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メディアグランプリ

ニックネームが武器となる。


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小林千紘(ライティング・ゼミGW特講コース)
 
「はじめまして。ちくわです」
参加者のほとんどが初対面だったこの日、私は初めてこう名乗ったのだ。
この日まで、私にはニックネームと言えるものはなく、
ニックネームを聞かれると自分の名前を答えていた。
「あなたのニックネームはなんですか?」
何度も聞かれるその質問に困って、
思い浮かんだまま答えたのが『ちくわ』だったのだ。
 
この頃、私は京都に働きたいと思い、
京都と名のつくイベントにはよく参加していた。
京都のことを紹介したり、移住を勧めたりするイベントは関東や京都で頻繁に開催されている。
そのほとんどが参加者同士の名刺交換はしない。互いをニックネームで呼びあうのだ。
京都の何について興味があるかということを話すだけなので、
素性を明かす必要もない。
ニックネームを名乗る方が、ざっくばらんに話しができて良いのだろう。
私は、参加する時いつも自分の名前を名乗っていた。
気づいたことはニックネームで名乗る人の方が、
親しみがもてたり、イベントをきっかけに友人ができたりしていることだった。
自分よりイベントを楽しんでいるように見えてしまう。
もちろん、それだけが理由ではないと思いつつ、
ニックネームがあったらこういうイベントは、なにかが変わるかもしれないとも思っていた。
 
京都のことを好きな人同士、楽しく話せるこのイベント。
そこで知り合った方の数人は実際に京都へ移住していった方もいた。
気持ちのどこかで京都で働き始めた時に遊んでくれる友人を見つけられることを期待していた。
でも、そこで意気投合し、後の友人となる人には、出会うことはできなかった。
京都に友人ができれば、京都で働く決意が固まるのではないか。
そんなことを考えるようになっていった。
 
そんな時に参加を決めたのは、『京都のこれからを考える』をテーマにしたイベント。
京都の若者が100人ほど集まり、
トークイベントや互いの交流をもつのだという。
京都で行われるので、京都に住む同世代と知り合えるかもしれない。
そんな期待を胸に参加した。
 
会場に着いて、人の多さに驚いた。
そこで聞かれた質問。
「あなたのニックネームはなんですか?名札に書いてください」
正直、人が多すぎて舞い上がっていた。
私もニックネームで名乗ったら、今までとは違う出会いがあるかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。
ニックネームだったら、京都に住むきっかけをつかめるのかもしれない。
少しこじつけるように言い聞かす。
よし! 今回は自分の名前ではなくニックネームで参加しよう!
さて、ニックネームを何にするかが問題だ。
悩む時間はほとんどない。
頭をフル回転する。いいアイディアは出てこない。
そうこうしているうちに、受付の順番が回ってきた。
後ろに目をやると、いつの間にか並んでいる。
ここで悩むことはできない。
焦る気持ちの中、
一瞬頭によぎった『ちくわ』という言葉を名札に書く。
しまった。書いた後に後悔が襲う。
これで良かったのか?
こんなに勇気を出したのに、友だちができなかったらどうしよう。
イベントの開始を不安な気持ちで待つ。
そんな沈んだ気持ちで迎えたイベントで
私はこの『ちくわ』というニックネームに助けられることになる。
 
今思うと、初めて『ちくわ』と名乗った日がほぼ初対面の人たちと会う日で
良かったのかもしれない。
『ちくわ』という名前に対しての素朴な質問を投げかけられることで
興味をもってもらっていると感じ、気持ちが軽くなった。
そして、参加者の多くがノリが良かったこともあり、
なんと『ちくわ』は私の名前として定着していった。
 
驚いたのは、『ちくわ』と名乗ると、まず皆笑うことだ。
戸惑われているとも感じたが、初めて話す人との間で笑いが起きることは良いことだ。
続けざまにこう質問される。
「なぜ『ちくわ』なのか?」
「ちくわが好きなのか?」
おかげで、会話に困ることはあまりなかった。
そして、一度話した相手は、ほぼ全員私を覚えてくれていた。
100人の参加者の中で、変なニックネームをつけている人が少なかったから、
覚えやすかったらしい。
こうなると、どんどん楽しくなる。
気兼ねなく色々な人と話すことができたのだ。
気づけば今までで一番楽しめたイベントとなった。
 
このイベントがきっかけで、私は生涯大切にしたいと思う友人が何人もできた。
友人の一人が『ちくわ』と名乗った私の印象についてこう言う。
「100人もいるイベントではいろんな人がいたけれど、
『ちくわ』と名乗ったインパクトは大きかったし、印象に残った。
そして、この子絶対おもしろい!と思った人は多かったと思う。
だから、イベント後にご飯に誘った」
 
それまで私のことを面白がって一緒にいるという友人はいなかったように思う。
それが、イベントで知り合った友人は、私を面白いと言うのだ。
それは、『ちくわ』のおかげかもしれない。
でも、それがきっかけで面白いと思われることが嬉しかった。
自分が面白いと思われていると、
周りを気にして自分の考えを言えなくなるということはなくなった。
自分は自分で思ったことを伝えて良いのだと思えるようになったのだ。
気づくと、自分に自信を、もてていなかった私が
自分に自信をもつようになっていた。
 
時間に迫られて焦って決めた『ちくわ』というニックネーム。
初めて名乗った直後は不安でしかなかった。
それが、こんなにも私自身を変えてくれる武器になっていたことに驚きだ。
名前は自分の武器となる。
もしあなたが、今の自分を変えたいと思い、新しいコミュニティに飛び込もうとするタイミングだとしたら、
新しいニックネームで名乗ってみることをおすすめする。
そこで使うニックネームが、
今までの自分とは違う新しい自分に会える鍵となるのだ。
 
 
 
 
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2019-05-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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