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不便は究極のときめき。Facebookがマッチングアプリ化するこの時代に


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:江戸しおり(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
Facebookの新機能「Secret Crush」をご存知だろうか。日本での提供予定はまだないが、アメリカでは年末にも提供が始まる予定らしい。
 
これは、Facebook上で好意を寄せる人物をリストに登録しておくと、相手が自分をリストに登録した場合、お互いに通知がいくという機能だ。お見合いパーティーのカップリングのデジタル版というとわかりやすいかもしれない。
 
「Facebookもマッチングアプリ化する時代か」
 
人との出会いも、心を通わせることも、どんどん簡単になっているように感じる。
 
平成4年生まれの私にとって、ガジェット(電子機器)やITトレンドの移り変わりは、自身の青春とともにあった。
 
小学校5年生、2002年頃のこと。私は誰もいない台所で、冷蔵庫に貼られた連絡網を見るのを密かな楽しみにしていた。暇さえあれば好きな人の自宅の電話番号を眺めて、ちょっぴり恥ずかしい気持ちになるのだった。
 
しかし、教室では変化が起こっていた。「携帯を買ってもらった」と自慢する子がちらほら出てきたと思ったら、男の子と連絡先を交換したり、メールをしたりしている子もいるというのだ。
 
男の子は男の子同士で、女の子は女の子同士でいるのが当然だと思っていた私と違って、携帯を持った子たちはもう一段大人になっていた。お互いを異性とはっきり認識しながらも、一緒にいることを楽しいことだと知っているようだった。「男子キモいー。近寄らないでよ」と一緒に笑っていたはずの友達が先にいってしまった気がして、少し寂しかった。
 
中学に入ると、女子の間では「どうやって好きな人のメルアドを聞くか」「こちらからメルアドを書いたメモを渡してもいいものか」が真剣に語られていた。母と兼用ではあるものの携帯を持つことができた私も、みんなと同じように好きな人とメルアドを交換した。
 
学校で彼と口を聞くことは一切なかったけれど、携帯の中では絵文字付きのメールをくれることもあった。私はそれをいちいち保護(削除できないように)し、上限の1000件を超えそうになると、泣く泣く削除するメールを選ぶのだった。
 
当時、メールの送受信には数十秒のタイムラグがあった。iモードマークがだいたい7回点滅したらメール受信の合図だ。切り替わった「メール受信中」の画面に、彼専用のイラストが表示されて飛び上がる。「メールを受信しました」の画面が現れ、やっと受信メールが開ける。
 
今度は悪戦苦闘して作った数十文字の返信メールをなんども見直して、やっとの思いで送信ボタンを押す。「メール送信中」の画面がしばらく表示されて、その間にも「やっぱり絵文字はあっちの方が可愛かったんじゃないか」なんて後悔が押し寄せてくる。
 
それなのにあちらからはなかなか返信がこない。「まずいことを送ってしまったんじゃないか」と気になりながら、指は無意識に問い合わせボタンへ。
 
なぜかわからないけれど、メールが届かずにセンター止まりになってしまうこともしばしばだったので、暇さえあればセンター問い合わせをするのが日常だった。1度押すと止まらなくなって、10回くらい連続で問い合わせボタンを押し続けることもあった。
 
メールひとつで一喜一憂する。それが私たち平成初期生まれの日常だった。
 
そんな日常に変化が訪れたのは2011年頃。私は専門学校2年目だったが、この頃からiPhoneユーザーが周りに増えてきた。と同時に、連絡手段はメールから一気にLINEに移り変わった。
 
「ふるふるしよう」
 
その一言で、10秒後にはLINE交換が終わっていた。
 
あれ? 昔は好きな人との連絡交換って、もっとときめきがたくさんなかったっけ?
 
mixi、モバゲー、twitter……。気になる人に彼女がいるのか、どんな日常を送っているのか。昔だったら知りたくても知ることができなかった情報が簡単にわかるようになってしまった。
 
それからさらに8年。もう、「連絡先を交換しよう」と言うことすらなくなってしまった。
 
同じコミュニティに属していれば、グループLINEや何らかのSNSで簡単に相手のアカウントを見つけることができる。
Facebookで懐かしい名前を見つければ、指先ひとつで友達申請ができる。
メッセージを送るハードルも驚くほど下がってしまった。
 
私たちの青春は今と比べれば恐ろしく不便だった。でもそれこそが、なんとも言えないもどかしさやときめきを感じさせてくれる宝物だった。
 
よくよく考えてみると、
ポケベル世代、
固定電話しかなかった世代、
それよりもっと前の、電話すらなかった時代……。
人々は、私たちよりももっと強いときめきや困難を乗り越えて恋をしていたのだろう。
 
待ち合わせがうまくできず、すれ違ったまま終わってしまった恋。
誰が出るんだろう? ドキドキしながら好きな人の家に電話をかける毎日。
手紙だけのやり取りで膨らんでいく想い。
 
同じときめきを、この令和の時代に感じることはもはや不可能だろう。
 
だから私はこれから時折出会うであろう不便に、その都度小さなときめきを探したい。そして、「ありがとう」と感謝を言おうと思う。
 
 
 
 
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2019-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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