーナーに向かう。
「え~っと、確かこの辺りだったよな」と前回来店時の記憶を元に棚に目を走らせ、お目当ての本が見つかると、「お、あった、あった!」と嬉しくなるが、実際のところは、売り切れてしまっていることが多い。その時のくやしさたるや言葉にしがたく、「あー、なんであの時買っておかなかっただろう」とひどく後悔する。何度か痛い思いをしたので、今では、欲しい本は無理してでも出会ったその時に買うようにしている。
 
それから、他のコーナーを順に見て回る。新刊のコーナー、売り上げランキングのコーナー、単行本のコーナー、ビジネス書のコーナー等々、本の背表紙に、平積みの本は表紙に、POPがあればPOPにザーッと目を走らせる。本当にザーッと見るだけなのだが、なぜかその途中でふと目が止まる本が出てくる。その本を手に取って、裏表紙のあらすじを読んで、ページをパラパラめくってみると、だいたい「あ、これいい!」となってレジに持っていく。たまに、買うのをためらって、一旦棚に戻してしまうこともあるけれど、結局また手に取って買ってしまうことが多い。そんな意図しない偶然の出会いはまさにセレンディピティとでも言おうか、ネット書店では味わえない、本屋さんならでは醍醐味である。
 
本探しに夢中になっていると気が付かないが、視線を他に向けると、他のお客さんも静かにそして真剣に本を探している。本屋さんは、本好きの人や、知識を得たい人、何かに悩んでいてその答えを本に求めている人が、本を買いに来る場所だ。好きなもの、必要なものを買いに来るという点では、洋服だってアクセサリーだって食料品だってみんな同じなのだが、本屋さんは他の商品のお店と明らかに違う雰囲気がある。それは、お客さんが数多くの本と対峙しながら、自分が今何を欲していて、そのためにどの本を買うべきかについて脳をフル回転させて考えているというところだ。少々大げさかもしれないが、それはあたかも美術館で絵画や彫刻作品を前に立ってじっくり観賞する人たちの姿と重なるところがある。洋服や電化製品等は、外観や性能で購入後のイメージは察しがつくが、本は本屋さんで最後まで読むわけにはいかないので、自ずと買おうと思っている本が今の自分にピッタリな本なのか、本当に読んでおもしろい本なのか、役に立つ本なのかを、本を手に取って裏表紙のあらすじを読んだりしながら想像力と推察力をフル回転させて本選びをするのである。きっとその真剣な思考から発せられるオーラというか波長のようなものが本屋さんの雰囲気を作っていて、私はその独特な空気感が好きなのだと思っている。
 
そして、最終的に選んで購入した本への期待感、ワクワク感、ドキドキ感を心に秘めながら、家路に向かうのがまたいいところである。家に着くまでにそのワクワク、ドキドキが我慢できないときは電車の中で読み始めることもある。その時の状態というのは、まるで映画館で本編映画の前に上映される映画の予告編で、映画の面白い部分のさわりだけを見せられて、「あー、この映画見たいっ!!」となり、その映画の公開を待ち望んでいる心境とよく似ている。このワクワク感はリアル本屋さんならではだと思う。
 
このように考えてみると、本屋さんとは、単に本を売るだけのお店ではなく、心を癒してくれるリラクゼーションスポットであり、予期しない、もしかしたら人生を変えてくれるかもしれない本との出会いをプロデュースしてくれる出会い系スポットあり、悩みを解決する本を提供する人生相談所であり、ドキドキ、ワクワクをくれる映画の予告編であり、といろんな側面を持っていて、かけがえのない存在だと思う。
 
本屋さんにはこんないろんな素晴らしい側面があるけれど、私が一番の魅力だと感じるのはそこに「自由」があるからだと思っている。
 
人間誰しも、日々、生活面、健康面、経済面等で何らかの制約を受けながら生きている。会社での上司、家庭では夫または妻、学校では先生や先輩など、ああしろ、こうしろと言ってくる人たちがいる。しかし、本屋さんで本を選んでいる時間は皆「自由」だ。
本屋さんで費やせる時間と予算には人それぞれに制約があるが、その制約の中においては極めて「自由」である。哲学書から成人雑誌に至るまでどのジャンルにするか、どの本を買うか、何冊買うか、誰の指示も命令も受けず、自分の意のまま欲するところに従って、数多くの本の中から買いたい本が選べるのである。これは一見当たり前のことのように思われているが、こんなに自由な時間は通常の生活でありそうで意外と無く、本当に豊かで得難いことなのだ。
 
日本の書店数が約20年の間で2万2千店から1万2千店に激減している。1万2千店のうち、教科書販売のみの店舗も含まれているので実際の店舗数はこれよりも少ない。これは、単に本屋さんという業態のお店が減っているということだけにとどまらず、私たちにとって精神的な「自由」を享受できる貴重な場所が激減しているということだ。
 
私たちに自由な時間と場所を提供してくれる本屋さんは日本に必だし、ずっと存在していてほしいと私は思っているので、目が見えて本が読める限りはこれからもずっとずっと本屋さんに通い続ける。
 
<終わり>
***

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2018-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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