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そして私は、歯を失った


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:芦野 雅代 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「うーん。コレは抜かなきゃダメかな……」
 
長く通っていた、地域でも評判の予防歯科に力を入れているデンタルクリニックで信頼していた院長に、ついに抜歯宣告をされた。
 
40歳を過ぎたあたりから、歯や歯茎の状態が一気に悪くなった気がしたので、母が通っていた予防歯科のクリニックを紹介してもらった。
そのクリニックでは、先生も歯科衛生士さんも、とても丁寧にヒアリングしてくれ、割と早い段階で、私の歯の不調の原因が明らかになった。
 
歯茎の腫れと痛みなどの歯槽膿漏の症状や、アゴもだるいし、歯のぐらつきも気になるその主な原因は、くいしばりや歯ぎしりによるものらしい。
 
ある一定の箇所に、非常に強い力がかかっているのではないかという見立てであった。
 
確かに、寝ている時も起きている時も、私は、思いきりくいしばっていた。
特に運転中や仕事中、奥歯でガッチリと、渾身の力を込めてくいしばっているのだ。
アゴはポキンポキンと高い音を立て、所かまわず周囲の人を不快にさせ、その度に鋭い痛みが私を苦しめた。
 
そして3か月に一度くらいのペースで、決まって一番奥の左上の歯が腫れて痛みだす。
化膿止めや痛み止めで様子を見ながら、歯科衛生士さんは丁寧にお掃除をしてくれるが、局部的に歯の根も弱ってしまい、いよいよ抜かないとダメなようだった。
 
その頃には歯やアゴだけでなく、慢性的に首も肩もガチゴチに凝り固まって、全体的に非常に調子が悪かった。
いわゆる顎関節症の様々な症状が現れて、睡眠時に装着するマウスピースを作ってもらったが、数か月でマウスピースすらも噛み壊してしまったほど。
 
ネットで検索をすると、顎関節症の原因は沢山あった。ストレスや噛み癖、PC作業や受話器の肩ばさみ、スポーツ、枕の高さに至るまで。
全部当てはまるような気もしたし、現代で文化的な生活をしようものならどれも完全に取り除くことが難しいような気もした。
 
整骨院と予防歯科をはしごしながら様子を見ていくしかないなーと思っていた矢先の、抜歯宣告。
抜歯したら、またマウスピースも作りなおすのか……
面倒だな。
年齢によるものかな。
仕方ないか。
 
ついに覚悟を決め、何年も前から時限爆弾のように炎症を繰り返していた一番奥の左上の歯を抜いた。
 
奥歯を抜くなんて親知らずが腫れた以来、20年振りのことだったので、身構えたが、今回の抜歯は拍子抜けするほど短時間で簡単に終わった。
 
そしてなんと、その抜歯の直後から、その後の人生がガラリと変わることとなるとは、思ってもみなかった。
 
私の口腔内はまるで、「腐ったミカンの方程式」と同じだった。
 
金八先生を見ていない方には馴染みがないかもしれないが、「腐ったミカンの方程式」とは、箱の中に腐ったミカンが一つでもあると、箱の中のミカンもみんな腐ってしまう。他のミカンを助けるためには、腐ったミカンをつまみ出さなければならないことから、一人の不良少年がクラス全体に悪影響を及ぼすということを金八先生に登場する金八先生じゃない先生が表現したものである。
 
抜歯後に抜けた歯を見せてもらった時、あまりのショックに愕然とした。
 
歯の裏の方にまで歯石がこびりつき、きちんと埋っていたと思われる部分はわずかだった。
繰り返された歯茎の炎症や、長年に渡る歯ぎしりで、弱ってしまった奥歯は、ほぼぶら下がっていた状態であったのだ。
 
そう、まさに、不良少年がぶら下がっていたかのように!
 
ぶら下がっていた不良少年をつまみ出したら、その途端に今までの不調が嘘のように消えていった。
 
歯茎はキュッとし、くいしばりや歯ぎしりも気にならなくなり、アゴのだるさが解消した。
歯茎からの出血の気持ち悪さや、耐えがたい口臭からも解放され、首や肩もそれほど凝ることもなく非常に軽快になった。
 
さらに睡眠の質が良くなり、仕事でのパフォーマンスも向上。
気のせいか、短気で攻撃的だった性格まで、穏やかになったような。
 
ちなみに、現在は多少の肩・首のコリに悩まされてはいるが、寝る前に小さな湿布を貼るだけで、超熟睡である。
 
あぁ、なんでもっと早く、抜かなかったんだろう!
あれだけ長いこと苦しんだ顎関節症が、今ではほぼ無症状なのだ。
 
今回は結果として、大切にしていた歯を抜いた。
だが、予防歯科の考え方には、今も大賛成である。
お金も時間もかかるけれど、日ごろのメンテナンスが重要であることには変わりない。
 
その上で、ダメになってしまった歯を抜くという勇気ある決断をしてくださった予防歯科のクリニックの院長には感謝しかなく、もし似たような症状で悩んでいる方がいたなら、是非、予防歯科をやっているクリニックでヒアリングしてもらうことをおすすめしたい。
 
奥歯が悪かったから、噛みしめてしまっていたのか、歯ぎしりのし過ぎで奥歯が悪くなってしまったのかはわからない。
 
たった一本の歯を抜いたことで、こんなに人生が変わるなんて!
 
不良少年との別れの抜歯が、これほどまでに感動体験をもたらすとは!
 
もちろん、私の場合のみに該当するケースかもしれない。
だが、この感動を伝えずにはいられるはずもない。
 
 
 
 
***
 
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2019-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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