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平凡なサラリーマンが帰宅した夜にだけセレブになれる理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高木英明(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
最近、自分の部屋で急激に増殖しているものがある。
 古いマッキントッシュである。マッキントッシュと聞いて、「ああ、あれか」とピンと来る人はどれくらいいるのだろう。死語になっているのかどうかよくわからない感じのするこの「マッキントッシュ」という単語。みなさんはすぐにその物体をイメージできただろうか。
 マッキントッシュとは、今や世界一の企業に上り詰めたアップル社から発売されていたパソコンのことで、後継機種にはMacと略された名前がついている。MacBook、iMac、というアップルの大ヒット商品名を聞けばピンとくる人も多いのではないだろうか。2018年現在、アップルはiPhoneやiPadで大成功し、多くの人びとが同社の製品を使うようになった。日常生活の中で、使っている人を見ない日はないというくらいアップル製品は我々の日常生活の中に浸透してきている。
 しかし20年くらい前までは違った。アップルの主力製品だったマッキントッシュという名のコンピュータはどこへ行っても見かける類の製品ではなかった。職場や友人関係の中で、マッキントッシュを使っている人を探すのは一苦労だった。かくいう私も持っていなかった。現在のiPhoneなどに比べてマッキントッシュの普及率が低かったのにはいくつかの理由がある。一つに1990年代以降Windowsを搭載したパソコンがコンピュータ業界のスタンダードとなり、マッキントッシュは一部の業界を除いてマイナーな機種になってしまったこと。そしてなによりも価格が高額だった。激しい価格競争の中でWindows系パソコンは低価格化が進み、機能の面でも次々と進化していった。小型化も進み、モバイルノートが格安で手に入る時代になっていった。その時期アップルが発売したモバイルノートPowerBook2400の価格は40万円を超えていた。当時20代だった私の給料の倍の金額であり、気軽に買える商品ではなかった。極めつけは在庫が極端に少なく、店へ行ってお目当ての商品をピンポイントで探し当てて買うことが難しかった。取り寄せ依頼しても届くのに何カ月もかかることも多かった。
そんな高額でマイナーで希少価値の高いマッキントッシュが普及している業界もあると聞いたのはいつの頃だっただろう。マスコミ、医療、教育分野ではマッキントッシュが当たり前に使われているという。また音楽や芸術などの活動を行う人達には欠かせないアイテムだと雑誌やインターネットなどの情報で知った。ごく普通の安月給のサラリーマンだった私はそんな謎めいてきらびやかなイメージを帯びた「マック遣い」達の世界に興味を抱いた。Windowsで仕事の書類を作る事しか知らなかった私は、マック遣い達がマッキントッシュをどのように使っているのか、どんなソフトを使っているのかを無性に知りたがった。ネットや書籍をあさりながらその世界の片鱗に触れることを楽しむようになった。マッキントッシュを操り、何かを創造する将来の自分をイメージしながら、いつか手に入れて、創造的な職業に転職するのだと思うようになった。
 だが実際の生活では毎日の仕事に追われ、使うのはワードとエクセルの入ったWindowsパソコンばかりだった。それがないと仕事に支障をきたし、生活していけなかった。マッキントッシュに乗り換えることは勇気を伴う行為で、一歩も踏み出すことが出来ずにいた。
 あれから20年。アップル製品を購入するのに勇気を必要としない時代になった。携帯電話をiPhoneに変更することで互換性に困ることは無く、携帯会社の購入サポートにより、高額な現金を用意しなくてもiPhoneやiPadを手軽に入手できるようになった。オークションやフリーマーケットが普及し、店に行かなくても欲しい商品を検索し、配送してもらうことも可能となった。ネットで注文すれば数日で手元に届けてもらえる時代が来たのである。
 そうなると目に入るのが、かつて憧れたマッキントッシュだった。特にネットオークションでは信じられないような安価で商品を競り落とすことが出来る場合があった。同時期に類似品が複数出品され、入札者が少なかったり、出品者の評価が低すぎて、入札希望者がいなかったり。20年前、30万や40万だったマッキントッシュがほんの数千円で出品されるのも珍しい光景ではなかった。
現在、自分の部屋には6台のマッキントッシュが置かれている。それぞれの機種には20年前には20万円以上した高額なソフトが何種類もインストールされている。ソフトもハードもすべて中古品で、総額は5万円程度である。
 私の社会的な地位も収入も20年まえからほぼ変わっていない。しかし仕事を終えて自宅の部屋に帰ると、20年前には手に入れることのできなかった憧れの環境が待っていてくれるようになった。手を伸ばせばマッキントッシュに触ることが出来て、マウスを操作すればMac遣い達が使っていたソフトを操作することが出来る。
 ネットオークションと出会ったことにより、自分はどんな世界の住人にもなれる、ような気分に浸ることが可能になった。
 
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2018-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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