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「マッドマックス」は幸せの兆し


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記事:slowman(ライティング・ゼミ書塾)
 
マッドマックスが好きだと言ったら、
「そういう映画が好きになる理由があるんでしょうね」と言われた。
 
マッドマックス。最初の製作は1979年。2015年にリメイク公開され、全世界で注目を浴びたアクション映画。30年以上ぶりに撮影されたとあって、ファンの間で当時は大変盛り上がっていたのだ。
 
そうか。
そういう映画が好きなら、そういう映画を好む自分がいつの間にか形成されてきたのか。
 
確かにアクション映画は観ても、ホラー映画も、恋愛映画も、苦手だ。観ない。
 
これもおそらく、そういうジャンルの映画を好まない自分どこかにいるから、観ないということだ。
 
こんな質疑応答をしたのは、ある方のカウンセリングを受けている時だった。
 
カウンセリングを受けてみようかと思ったきっかけは、もう10年近く前に、仕事はクビになり、働く場所を失った。しばらく引きこもった生活をして、預貯金が底をつきかけ、これでは喰っていけないからと、ようやく重い腰を上げた。
 
しかし、年齢から考えて働けるのは派遣社員くらい。時間ごとにしか発生しない知れている収入で何とか生活をつなぐ。が、今までしたことない工場現場での仕事で腰を痛めて辞めることにした。
 
もう、派遣として働けるようなところがないし、収入も知れていると、どうしようかと考えたが、どのみち独り身だ、どうにでもなるさと、この時の生活から脱するために故郷を離れた。
 
しかし、故郷を離れた生活は豊かになるところかより悪化して行く一方で、さてこれからどうしたものか、何が悪くて、自分の人生はこんなふうになったのだろうと考えあぐねていた時に知ったのが今回受けさせてもらったカウンセリング。
 
そんなに突き詰めるように追求した質問はされずに、私からの気づきを促すように質問をされているのが素晴らしかった。
 
ここで一つ浮き彫りになった私の幼い頃のある記憶の断片。これを掘り下げてみることに。
 
以前から幼少期の記憶として残っていたものの一つで、
「父母が離婚したら、私はどちらについて行くのか?」
と父に投げかけられた質問がある。
 
幼児ではあったが、私はキッパリ
「どちらにもついていかない。自分の道を行く」
と言い放った。
 
その理由はこうだった。
 
父につくといえば、母が悲しむだろうし、母につくといえば父が寂しがるだろう。
だったらどちらにもつかなければ、二人に「自分につかなかった」と思わずに済むだろうから、どちらにも頼らず、自分で生きよう、と思った。
 
そして、そう言った後に「人生とは、独りで歩いて行くもんだ。何の能力もない、才能もない自分では、生きて行くのが不安でしょうがないけど、そうやって生きて行くしかないのだ。何もない荒野のような道のりを独りで歩いて行くもんなんだ。」と当時、父親に答えた時に感じた未来に対する恐れや不安が何気に蘇ってきた。
 
「人生は独りで生きて行くしかない不安なもの」
 
そんなイメージが植えついてから時が流れ、10代の頃に何度もテレビで放送されていた映画が当時のマッドマックス。
 
田舎では、正月とお盆の深夜は毎年同じような映画が深夜放映されており、私は、主人公が、荒野を彷徨う姿に、いつのまにか、自分の人生のイメージを重ねてしまっていたように感じる。
 
そんな記憶を思い出していると、カウンセラーの方からこう言われた。
 
「人生は、自分が思ったようになるんですよ。「独りで生きて行くんだ」って思われたから、今、独りでいるんです。「人生、不安でしょうがない」と思うから、不安なことが起きるんですよ。楽しいことを想像したら楽しいことが向かってくるようになります。自分の心の思い込みを変えていきましょう。」
 
今まで何度となく心理学の本などで脳ミソの機能とかを読んだことがあったが、今回の自身の事例をもとに指摘を受けると、何故かしら「そうだよなぁ」と思ってしまった。
 
カウンセリングが終わった後、なぜか、気持ちが楽になるような気分になった。私は、そんなに悪い人生を生きてきたわけではない。辛い時は幾度もあったが、その度に助けてくれる人がいたし、もう喰っていけないという時に、不思議なことに手を差し伸べてくれる人が現れたりするのだ。いきなり大金持ちになる、なんてことは起きてはいないが。
 
「今回、カウンセリングを受けられたのは、今の人生を変えたいと思われたからでしょ? そして、今までの人生はマッドマックスの映画の主人公のような生き方を良しとしてきたことから得ている可能性もあるんですよ。」
 
確かに、言われる通りだ。
そして続けて
 
「でも、マッドマックスの映画の主人公のような生き方がダメだったわけではないのです」
 
と言われて「どういうこと?」と思ったが
 
「本当に幸せな人は、不幸を知っています。
不幸を経験しているんですね。だから、幸せが実感できる。あなたも、苦しいと感じる人生を味わったのだから、本当の楽しいや嬉しいが分かる人になれるんですよ」
 
この話を聞いた時、暗闇に一縷の望みとなるような光が射したような気がした。
 
今までの辛さや苦しんだ経験が、本当に人生をより楽しめることに繋がるということか。
 
そう言えば、「人生、塞翁が馬」ともいう。
 
これから楽しみや喜びに満ちている未来が自分を待っているのだ。
 
マッドマックスの世界観にしか、自分が生きる姿を投影できなかったことも、より大きな幸せに繋がるのかも知れない。
 
そう考えると、マッドマックスは私にとって幸せの兆しなのかも知れない。
 
 
 
 
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2019-05-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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