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高齢出産のすゝめ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:芦野 雅代(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
高齢出産とは、現代では35歳以上を指すが、四半世紀前は30歳以上で高齢出産と言われていた時代があった。
この定義には医学的な根拠もあるのだろうが、女性の社会進出が進んだ現代において、若干の違和感があるように思える。
 
できれば20代で結婚したい、できるものなら出産もしたいと思っていても、仕事をしながら一生懸命生きてきた女性が、ご縁やタイミングを逃してしまい、気が付いたら40歳になってしまった、というのはよくある話。
多くの女性が、高齢出産を望んでいるわけでなく、若い時に産むことが叶わなくて高齢出産といわれる時期にさしかかってしまったのではなかろうか。
 
かく言う私も、望まずとも高齢出産になってしまった一人である。
 
私の場合は若い時から結婚や出産願望が強く、25歳で8歳年上の地方公務員と結婚。子どもについては20代後半で1人30代前半で1人産みたいと思っていたし、それが叶うと思っていた。結婚生活は毎日がとても楽しく幸せで、いつでも妊娠可能な態勢で待ち望みつつも、妊娠せずにまさかの30代に突入してしまった。
そして、結婚5年目に発覚したのは、夫の不貞。詳細についてはここでは割愛するが、気持ちを切り替えて、31歳で離婚に踏み切った。
 
離婚後、思い切って上京。結婚期間5年半のブランクはあったものの、池袋のとある会社に就職することが出来た。
そこで出会ったのは、キラキラ眩しい東京の働く女子たち。地方出身の私は自分がバツイチであることを半ば自虐ネタにして、会社の独身女子の仲間に入った。会社では一生懸命働き、そしてプライベートでもよく遊んだ。
 
会社の女子はみんな独身だったが、私よりは若かった。結婚も出産も、できるものならしたいけど、今は仕事が楽しくて、海外旅行や自由恋愛を楽しんでいるタイプの会社のみんなは、とても幸せそうだった。
そして、私の楽しい楽しい東京生活もあっという間に5年が過ぎた。
 
すっかり池袋に馴染んだころ、実家の父が末期がんで6か月の余命宣告をされた。
離婚後、地元に戻らず東京に飛び出してしまった私は、まだ親孝行というものをしていなかったために、東京での仕事をやめ、家財道具のほとんどを処分し、飼い犬を連れて実家へ戻り、父の看病をすることにした。
看病の甲斐虚しく、約1年で父は他界。
そして、私は不本意ながら36歳でニートになってしまったのである。
このままではいけないと、慌てて就職活動をし、なんとか就職するも、田舎の小さな会社の独特な社風に馴染めず、2年もたずに辞めてしまった。
 
将来に不安も抱きつつも会社員に絶望した私は、フリーランスという名のアルバイトのようなニートのようなことをしていた39歳で、前の会社で知り合った取引先の社長と結婚。
なんと39歳で念願の妊娠。そして、40歳で出産することができた。
 
あ、40歳でも出産できるんだった!
 
十数年の時を経て無意識のうちに、若い頃のような妊娠したい、出産したいという願望はなくなっていた。諦めてこそいないけど、目の前の現実を受け入れるしかないというくらいの熱量しか残していなかった。
PCに例えるなら、長らくポンコツだと思い込んでいた自分というマシーンが、実は妊娠・出産という高機能を搭載しており、意外にまだまだ使える現役マシーンだったということに気づかされた瞬間だった。
 
私は、これまでの人生で、結婚や出産に対して強く望んでいたし、多少焦ってもいたし、非常に前向きだった。
でも、叶わなかった。
望んで高齢出産を選択したのではない。
高齢出産のリスクや不妊治療などの知識もあった上で、できれば高齢出産を避けたいと思い、一生懸命生きてきたけれど、でも結局は高齢出産になってしまったのである。
待ち続けた甲斐があって、夢は叶ったが、妊婦健診の度に不安があったのは事実。芸能人の高齢出産で勇気をもらったのも事実。
 
私と同年代の独身の友人の多くは、結婚に至らないか、結婚しても妊娠が成立しない場合が多く、結婚や出産に対して否定的な人なんて一人もいない。
ただ、40歳を過ぎたタイミングで、主に病気で物理的に妊娠を望めなくなるケースはあると感じるが、日本全体の出生率が低下していることと、女性の出産願望があるかないかは恐らく関係がない。
 
仕事に夢中で一生懸命働いて、30代になってしまった人も、もしくは40代になってしまった人も、高齢出産になるからという理由だけでは、諦めないでほしい。夢があるなら40代でも追い続けてほしい。
 
私だけであろうか。
現代の35歳以上を高齢出産とするこの定義に覚える違和感とは、35歳という年齢が結構若いという感覚である。
そして、少々図々しいようだが、私は実は35歳の時くらいには28か29歳くらいの感覚で、40歳くらいの時には33か34歳くらいの感覚でいた気がする。
 
もしかしてこのままいくと、さらに四半世紀後には高齢出産の定義が書き換えられて、40歳以上になるかもしれないしそれ以上になるかもしれない。
いや、きっと、定義は書き換えられるであろう。
 
ただ、40歳の初産はハンパなかった。
出産に関するエピソードは別の機会に書くとしよう。
 
そして、ハイリスク高齢出産である子宮筋腫合併妊娠を乗り越えた40歳の超絶産後体調不良時には到底考えられなかったことが、42歳の現在に起こってしまった。
 
そう、まさかの第二子懐妊である。
40代の出産がアツい時代の到来か。
 
 
 
 
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2019-04-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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