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人生の見えない壁を越える方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:中野ヤスイチ(ライティング・ゼミ日曜日コース)
 
 
「人生の壁は越える事ができるヒトだけに現れる」って誰かが言っていた。
 
本当に壁を越える事はできるのだろうか……。
わからない……。
 
何かを始めようとする時に、見えない壁が突如現れてくる。
今まで見たことが無い高さで、見えない不安だけが強くなっていく。
 
なぜだろう!?
みんな同じように壁が現れているのだろうか。
 
壁にぶつかっている時は、楽しそうに話をしている人を見るだけでも、幸せそうに見えてしまう。
電車に乗っている時でさえ、何人かで話をしている人や携帯を見ながら楽しそうにしている人をみるだけで、心が締め付けられ、なんとも言えない暗い気持ちになる。
 
なんで自分だけ右も左にも行けなくなって、やっと見つけたと思った道の前になぜ壁が現れるのだろう。
同じようにこのような経験を多くの人がしているなんて信じられない……。信じたくない。
と僕は社会人になったばかりの時に思っていた。
 
僕はどこにでもいるようなサラリーマンである。
 
小さい頃は無邪気で何に対しても好奇心があり、じっとしている事が苦手な子供だった。
そんな僕も大きくなって学生生活も終わりに近づき、当たり前のように周りが就活を始め、親からも職について欲しいと強く言われ、サラリーマンになった。
 
本当はサラリーマンになる気は無かった……。
 
ただ、自分がしたい事だけをやって生きていけるほど、世の中は甘くないとなんとなく感じて、不安をかき消すようにサラリーマンになる事を選んだ。
 
そして、なってから気が付いた。
サラリーマンってこんなにつまらないモノだろうか……。
 
人生のほとんど仕事をして過ごすのに、つまらないなんて嫌だと強く思った。
でも、どのようにしたら良いのか、全くわからなかった。
 
そして、もっと自分の人生を幸せにする為に社会人として何が足りないのか、
探す旅が始まった。
 
両親や一緒に働いている先輩に聞いたら、「社会人になったのだから、しょうがない」や
「お金をもらっているのだから、楽しくないのは当たり前、学生じゃない!!」、「仕事に対する情熱が足りない」、「嫌な事があっても、生活をする為に、仕事をしていかないといけない」などと言われる事が多かった。
 
僕にはわからなかった……。
 
え、なんで!?
すべては自分の社会人としての自覚、努力が足りないから!?
僕の考え方が間違っているから!?
 
という言葉が頭の中で、悶々と浮かんでは消えを繰り返していた。
 
一度しかない人生を過ごしているのに自分を犠牲にして何が正しいの !?
どんどんわからなくなって行ってしまった……。
 
これが普通なのかな。僕は間違っているのかな。と自問自答しながら、過ごす日々が続いた。
 
このまま、時間だけが過ぎて、気付いたら人生が終わってしまうのかなと思うと悲しい気持ちで一杯になった。
 
そのような気持ちでいつものように、月曜日の朝、会社に向かって歩いて行き、
会社に着いた時に、横の営業所の上司から掛けられた何気ない一言で、
僕の気持ちは軽くなった。
 
「おはよう。さっき、下を向いて歩いていなかったか」
「月曜日の朝から、下を向いて歩いてどうする!?」
「どんな時も前を向いて歩いた方が良いぞ」
「嫌な時やつらい時があっても、前を向いて歩くだけで必ず良い事があるからさ」
 
僕は社会人になって、下を向いて歩いている事を他人から指摘されたことはなかった。
それも、普段一緒に仕事をしていない人から話かけられるなんて思ってもみなかった。
 
社会人になってから初めて一人のヒトとして、見てもらえている、認められていると気づけた瞬間だった。
 
それから、嫌な事がある度に下だけは向かずに歩いて行こうと心に決めた。
 
前を向いて歩く事だけを忘れずに歩いていたら、少しずつ時間が経つにつれて、自然と今までの自分には見えていなかった世界が見えるようになってきていた。
 
ただ前を向いているだけで、自然と色々なヒトと目が合うのである。
そうすると、自然と挨拶をしたり、話をしたりするのである。
何も意図していないのに、自然と楽しく会話ができるようになるから不思議である。
 
さらに、仕事以外のプライベートの話までするようになり、飲み会に誘ってもらえる機会が増え、一緒に遊にいったりする機会も得て、なんとなく日々の生活が楽しくなって、自然と悩みを忘れ、社会人になって得られる喜びみたいなモノを少しずつ感じるようになっていた。
 
そして、初めての後輩が出来た時に、僕と同じようにつらそうな顔をしている後輩の姿をみて、下を向いていた時の僕の話から僕がして教えてもった事を話して、「常に前を向いて歩いて行こう」、「必ず良いことがあるからさ」とそれだけを伝えた。その後、僕はすぐに異動になった……。
 
しばらくして後輩に会った時に、「前を向いて」楽しく仕事をしていると笑顔で教えてくれた。
 
初めて社会人になって、今までとは違い、大きな責任や見えない不安で押しつぶされそうになって、目の前が真っ暗になってしまう。
 
そんな時に、誰かが自分の事をヒトとして認めていてくれたと感じる事ができた時に、ヒトは自分を信じる事ができ、人生の壁を越えて前を向いて生きていけるのかもしれない……。
 
 
 
 
***
 
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2019-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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