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メディアグランプリ

コンプレックスと向き合うにつれ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山谷里緒(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
私は体が硬い。コンプレックスになっているほど、硬い。
どのくらい硬いかというと、まず足を伸ばして床に座った状態で背筋がまっすぐ伸びない。
体を前に倒すどころか、まっすぐ座ることができない。
開脚しても90度以上開かない。
立ったまま前屈、手は膝まで届くのが精いっぱいだし、腰も痛くて後ろに反らせない。
ラジオ体操をまともにやろうとしただけで体中が悲鳴をあげる。
 
昔からそうだった。学校の体育の授業で、「ペアを組んで体操します!」の号令は苦痛だった。だって誰もこんな体の硬い人とはペアを組みたくないから、いつも一人ポツンと余る。仕方ないから先生とペアを組むことになるのだが、だいたいどの先生からも「真面目にやってます? もうちょっと体倒れるでしょ? ちゃんとやってください!」と怒られた。ペアを組めずに毎回一人ぼっちになる上に、怒られるのだから、苦痛でますます「体が硬い」がコンプレックスになっていった。運動自体も大嫌いになった。
 
そんな私も30代になり、体に余計な肉もついてきたし、体力も落ちてきた。
日々の仕事、家事、育児でもうくたくた。子どもの寝かしつけでそのまま一緒に寝てしまうことも多く、「疲れたぁ」が口癖。肩こりも酷いし、腰痛もある。
対処すべくマッサージに週1回通ったりもした。
コリによる頭痛もしょっちゅう。そのたびに市販の頭痛薬を飲んでしのいでいた。
 
運動して体力つけたいなとは思っていたのだが、コンプレックスが邪魔をしてしまう。
体が硬くてストレッチもままならないのを他人に見られたくないため、ジムには通いたくなかった。ランニングは疲れる。水泳はそもそも泳げないし……。
体が硬い、運動に自信がない私が出来ることといえば、ただ往復の通勤の中で早歩きする、階段をなるべく使う、が精いっぱいだった。
 
ある日駅で配っているチラシをもらってしまった。ヨガ教室の宣伝である。
最初は体硬い人が一番行っちゃいけないところじゃない? と思ったのだが、70代の方も通っているという宣伝を見て「あ、さすがに70代よりは体はまだ動くんじゃないかな?」という大変失礼な安心感を抱いてしまい興味がわいた。
また、体が硬い人の方がより効果があるともチラシには書いてあり、体が硬くて運動が苦手な私でもストレッチする感覚で始められるのではないか? まるで蜘蛛の糸を垂らされたカンダタのように一筋の希望の光が舞い降りた気がした。
 
ヨガは体が硬くて不格好でも、先生の言うとおりにポーズを取ろうと体の細部に意識を向けることが大事。人と比べず、自分の体がどこまで動くか、呼吸のタイミングと合わせて
ゆっくり動かしていく。レッスンは20人ほどのクラスで集団でやるのだが、あくまで一人一人がそれぞれ自分の体と向き合いつつ、対話していくような感覚になるのが特徴だ。
 
ヨガを継続するうち、だんだん体が動くようなってポーズが上手に出来るようになったことで、肩こりや腰痛にもゆっくり効いてくるようになった。
筋肉が動く事で血の巡りがよくなり、頭痛の頻度も少なくなってきて慢性的に飲んでいた頭痛薬にお世話になる機会も減ったのである。マッサージも月1回ほどに減った。
体調が安定してくると、不思議と心も安定してきた。
 
ヨガは筋肉がモリモリつくわけでもないし、痩せるわけでもない。
結果にコミットすることは残念ながら期待しない方がいい。
いうなれば、体を整えることでゆっくり本来の自分の体に戻していくと言った方が正しい。
普段体の調子が悪いと、市販の薬を飲んだり、ダラダラと寝込んだりしていたが、まず「不調になりにくくなる」そして「回復も早くなる」。まさに自分の体そのものが元気になっていくのは東洋の漢方薬に効果が似ているのかもしれない。
 
特に私のように体が硬い人、運動をやってこなかった人、運動不足による体の不調続いている人は、いきなり激しい運動を始めると逆に体を痛めることもあるという。
そんな人には迷わずヨガを始めることをお勧めしたい。70代の方でも本当にレッスンに参加していて、その方は背筋がピンと伸びていてとても若々しかった。
 
今では私は毎朝起きて30分、自宅でヨガをする習慣をつけるようになった。
ゆっくり自分の体と向き合っていると、その日の体調を確認したり、気持ちの浮き沈みもすっと受けとめることができるようになり、いい一日のスタートが切れる気がしている。
 
今の状態を知ること、受け入れること。
ヨガはインド発祥であり、その教えには「悟りを開く」だとか「宇宙と自分を結びつける」だとか色々ある。純日本人である私にはピンとこないし、正直うさんくさいとも思ってしまっていたのだが、ただひとつ「執着しない」という考えはスっと納得できた。
 
心身ともにカチコチの自分と向き合っていると、
仕事で認められたい、好きな人と上手くいかない、自分はダメなんじゃないか……。
そういうモヤモヤしたものが、自然とその思いに執着せず、自分は自分だと受け止められるようになる。簡単にいうと思考がスッキリするのだ。
 
ウイルスを攻撃する抗生物質や、すぐに頭痛にきく痛み止めとは違うけれど、
ヨガには漢方のようにゆっくりと体と心になじんでいく強みがある。
体はまだ硬いし、コンプレックスは消えないけれど、
ふと気づくと少しだけ前向きに「それも自分だ」と思えるようになっていた。
 
 
 
 
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2019-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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