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お風呂の排水溝が詰まった! 高圧洗浄で流した結果、そこに詰まっていたものとは? ~長年の苦しみを一気に流した瞬間


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ヒラタアキ(ライティング・ゼミGW特講コース)
 
お風呂の水が、ついに流れなくなってしまった!
 
最近、流れが悪いなぁと思ってはいた。だが、まぁ時間が経てば流れるようになるだろうと思い、そのままにしていたのだ。
市販の洗浄剤を買ってきては、あとは時間の問題だなと安易に考えていた。
 
それがアダとなった。
 
「流れが悪くなったときにすぐに呼んでほしかった」とは、業者さんの最初のひとこと。
 
流れなくなって焦ってしまってから、私はやっと業者を呼んだのだ。
 
バツの悪いことに、来てくれた業者さんは若くてカッコいいお兄さんであった。
こんなイケメンのお兄さんに、こんなお風呂を見られてしまうとは、なんとも情けなく恥ずかしい……。
 
だが今はそんなことよりも、流れなくなったこのお風呂のほうが重要だ。
気を取り直して、問題解決へと頭を集中させる。
 
お兄さんを見つめながら、ふと疑問がわいてきた。
 
そういえば、まず最初にアパートの管理会社に相談をすべきだったのではないか。
そのほうが、もしかしたら費用も安かったかもしれないし、自己負担をしなくてもすんだかもしれない。
 
しかし、平常心を失っていた私は、「人知れず、なんとかせねば!」「管理会社に知れたら大変だ!」と思ってしまったのである。
 
それが、いつもの私のパターンだ。
 
誰かに知られたら責められる! 怒られる! そんな恐怖心にかられ、誰にも相談せずに対処してしまう。
 
結果的に損をしてしまったり、遠まわりをしてしまうことも、しょっちゅうである。
 
「あれ? 自分で業者を呼んでよかったのかな?」 なんだか不安になってきた。
 
まぁ呼んでしまったものは、仕方ない。何よりも、今すぐ解決したかったし、違う人に来てもらうのも面倒だ。
 
「ここに住んで、どれくらい経ちますか?」
「7年です」
「おぉ! 7年か……。7年分の汚れが詰まってるってことですね。キビシイなぁ……。ひどい場合は工事が必要になる場合もあるんですよ」
 
えぇ!! 私はいったい、なんてことをしてしまったのだ!
 
心臓がバクバクしてきた。
 
流れなかったらどうしよう……
これは私のせいだ……
私の使い方が間違っていたのだ……
 
最悪の事態というものをたくさん説明された私は、自己嫌悪で胸がしめつけられた。
 
「バレたら怒られる」という気持ちが、頭を支配していた。
 
よくよく考えると、それはきっと営業の決まり文句だったに違いない。
最悪の事態を話すことで、万が一、解決できなかったときにも言い訳ができる。無事に解決できたら、より感謝されてお金をもらいやすくなる。
 
そんなことにまで思いが至らなかった私は、「自分はいつもこうなのだ」という自責の念にかられながら、話を聞いていた。
 
必要以上に「自分のせいだ」と思ってしまうクセが、私にはある。
 
ひどいときには、会社で上司の横領が発覚したときにも、「自分のせいだ」と思って落ち込んだ。私が注意していれば気づけたはずだ……、と。
そのときはなんと、数億円という金額を、経理部の部長が横領していたのだ。
 
そんなことさえ「私のせい」なのだから、世の中、生き苦しくて仕方ない。
 
とにもかくにも、今すぐ流したい。すぐ作業してほしいとお願いした。
 
業者のお兄さんが準備してくれたのは、「高圧洗浄」というものだった。強力な水圧で流すらしい。
 
作業が終わるまでの間、気が気じゃなかった。あんな緊張感は、二度と味わいたくない。あまりにツラくて、作業を見ていることはできなかった。
 
いろいろな思いが頭をよぎる。
 
なぜ、こんなにもパニックになってしまうのか?
なぜ、すべてが私のせいなのか?
なぜ、誰にも頼らず、一人で解決せねばならないのか?
 
もしかしたら、経年劣化という要因も考えられるではないか。
私の使い方が悪かったのは間違いないが、場合によっては、環境のせいだとも言い切れなくもない。
 
そのことは、お兄さんもさっき言っていた。
「パイプが古くなっていることも原因だとは思いますよ」と。
 
そうなのだ、私の考えはいつも極端だ。これがバレたら、あらゆる人から責められるという恐怖心でいっぱいになってしまう。
 
そのメンタルの弱さが、自分の行動をいつも制限しているのだ。
 
「自分が悪い」というのは、謙虚なように思えて、実はとても傲慢なことである。そんなに自分の影響力が強いわけがない。
 
そして、たとえ自分のせいだとしても、お金を払って作業してもらえばいいだけであって、そんなに怖がる必要もない。
 
しかし、「お前のせいだ」と叱られ、責められ続けた家庭環境のなかで、このパターンから抜け出せなくなっている。
 
「7年分の汚れが詰まってるってことですね」
 
お兄さんの声がこだまする。
 
7年どころじゃない。
数十年もの間、ずっと流し続けてきた「自分のせい」という思い。
 
それがパンパンに詰まり、がちがちに固まって、流れなくなってしまった。汚臭とバイ菌さえただよっている。
 
そんな「自分のせい」という思いを、きれいサッパリ取り除かなければ、私の人生は流れていかないのだ。
強力な水圧で洗い流さねばならない。
 
おそろしいほどにドンヨリとした頭を抱えながら、一人もんもんと、作業が終わるのを待ち続けていた。
 
そして、ついにきた、ひと声。
 
「終わりましたよ~!」
 
ドキドキしながら、現場へと向かう。
 
「よかったですね~! キレイに流れてくれましたよ!!」
 
お兄さんは満面の笑みを浮かべていた。
 
そのときの私の感激っぷりといえば、生まれて始めてメガネをかけてみたときの、あの新鮮な気持ちをほうふつとさせるようなものだった。ボヤけていた視界がいっきに鮮明になり、世の中が美しく見えた、あの感じだ。
 
「これからは、気をつけて使ってくださいね!」
 
なんて、いい人なのだろう。私の時間に合わせて来てくれ、私の悩みをすぐさま解決してくれる。
業者のお兄さんは、スーパーヒーローだ。
 
ドンヨリしていた頭が、パーッと晴れていった。「パーッと」という形容詞を、これほどまでに力強く、具体的に感じたのは初めてである。
 
キレイになったお風呂を見ながら、尊敬する人から言われた言葉を思い出していた。
 
「あなたは100%、悪くない」
 
涙がこみあげてきた。
 
今度からは、何かあったら管理会社にまず相談しよう。
私は何も悪くないのだ。悪かったとしても、そこまで責められることでもない。
 
私が高圧洗浄で流したものとは、「自分のせい」という積年の苦しみであった。
ものすごい力で、私の詰まりを洗い流してくれた。
 
すべては私のせいではなかった。
 
 
 
 
***
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2019-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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