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北海道よりも寒い、東京の冬


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:西後 知春(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「先生、寒いです」
うん。寒いね。
「暖房、つかないんですか?」
つかないね。
この時期、とっても嫌になるのはこの会話。
だって、生徒たちよりも私の方が絶対に寒いって思ってる。
とっても寒がりなのだ。
昨年より東京に来た。
寒い場所が嫌だから、と南下してきたはずなのに……。
今まで、北海道と青森と東京に住んでみたが、一番寒いと感じるのは東京の冬だ。
 
北海道の冬はもちろん寒い。
寒いというよりも痛いに近い。肌がチリチリする。外での作業がある日は、全身ダウンを着ている様な状態にして外に出る。北極の人たちの格好が、羨ましい。あの、あったかそうなダウンのやつ。本気でそう思う。
 
北見市という場所は、オホーツク海に面している網走から車で1時間ほどのところにある。
そこに3年住んでいた。
夏は気温が30℃を越えて、冬はマイナス20℃を越す極寒な場所である。
なんでも凍る。バナナも凍る。外で濡らして振り回していると、タオルが直立する。
鼻毛も凍る。うっかり鼻を触ってしまうと鼻血が出る。
もちろん、水道もそのままにしておくと凍る。
だから、チョロチョロと水を出し続けるか、暖房をつけっぱなしにしておくか、水道を元栓から落としておくか。それしかない。
暖房をつけっぱなしにするのは不経済だ! それに何かあったら駆けつけられないっと思って水道を落として実家に帰ったのに、その元栓が凍った。
業者さんを呼んで、2〜3時間かけて解凍してもらう。
そして、なぜか業者さんに怒られる。ちゃんと水落としなさいっと。
なんで? 落としたのに……。
そう思うけど何にも言えない。直してもらっているから。
 
今朝はマイナス15℃だよ、っというと。
「今日はあったかいですね!」
っと返ってくる。
北見の女子高生は最強だ! っと思う。
スカートの下は、なぜかハーフパンツ。ジャージのやつ。
そして、タイツも履かずに素足!
側から見ると、どうみても埴輪。そんな格好。
そんなに冷える格好して、正気か? と思ってしまう。
 
真冬はガンガンにストーブを焚く。
手をストーブにかざす。
あったかい。ほっこり。うっとりする火の炎。
薪ストーブなんて最高だ!
薪に火をつけるのは、ちょっと億劫だし、難しい時もある。寒すぎて。
でも、一度火がつけばガンガンにあったかくなっていく。
さつまいもをアルミホイルに巻いてストーブの上に上げておけば、ホクホクになる。
甘くてあったかくて。うっとり。
 
それくらいに暖房をつけないと日中でも水道が凍ってしまう。
そう。北海道も青森もガンガンにストーブをつけるのだ。
東京の賃貸に住んでいると、部屋にストーブがない。部屋についていない。
あるのはエアコンくらい。
エアコンをつけても2〜3時間つけてやっと部屋が暖まるくらい。
寒い。寒いよ。そう思いながら、毛布に包まる。
東京に来て後悔はしていないけれども、あの真冬にストーブガンガンの状態でT
シャツでアイスを食べていた頃を懐かしく思う。
 
東京でも暖かい場所はある。
お風呂は暖かい。ほっこりする。
でも、急速に暖められる場所はないのだ。
ストーブの前に行って暖まる。それから行動。
その一時避難的な場所が東京にはないのだ。
 
そして。
もっと最強だと思ったのは、東京のいま勤務している学校だ。
暖房はあまり入らない。
昨年は15℃を下回ってやっと入れてくれた。
入ったとしても、窓全開にするクラスもある。
全開まで行かなくても窓を開ける。
感染症予防のためだ。
東京の冬はものすごく、ものすごーく乾燥している。
 
北海道や青森では寒いけれども雪があるせいか、湿度はある程度保たれている。
けれども、東京の冬はカラッカラだ。
乾燥のせいか、火事も多い気がする。
消防車が夏よりも多い気がする。
洗濯物を室内に干しておくと湿度がちょうど良くなる。
 
北海道出身の人に「東京の冬は北海道よりも寒くない?」と聞くと、首を縦に振る。
やっぱり。私以外にもそう感じている人がいる!
 
北海道にいるときは、セーター着ちゃうとストーブの前であっついからなー。そう思ってセーターを敬遠していた。すぐに脱ぎ着できる服を選んでいた。毛糸じゃないやつ。
ずっと不思議に思っていた。
テレビドラマを見ていると、役者さんたちはセーターを着て、その中にもたくさん着ている。
どうして北海道よりも暖かいところにいるのに、あんなに着込んでいるんだろう?
でも、今なら納得できる。
セーターとYシャツだけじゃ足りない!
もっと着ないと寒い。
ババシャツ? もちろん着ますとも!
だって、学校の中は寒いから。
あったかいところがないから。
だから、職員室に戻るとブランケットも手離せない。
モコモコの服も手放せない。
なんならダウン着たい。全身モコモコになるやつ。
それくらい、寒い。外とあまり変わらない気温だ。
 
でも、隣の席の先生は薄着だ。
そして、生徒たちもブレザーは着ているものの、寒いとは言いつつも、元気だ。
その元気、どこからくるんですか?
そのホットなエネルギー、私にください!
本気でそう思う。
 
今年は昨年よりも少し対策ができそうだ。
毛糸のカーディガン、モコモコブランケット、なんならモコモコのパーカーも用意して。
今年こそ、寒さに負けないぞ!
気合いだけは十分である。

 
 
***

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2018-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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