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メディアグランプリ

髪が長い理由


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:笹田 健史(ライティング・ゼミGW特講コース)
 
私の髪は長い。なぜロン毛なのか? 明確な理由が2つある。
ひとつにはオリジナリティーを作るということだ。私は今まで、アフリカ、アメリカ、東南アジアで仕事をしてきた。その場、その時でうまくいったり失敗したりもした。そして学んだことがある。それは、オリジナリティーやパーソナリティーが立たないと通用しないということだ。普通の格好、普通の性格、普通の言動だと注目されない、意見が通らない、相手にもされない。異国で成功するには、キャラを際立たせる必要があった。
アフリカでは、物理の教師でありながら、日本のマーシャルアーティストになった。ジャッキー・チェンの影響か、アフリカではアジア人は強いというイメージがある。私はそれを利用して
「私は空手の達人だ。俺の言うことを聞かなかったらわかってるな、お前ら?」
と、軽く脅しながら物理を教えていた。
アメリカでは頭のいい日本人トレーナー。アメリカでは、スポーツトレーナーとして働いていたのだが、体力やサイズではアメリカ人に勝てない。だったら物理の教師だった経験と日本人ブランドを使って、頭のいいキャラを築き上げた。こいつに聞けば何でも教えてくれると思ってもらえるように、聞かれたことは何でもわかりやすく、理論的に説明した。そのためにめちゃめちゃ勉強もしたのだが。
そしてタイでは、屈強なフィジカルコーチ。選手に対してある程度強く言えるように、という意図がある。その時はヒゲを生やし、坊主。体重は今の5kg増しだ。しかし、それは失敗した。坊主になるのは大抵、お坊さん、もしくは軍人だけのようで、タイの人々には思いっきり引かれた。何より女の子にモテなかった。
そして日本に帰ってきた後、私は髪を伸ばした。
「俺はそこらへんの日本人とは違うんだよ」
というメッセージが込められている。アフリカ、アメリカ、タイを経験して得た独自の個性が私にはあるのだという証明が、この長い髪だ。
この容姿のおかげで、人々が「こいつは何者だ?」と思ってくれるし、そこから話題が生まれる。容姿からキャラクターをイメージもしてくれる。これほど楽なことはない。人間性を理解してもらえれば、人間関係は作れたようなものだ。残念ながら、ロン毛は日本人女子にはモテナイのだが……
 
もうひとつの理由は、私のいとこだ。彼の名前はケン小塩、私は彼をケン兄と呼んでいる。ケン兄は20年以上も前にアメリカに渡り、今はアリゾナ、フェニックスで和太鼓のドラマーとして活躍している。そう、彼がロン毛なのだ。私は、彼に少なからずの憧れを抱いている。
私は数年前、アメリカのエルパスに住んでいた。ケン兄が住むフェニックスまでは車で7時間だったので、お正月はケン兄の家に居候し、ケン兄の彼女のえり子さんが作るおせち料理を一緒にご馳走になるというのが、新年の恒例になっていた。
ケン兄の家に居候する間、特別な日課がある。それは、フェニックスの名所、キャメルバックへの登頂だ。キャメルバックとは標高824mの岩山で、フェニックス東部の開けた平地にそびえる。毎朝4時半に起き、車でキャメルバックの麓まで行き、登頂。ご来光を頂上で見るのが日課だった。
その登頂が、結構辛い。急な傾斜に岩がランダムに敷き詰められ、人々の行く手を阻む。下半身の筋力とバランス感覚、そしてこの勾配がどこまで続くのかという不安に打ち勝つあくなきファイティングスピリッツが求められる。スポーツトレーナーの私でさえ、頂上付近では、膝が笑い、ふくらはぎが軽くつる。
ケン兄は信じられないことに、その難敵キャメルバックに桶胴太鼓と呼ばれる中型の太鼓を持って登るのだ。呼吸は一定で足取りは軽い、しかし一歩一歩は力強い。スポーツトレーナーの私が50歳を過ぎた初老のケン兄に置いていかれるのだ。
圧巻は、登頂してからだ。私がヘロヘロになって頂上の岩に腰をかけている横で、ケン兄はご来光に拝みながら、持ってきた桶胴太鼓を打ち鳴らす。リズムよく打ち鳴らされる太鼓のリズムと乾いたアリゾナの風、そして朝日に浮かぶケン兄の長髪に私は恋をした。将来、髪を伸ばそうと決意した瞬間だ。
 
確かに、髪を毎回洗うのは面倒くさい。しかしその面倒くささを上回るアイデンティティーと憧れがこの髪にはあるのだ。ちなみに、私の顔に生えている汚いヒゲは、アメリカ時代にお世話になった師匠のコーチ・アダムソンを真似ている。書いてみて改めて思う。人の容姿は、今までの経験を映し出すものなのだと。
 
 
 
 
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2019-05-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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