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インドに呼ばれた女。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Mami Osawa(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
インドが私を呼んでいる。
私はそう信じていた。
インドへ行くと、信じられないほど体が軽くなり、目覚めがすっきりし、気分も爽快になる。
その、体調の良さを体感しに何度も何度も通った。
 
インドは呼ばれていく国、インドには呼ばれる人と呼ばれない人がいる。
インドが呼んでくれないことには、行きたいと思っていても行けない。
 
インドに行こうかと考えたことがある人ならきっと出くわしたことのある言葉。
インドという国はほかの国とは違うちょっと特別な雰囲気を出している。
インドへ行くと人生観が変わる、そんなこともまことしやかにささやかれている。
 
私は長い間、インドの水や空気が、その土地が、私の体にあっているのだと思い込んでいた。
 
日本では虚弱体質な私が、インドではおなかも壊さず、それどころか日本にいるときより元気なのである。
私は、間違えて日本に生まれてしまったのか。
それほど、インドでの体調がよかった。
 
私が毎年インドに行くことを知る人は、ヨガをやっているか、精神世界に興味があるか、カレーが大好きすぎる人だと思っているようだった。
 
私はどれにもハマらなかった。
しかも、わたしは辛いカレーが食べられない。
辛いものが苦手なのである。
 
インドはカレーだらけである。
カレーしかない。
いや、これは失礼だ。
カレーがあまりにも多いのだ。
 
では、私はカレーを食べずに何を食べていたのか?
私はひたすらフルーツを食べていた。
インドはカレーのイメージが強すぎるが、フルーツ大国でもある。
マンゴーのおいしさは言葉にならないほどだ。
 
私はインドへ行くと、食事をせずにひたすらフルーツを食べる。
フルーツだけで体がもつのか?
当初は自分でもそう思っていたが、2週間、3週間、フルーツと野菜だけで過ごしても元気がなくなるどころか、どんどん活力が増した。
行くたびに思いを強くする。
 
私はインドに呼ばれた女だ、と。
 
しかし、私のインド旅行も結婚を機に途切れる。
時を同じくして私は仕事を続けられないほど体調を崩した。
原因は不明。
起きられない、食べられない、動けない。
ありとあらゆる検査を受け、異常なし。
内臓疾患も精神疾患も疑ったが、どの病院でも異常なし。
 
体調が悪いのに原因がわからないまま5年以上の月日がたった。
気分は、専業主婦を隠れみのにしたニートだ。
私はこのまま廃人になっていくのか。
夫はこんな私と一緒にいて幸せなのか?
 
そんな時、ふと思い立った。
そうだ、インドへ行ってみよう。
 
近所に少し出かけるだけでもすぐに具合が悪くなる私には大冒険だった。
ワラにもすがりたい気持ちをインド旅行に託した。
 
インドの空気は悪い。特に大都市では深刻だ。
水も相変わらずである。生水は絶対に飲んではいけない。
水も空気も最悪なはずなのに、この旅でも私は日に日に元気になっていく。
もちろん、この時の食事もフルーツまみれの日々だった。
フルーツ大好きな私には天国である。
滞在中はどんどん元気になって、私は絶好調で帰国の日を迎える。
 
やはり、私はインドに選ばれた女なのだ。
 
元気な体で帰国した私だったが、日がたつにつれまた元気がなくなっていった。
インドと日本の違いはいったい何なのか。
私は東京に住んでいてはいけないのか?
私は再び悩んだ。
 
そんな折、私はいくつかの本に出合う。
グルテンフリーで体調がよくなるという本。
遅延型アレルギーの本。
いつもの食事が体調不良の原因かもしれないという類の本だ。
 
遅延型アレルギーというのは、食べてすぐに発作が起きたり、蕁麻疹がでたりはしない。しかし、確実に体をむしばんでいく。
遅延型アレルギーの検査は、一般に普及しているアレルギー検査とは異なり、自費治療で、この検査が受けられる病院も限られている。医師によってはこの検査に懐疑的な人もいる。たくさんの病院をめぐっても一度もこの検査を勧められたことはない。
 
でも、私は気が付いた。
原因はきっとここにある。
 
そして、遅延型アレルギーの検査を受けた私は人生を取り戻した。
私には小麦、乳、卵のアレルギーがあった。一般的なアレルギーの検査ではわからなかったものだ。どんなに食欲がなくても頑張って食べていたヨーグルト、チーズ、卵、そしてパン。
体に良いと思っていた食べ物が、すべて私にとっては毒だった。
 
インドで私が元気になる理由。
それは、アレルギー物質を一切食べない生活をしたから。
 
私が5年以上も悩み続けた体の不調。
それは食べ物が原因だった。
 
他の国へ旅行をしても、決して感じたことのない体調の良さをインドでのみ感じた。
それはインドでだけ、フルーツばかりを食べていたから。
 
そのことに気が付かずに私は長年、自分はインドに選ばれた女だと思ってきた。
しかし、実は食事が辛くて、フルーツ大国ならどこでもよかったのだ。
 
健康を取り戻してから私はインドへ行っていない。
もう、インドは私を呼んでいない。
これでいい。これでいいのだ。
 
 
 
 
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2019-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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