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スティーブ・ジョブズの名言に少し「イラっ」とする


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:横山信弘(ライティング・ゼミ火曜日コース)
 
 
「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか?」
 
これは、スティーブ・ジョブズが遺した名言のひとつです。とても考えさせられる言葉です。世界中の多くの人が、この言葉を胸に、「さて、自分なら何をやりたいだろうか。今日が人生最後の日だとしたら」と自問したことでしょう。
 
私も、そのうちの一人でした。
 
過去形で書いたのは、私の知人のせいです。
 
2年ぶりに会ったその知人Aは、最初に頼んだビールを飲み干したあと、私にこう聞きました。
 
「今日は何をやった?」
 
ぶしつけに、そう問いかけられて、戸惑いました。今日、何をやったかと聞かれても、いろいろありすぎて困るからです。
 
「朝、走って、筋トレして、出勤してから営業活動をして、夕方は会議して、夜は資料作りかな」
 
Aは、満足気にうなずいています。
 
「今日が人生最後だとしたら、今日やったことは本当にやりたいことだっただろうか?」
 
突然、そう言われて、私は何をどう返していいかわかりません。黙っていると、「そういうこと、考えたことある?」と質問してきます。
 
「今日が人生最後の日だったら、朝から筋トレやるかな。会社に行って、会議とか出てるかな」
 
「そりゃあ、もっと違うことに時間を使うだろうな」
 
「俺はジョブズのように、一日一日を全力で生きて、大きなことを成し遂げたい」
 
Aはそう言って、2杯目のビールを空にしました。
 
スティーブ・ジョブズのみならず、同じようなことを口にする偉人は多いでしょう。
 
以前、『カシコギ』という小説を読んでいるときにも、同じような名文に触れたことを思い出します。白血病を題材にした、韓国の小説です。
 
「あなたが虚しく過ごした今日という日は、きのう死んでいったものが、あれほど生きたいと願ったあした」
 
小説を読んだあと、感動して、この文章をツイッターで紹介したのを覚えています。するとたちまち、多くの人にリツイートされたのです。今日という日を大切に生きようと、多くの人がこのセンテンスに触れて感じたからでしょう。
 
知人に会ってからというもの、毎日のように、このことを考えました。
 
メールの返信を書いているときも、お客様と電話で交渉したあとも、ふと思い出すのです。
 
「今日が人生最後の日だったら、どうするのだろうか……」
 
まず、思い浮かんだのが、これまでお世話になった人に感謝の気持ちを伝える、ということ。
 
明るくさわやかに、「今日までありがとう」「あのときはお世話になりました」などと伝えてはどうか。
 
しかし、人生の最後の日なのだから、もっと自分のためだけに使ってもいいのではないか、とも思いました。
 
これまで、訪れたいと思っていても、一度も足を運んでいない場所に行ってみるというのはどうか。
 
しかし、海外に行けない。国内でも1日では足りない。行けたとしても、子どもが小さいころに行った、近場の公園ぐらいにしか足を運べない。
 
私は食べるのが好きですから、それなら、飛び切り美味しいものを、ぞんぶんに食べるのはどうだろうと考えたり。
 
あれやこれやと考えを巡らせているうちに数週間がたち、また知人Aと飲みに行くことになりました。
 
「お前だったら、人生最後の日に、何をやるんだ」
 
その日は、朝から想定外のトラブルがあり、一日じゅうカリカリしていた私は、ビールを飲んでから突っかかるように尋ねました。
 
「俺はとにかく全力でやろうと思う」
 
「は?」
 
「悔いのないように過ごす。それだけだ」
 
Aはそれ以上、言いませんでした。そしていつの間にか、共通の友人が会社を起業したことに、話題はすり替わっていました。消化不良のまま、その夜はAと別れ、家路につきました。
 
飲み足りなかったのか。帰宅し、冷蔵庫から取り出したビールを口に運んで、一本をあけてから、「今日が人生最後の日だったら、何をやる?」と、妻に聞いてみました。
 
風呂から出たばかりの妻は、バスタオルで髪をふきながら、「何もしない」とすぐさま答えました。ぶっきらぼうに、「ジタバタしてもしょうがない」と言うのです。
 
「どうして、突然そんなこと言いだしたの」
 
「スティーブ・ジョブズの名言だ」
 
「ジョブズの名言だか何だか知らないけど、毎日ジタバタして生きるなんて、私はイヤ」
 
妻はそう言って、私の横に座りました。
 
「ジョブズって、本当に今日が人生最後の日だと思って生きるべき、と言ったの?」
 
妻のその言葉を聞いて、私はハッとしました。「たしかに、その通りだ」と思ったのです。
 
たしかに、毎日全力で生きたほうがいいのはわかっています。しかし毎日「人生最後の日」だと考えてしまったら、妻が言うように「ジタバタ」した生き方になってしまって当然です。
 
何事も、成し遂げるためには「点」で考えていてはいけません。「線」で考えるべきだと、私は社長に教えられました。
 
今日という「点」を、「明日」以降も続く「点」と結び付けて「線」にし、その「線」で自分がやりたいこと、叶えたいことを手にするのだ、と。
 
毎日全力で生きよう。でも、今日が人生最後の日だったらと思うことは、もうやめよう。私はそう思いました。
 
そして私は妻に「もう、寝るよ」と言いました。そして「朝早く起きて、筋トレする」とも言って、子どもたちの寝る部屋へあがっていきました。
 
 
 
 
***
 
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2019-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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