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メディアグランプリ

パシリの品格


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村山千尋(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「おい、焼きそばパン買ってこい!」
 
人びとの持っているパシリのイメージはこの一言に集約されていると思う。
何故か分からないが、私はパシリというと焼きそばパンを買いに行かされるやせた男子中学生を思い浮かべる。決まって、命令する側は体格のいいいじめっこがいて、その周りにはスネ夫のような取り巻きがいる。
 
強い者が弱い者に命令し、思い通りに使う。弱い者はただただ言われたとおりに動き言いなりになる。きっとこれを読んでいる皆さんの脳裏にもそのような光景が浮かぶだろう。ドラえもんなら、のび太とジャイアンだ。
パシリにポジティブなイメージを持っている人は決して多くは無いだろう。
だからこれを読んでいるあなたは、「自分は絶対パシリにはなりたくない」と思っているはずだ。しかし、これを読み終わるころパシリを目指したくなるに違いない。
何故ならパシリはすべての仕事に通じる大切な要素を持っているからだ。
 
それを気づかせてくれたアルバイトの話をしよう。
大学に入りたての頃、まだ一人暮らしに慣れない中、私は社会人向けのビジネススクールでアルバイトを始めた。初めてのアルバイトだった。初めて企業の真っ白なオフィスに入り、緊張した面持ちで机に向かっていた。パソコンのキーボード音が雨のように鳴っているかと思えば、突然静かになる。緊張感の立ち込める部屋で所在なさげにパソコンに向かって作業をしていた。
 
アルバイトだったので当然その現場全体のことは一割も分かっていない。その現場で行われている業務フローの一部を担当し、きちんとこなすことが私のその場所での役割だった。
 
言われたことを、言われたとおりに早く正確に……。
結果的に3年以上勤務することになったのだが、最初の1年間は言われたことをどれだけミスなく出来るのかということにのみ着目していた。
 
だが、ある日社員さんとの話の中で自分の役割について考える機会があった。
「精一杯考えながら働いてる?」
その問いかけに即座には答えられなかった。なぜなら無思考に言われたことをただこなしていただけだったからだ。
 
その会社の方針として、アルバイトは社員さんの仕事の一部を請け負ってなるべく社員さんが他のもっと難易度、重要度の高い仕事に向かえるようにするための役割として雇われている。
確かに言われたことを正確に行うことは社員さんにとって役に立つことかもしれない。だが、きっと私の使命は『この仕事を完璧に終わらせること』ではなく『社員さんを助け学校として顧客に与える価値を最大化すること』だ。
 
その時から私はパシリへと変化した。
自分の命じられた仕事はミスの無いように抜かりなくこなし、周りに目を向けてこの現場が何を欲しているのかを精一杯考えた。
ゴミ箱、コーヒーメーカー、冷蔵庫、机、いす、棚……。そういったものに目を向けて休みなく動いた。お昼を買ってくる話をしていたら、買いに行きましょうか? と割って入った。本来言われていない領域でも必要と感じたら確認して不明な点があったら質問した。忙しい社員さんが見られていないであろう細かいところに目を光らせるようになった。
 
「おい、焼きそばパン買ってこい!」と言われる前に焼きそばパンを買い、言われてもないのにコーヒーと灰皿をつけて渡すようなイメージだと思う。パシリの進化系だ。
 
そうすると、世界が変わった。
ちんぷんかんぷんだった現場では、必要なことがある程度分かるようになった。
一部のみを命じられていた存在だった自分が、いつのまにかそのチーム全体のことを考えるようになった。今までは、ただのアルバイトだから……と遠慮していたがオフィス内で堂々としていられるようになった。
 
私は現在丸3年間バイトを続け、大学4年生になった。
就活で内定もいただき、現在内定先でアルバイトをしている。今はまだ自分の日々の教えられてたことをこなすことで精いっぱいだが、これからはすすんでパシリになろうと思う。
ここでの私の役割は何か? ここで出来ることは? みんなが必要としていることは?
 
パシリとして動き続けることが、本当にお客様のためになるサービスを提供することや、組織の中で役に立つ人材になるのに必要だと信じている。だから進んでパシられよう。
 
この現場に今何が必要とされているのか? を考え続けることは仕事やサービスの基本となることのような気がするから。

 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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