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メディアグランプリ

育児という宇宙で見つけたもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:永石美季詠(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
facebookの広告で目にした天狼院ライティングゼミに最初に興味を持ったのは、去年の暮れのことだったか、それとも今年の初めのことだったのだろうか。クリックして内容を読もうと思ったが、三浦店主の長い長いセールストークを最後まで読み切ることができなかった。当時はまだ、0%になってしまったエネルギーを充電し始めた時期で、やるべき家事と育児をこなすだけで毎日が飛ぶように過ぎていった。以前好きだったこともほとんどできず、空いた時間は布団をかぶってとにかく寝ていた。まるで真空にいるような日々だった。
 
昨年初め、当時1歳の娘を保育園に預けて人生初のワーキングママ生活を始めたところ、3か月後には変な動悸が現れ始め、気合いで過ごしたそのまた6か月後に、人生初の緊急入院と手術を経験した。私は33歳にして、過労死に片足をつっこんでいた。
ワーママ生活は、完全に私に向いていなかった。仕事にも育児にも家事にも心底疲れ、入院の数か月前から夫婦仲にも亀裂が入ってきていた。ずっと信頼してきた頼もしい夫。欲しくて欲しくて授かった可愛い娘。でも、もう限界だった。私は一体何のためにがんばっているのだろう。全く分からなくなっていた。
 
病院を退院した翌日、娘は無事に2歳になった。娘はその頃にやっと、大人と同じものが食べられるようになり、夜は1回も起きずにぐっすりと寝てくれるようになっていた。泣くこととお乳を飲んで寝ることしかできなかった小さな赤ちゃんは、疲れた私の顔を見て、「ママ、だいじょぶ?」と聞いてくれるまでに成長していた。夫とは今後のことを何回も話し合った。私は仕事をしばらく休むことにして、娘が保育園に行っている間、ゆっくりする時間を持てるようになった。しかし、私が文字どおり「ゆっくりする」ことができるようになるまでに、それから半年近くもかかることになる。
 
もともと普段から動きがスローなのが、私である。ぼーっとすることが好きだ。誰かとわいわい話すことも好きだが、その3倍くらいは、ひとりでぼーっとしたり本を読んだりネットサーフィンして面白いコラムを読む時間が好きだ。縫い物をしたり、お菓子を焼いたり、マイペースでこつこつやる作業が好きだ。言い換えると、誰かとわいわいするためには、その3倍のひとり時間が必要な人種なのだ。そういう意味で、活字を追って異世界を旅したり、自分の世界にひたる時間は、私にとって空気のように必要なものだった。もちろん、まったくないと生きていけないし、足りなくなっただけでもあっぷあっぷしてくる。
 
娘を産んでからまる2年、私は自分よりも大切なもののために、空気を吸うことさえ遠慮して生きていた。朝起きてから寝る瞬間まで気の抜けない生活、夜には何回も起こされ、仕事復帰してからは、土曜日に家中の掃除と一週間分の買い出し、日曜日には子どもの面倒を見ながら離乳食や幼児食の作り置き。夫は仕事が忙しいにも関わらず、育児家事をよくやってくれる方だったと思う。それでも2年間、私は自分のことをゆっくり考えたり構ったりする、心の余裕がまったくなくなっていた。
 
初めての育児は私にとって、宇宙を泳いでいるようだった。育児に正解はない。そして、正解がないことが不安で仕方なく、24時間少しも気が抜けない。今思えばそのとき私は完全にうつ状態になっていた。そんな自分の状態を感情的に訴える力さえ、残っていなかった。とにかくひとりの時間が欲しいという気持ち。それと同時に、私の胸は強い孤独感でいっぱいだった。ママ友づきあいにがんばったり、夜30分ごとに起こされる生活が1か月以上続いたぼろぼろのときに、仕事復帰を決めたりした。私は心底疲れ、混乱し、我を張って、がんばっていた。
 
人は空気のないところでは、生きていけない。同じように、これがないと生きていけないというものが、すべての人にきっとあるだろう。私にとってそれは、ぼーっとする時間だったり、本の世界にひたる時間だった。でも、もうひとつあることに気づいてしまった。それは、「自分を表現する時間」である。忙しくしていたりネット社会の情報にのまれたりしているうちに、私は簡単に自分の感情や状態が分からなくなってしまった。育児に関する情報や女性の生き方など、様々な人の価値観に簡単に触れることができるようになった分、自分は本当にこれでいいのかと不安になったりすることが増えた。それでもネットを開いてしまうのは、やっぱり人とつながりたいから。人とつながりたければ、自分の状態を確認したければ、まずは自分の気持ちを表現すること。人に頼ることが下手で、感情表現もうまくない私は、たまたま天狼院書店の存在を知り、文章を書いてみることにした。
 
私は、先月くらいからやっと本当の意味で「ゆっくり」できるようになり、久しぶりに、深呼吸の仕方を思い出した。そして晴れてライティング・ゼミに入った。平成最後の日に、4月開講ゼミの追いつき受講を申し込んだ。今しかないと思った。新しい時代の到来を控えて、やる気に満ちあふれていた! ……にも関わらず、この文章が初めての投稿だ。やはり、マイペースなところは変わらない。やりたいことを、やりたいときに、楽しんでやる。苦手なことは、人に頼る。愛する夫と娘には、いつも笑顔でいられるよう、まずは私が幸せであること。そんな幸せを土台として、人とつながりたい。
 
私は今、わくわくしている。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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