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メディアグランプリ

知識の数珠繋ぎ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小山 美和(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「だって、テソンが入隊してしまったからさ」
私は真剣に答えた。
姉は呆れた顔で私を見ている。
「いや、だからさ、韓国の男の人は30歳までに約2年間の徴兵制度があるんだってば! 何回も説明したよ」
これだから姉は、いつも人の話を聞いていない。
私が言っているテソンというのは、韓国のアイドルグループ「ビッグバン」のメンバーのことである。 言わずと知れたビッグアイドルである。
「私がなに質問したか聞いてた? 私がいつ、韓国のアイドルの話した?」
姉は、私がよく本を読むことを不思議に思っていたのだ。 今までは、せいぜい月に1冊程度しか読まなかった妹が、3日に1冊のペースで本を読んでいたら、なぜなのか聞きたくなるのも自然なのかもしれない。
でも、私にとっては自然なことだった。 今までは、ライブやテレビ出演など、ほぼすべての活動を追っていた私は、テソンが入隊してからというもの、時間を持て余していたのだ。 ファンになる前は何をしていたのだろうと思うぐらいだけど、私も初めは退屈で読み始めた本も、今では中毒のように本を読むのを止められない。 そう思うと、本ってテソンみたいだ。
そもそも自分が、韓国アイドルの追っかけになるなんて思ってもみなかった。 きっかけは、夜勤中に同僚に見せられたDVDだった。
その同僚は、聞いたこともないような韓国のアイドルにハマっていた。 といっても、私はそもそも韓国の芸能界って冬ソナ以外知らなかった。
いつもは忙しい夜勤も、その日は容態が急変する方や徘徊する方もいなくて、穏やかな夜だったから、今日ぐらいいいかと思い、一緒にDVDを見ることにした。
それは衝撃だった。 上手い! 歌も踊りも、なにこれ? これでアイドルなの?
そこには、日本では見たことのないようなアイドルがいた。 アイドル音痴の私にも分かった。 レベルが高い!そう思った。
衝撃と感動を覚えた私は、K-POPアイドルに夢中になった。 ちょうどそのころ転職し、毎日仕事のことで悩んでいたこともあって、心の拠り所を求めて、一気にのめり込んだ。
今まで経験したことのない新しい世界だった。 アイドルの情報収集のためスカパーに入ったし、他のファンと情報交換するのにツイッターも始めた。 これは、K-POPあるあるだそうだ。
そして、ビッグバンに辿り着いた。 その中にテソンはいた。 何度もライブに通ううちに、どんどん魅力にハマっていった。 ついには、ソウルにまでライブを見に行ってしまったのだ。 それは、テソンの誕生日を祝うためだ。
誰かが言っていた、「ライブに行く」って言っているうちは大丈夫だそうだ。「会いに行く」と言うようになったら、かなり重症らしい。
私は、誕生日を祝いに行ってしまったのだから、重度の病のようだ。
そんな重度の病の私の前からテソンはいなくなった。 これから毎日どうやって過ごすのか、大げさだけど、なんだか心が空っぽになったようだった。 いなくなって初めて、日々の活力をもらっていたことに気づかされ、何かに夢中になることの大事さを思わされた。

いつものようにツイッターでテソンの姿を探しているとき、その本に出合った。
その本は「拝啓、本が売れません」という自虐的なタイトルだった。 その時、商品が売れなくて困っていた私は、まるで自分のことの様に思い読んでみた。 面白い、大真面目にどうやったら本が売れるのかとしている行動が、そのままビジネス本のようだ。
青春小説をおもに書いている作家さんが、どうやったら売れる本を作れるのか、それぞれのプロに会いに行き、売れる工夫をしていく様子が、一生懸命でとても共感できた。 作家の熱さを感じて、応援したいと思うようになった。 本屋に行って、この面白い本をみんなに読んで欲しくて、平積みの上に置いてみたり、ずいぶん迷惑な応援もしてみた。 作家、本屋、出版社のことに興味を持っていくうちに、応援団になってしまっていた。 本を読むのも楽しいし、本屋に行くのも楽しい、出版社のコラムやイベントも楽しい。 そして私は、本にハマった。 本は不思議だ、読み終わるとまた次の本が読みたくなる。 というよりもまるで続巻があるかのように次の本を勧めてくる。
まるで本数珠繋ぎといった感じで、終わりがなく、さらに面白い本へと導いて行ってくれる。 もうこれは底なし状態である。
悲しい結末のときは、三日くらい落ち込んだりすることもあったが、それでも、分からなかったことが分かるようになることが楽しかったし、「無知の知」を深く感じることができた。
それまで悩んでいた職場の人間関係も、どうでもいいように感じるようになったのは、本のおかげだ。 今までは、問題を直視していなかったのだ、だけど本に出会い、自分自身が変わると問題が問題ではなくなった。
それは、本の中にはたくさんの物語があり、たくさんの方の経験が詰まっていて、読むことを通して体験しているのだと思う。 私が共感して読んでいるというより、本が、私の心を共感し悩みを吸い取ってくれているように感じる。 本はテソンを上回った。
 
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2018-11-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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