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私が天職と出会うまでの道のり


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:浦井啓子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
2013年にフリーランスのキャリアコンサルタントとして独立した。今、6年目だ。
今でこそ、この仕事は自分の天職だと思っているが、ここに至る道のりの最中は、先が見えない険しい道のりだった。
その道のりこそが意味があると、今なら、笑って言える。
 
私の職業人生は最初からなかなか波乱万丈だった。学校を卒業し社会人になって、数々の企業を転々とした。どの仕事も面白みはあったが、ずっと何かが足りないと思っていた。ここは私の居場所ではない、と。足りないものが何なのかは、後になって分かることとなる。それは「やりがい」だ。
社会へ出て10年もしない間に何度も転職を繰り返す私は、次第に周囲の目や声が気になるようになってきた。何ができるわけでもない自分。自分勝手に会社を飛び出し、手当たり次第に転職活動をし、コロコロと仕事を変える自分。今度こそは一つの仕事を続けるぞ、と決意し始める仕事が、1年も経たないうちにまた「ここは自分のいる場所ではない」という心の声が囁き始めるのだ。
 
これまでの退職理由は、実に様々だ。仕事とプライベートのバランスが取れない働き方は自分にはできないと思ったし、大きな企業で多くの人が働く環境が好きになれないと思う会社もあった。先輩との人間関係がうまくいかないと感じ疲れ果てた会社もあれば、長時間勤務が日常茶飯事で、やってもやっても仕事が終わらず消耗した会社もある。お客様のためと思い心を尽くしてやる仕事は、上司から「そんなに時間をかけなくていい。もっと効率的な仕事をしろ」と言われ、納得できなかった。少し仕事が慣れてきた頃に、業務のやり方改善を提案したら「余計なことはしなくていい。言われたことだけやれ」と言われたこともある。接客から事務まで、いろんな仕事を経験したが、どこにもここが自分の居場所だと確信の持てる、全力を尽くすことができる会社はなかったのだ。
 
最初のうちは、若く血気盛んなこともあり、「こんな会社飛び出してやる!」と躊躇せず退職したが、それを繰り返すうちにどんどん心配になってきたのだ。自分の考えは間違っているのではないか、私は社会適合ができない不適合者なのか。そんな不安や疑問から、どんどん自信を失い、自分自身の自己肯定感が下がっていく。働くことができない自分は、社会に対してなんの責任も果たすことができない。こんな自分は、この社会に生きてていいのだろうか。そこまで思い詰めていたこともある。
 
「自分のやりたいことや、自分にしかできないことを仕事にしたい」と思うものの、実際には何をしたいのかわからない。何かをやり遂げた経験も少なく、そもそも自信を失ってしまっている自分が、自分を一番信用していなかった。まさに五里霧中。敵は自分自身だった。
 
転機が訪れたのは、意外にも「母」となったことだった。
 
社会人として悶々とした日々を過ごしていたが、ある年、子供を授かり産休・育休を取る事になった。自分自身にうんざりしていた私は、子育てを通じてこれまでの生活が一変するであろうことに、不安と期待を抱きながら産前休暇に入った。6ヶ月間の育休後に復帰する予定で、だ。
 
初めての子育ては、全てが初めてであり、戸惑いの連続だった。子が産まれる前に思い描いていた生活はほとんどが幻だった。産まれる前までは、テレビや本の中にある生活が自分や子供に起こるだろうと固く信じていたのだ。しかし、現実は全く違っていた。健康体だがとても感受性が強く、体力的には弱々しく生まれた我が子は、言葉を発するよりもずいぶん早くから自分の意思をはっきり持って生まれてきたのだ。「快・不快」も「好き・嫌い」もとても明確に持ち自己主張をする。
 
私はそこで初めて、自分がいかに自己中心的なものの考え方をしていたのかと思い知らされる事になる。良かれと思って考えたことや相手へしていることが必ずしも相手を喜ばせていない。
その事実、目の前で起きている状況に、私は強く困惑した。
 
対人関係には、常に相手があるのだ。
 
相手は、仕事の人であれ、友達であれ、我が子であれ、家族であれ、自分以外の他者が存在し、そしてその他者との関係性を良くすることや、相手を喜ばせることが、対人関係を円滑にする秘訣なのだ。私は自分のしたい事、自分が良いと思うことを人に押し付けてきていたのだということを、まだ生まれたばかりの乳飲児の我が子から教わったのだ。
 
自分の中の何かが、ガラガラと崩れ去っていった。いったい自分は何を信じて、何を感じて、どう行動したらいいのかが分からなくなってしまったのだ。しかし、自信喪失・自己嫌悪の中でも子育てはしていかなければならない。ましてや感受性の強い子どもというだけで、子育ての大変さの度合いは一気に増し、孤独感が募る。出産前に勤めていた会社に復帰し働くことは難しいと感じ、結局、退職することにしたが、「働きたい」という気持ちは大きかった。私にとって社会との繋がりはかけがえのないものなのだ。
 
子供が少し大きくなり、まずは短時間パートで働き始める事にした。久しぶりに外で働くことがただ嬉しく、新しい仕事に心から楽しむことができた。その職場で労務管理コンサルティングやカウンセラーの仕事にたずさわることになった。まさにこれまでの職業人生で私が苦労したことや、経験が全て生かされるような気持ちがした。しかしそれは社会が変わったのではない。自分が変わったのだ。自分の他者への向き合い方が変わっていたのだ。
 
その後、キャリアコンサルタントを生業とするために独立したが、この時得たものが、私の仕事や生活の全ての基盤となっている。
他者との関係性を扱い、自分自身の生き方を心地よいものにする。それがキャリアコンサルタントとしての私の仕事だ。とても誇りに思っている。
 
 
 
 
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2019-04-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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