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ロックでカウンセリング


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:畑 陽子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
私は昨年末に参加したフェスであるバンドを好きになった。
それはロックフェスだったので、出てくるのは20年以上のベテランから10年くらいやってきた中堅バンド。ほとんどがロックをベースに激しいパフォーマンスで盛り上げていた。
そうしているうちに前から名前は知っていたバンドが登場してきた。私はどんな感じなのだろうとまるでイメージを持たずに聞いていたのだが、出てきた彼らは音楽を奏でてはいるものの、聞こえてくる言葉と言えばお笑いかと思うような歌ばかり。
軽く不意打ちをくらったようで呆気にとられていると、そのバンドのボーカルはオーディエンス上に飛び込んでくる。
この人たち何者?
今までかっこいいオンパレードだった会場内は笑いも混じった熱気に変わったように感じた。
 
申し訳ないけれど、歌が上手いわけでもなく正直見た目も音楽の種類も好きなタイプでもなかった。
でも……。
気になる!
 
ステージは20分ほどだっただろうか。始終驚いて終わったように思う。
全部のステージが終わり、ほとんど想像通り安定のかっこよさで大満足だったのだが、あのバンドのインパクトが一番大きかった。
早速帰り道にワンマンライブを調べ、一カ月後のチケットを購入する。
 
大きな会場のフェスからライブハウスに変わるし、どんなパフォーマンスなのだろう。
まるで次のデートを楽しみにしている気持ちと変わらない。
理由がわからないけど、気になるとは!
もう立派に恋ともいえるかもしれない程の高揚感があった。
こんなことあるのか、とびっくりしていた。
 
そう思ったのは、あることがきっかけに人付き合いの興味を失っていたからだった。
数年前のことだったが、気持ちの行き違いで仲違いや疎遠になることが続き、それから何かと一人で過ごすことが増えた。誰かと一緒にいるためだとか、分かり合うための努力が重荷で無駄に思えたからだ。
そんな日々の中で、行けばその時間内で楽しめるライブに行くことがもっぱら私のストレス解消になっていた。
誰にも迷惑をかけず、一人で完結できるからという理由だった。
だからこの変化はリアルな人間関係ではないが、一応人への興味には違いないので、
自分の感情変化に驚いたのだった。
 
これが何か意味するのかはまだわからないが、あるとしたら自分も変わるのだと気付いたことだろうか。
そうか、私は変わりたかったのか。
 
そういえば、以前占いでこんなことを言われた。
「今いる環境が保守的なら合わないはず。
周りには適当に合わせて、本音は別の場所で。むしろ海外の方が合いますよ」
 
そう言われて妙に安心する。わかっていたけど合わないのだな。
海外か……。じゃあ移住してみよう! と思うには大人になっていて、すぐに実行できるまでには至らなかった。
また本音を言える場所も特段思いつかず、そういう人間関係も私にはないのだろうと諦めてもいた。
 
でもちょっと正直すぎて恥ずかしいと思うようなことも振り切れるくらいの熱量で叫ぶ彼らの姿に、諦めが当たり前だった私は憧れさえ感じてきた。
 
正直に、上手く行かなくても訴えかけ続ける。
かっこ悪いとか関係なく、力強く素直に訴える。
もう人が何と言おうと間違いなくロックバンドだと今は言えるし、私にとってはカウンセラーだ。
イメージするカウンセラーとは違うが、
ストレートで激しい言葉だから私にも届いたのではないだろうか。
結果的にこんな私に気持ちの変化があったのだから、人付き合いもやってみようかなと思うようになっていた。
 
もちろんそれだけで人付き合いへの恐怖がなくなった訳ではないが、自分がそのままで表現することは諦めたくないと勇気をもらったのだ。
 
そうして何度かライブ会場に足を運び、お客さんも私と似たような雰囲気を感じるようになった。なんとも殻を破れないもどかしい感じで、分私も一緒だ。みんなこのバンドを見に来ることで、みんな結構悩んでいると安心し、自分も諦めずに現状を変えるパワーをもらいたいと思っているのだと思う。
 
あれから一年経ち、彼らのバンドも私もそんなに大きく変わらないが、私の方は少しずつ人付き合いを再開している。
少なくとも「どうせ○○だし」のような、心の中でネガティブな言葉は減ったように思う。リハビリ期間としてゆっくりちょうど良い人間関係を目指しており、諦めていた期間には感じられなかった希望は確かに感じられている。
そしてすぐに上手く行かなくても、ちょっとこじれたとしても、彼らのライブに足を運べば少しは前向きになれるような気がしているので、一見そんな雰囲気ではないが、私にとっての駆け込み寺のような存在が見つかり心強いとも思っている。
だから彼ら自身が節に希望している「売れたい」という願いをぜひ実現して欲しいかというとそれは微妙な気持ちになる。
本当にわがままだけど、手の届く範囲の人気でいて欲しいと勝手なことを希望している。
 
***

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2018-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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