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メディアグランプリ

「読書」と「ビビり」と「想像力」と。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:したみあきこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は、ビビりだ。
 
と言っても、大きな音にびっくりしたりするビビりではない。
シャンプーしている時、怖くて泡をぬぐって後ろを振り向くようなタイプのビビりでもない。
 
どういうビビりかというと、例えば出張で知らない場所に行くと決まった時、道に迷いそうでビビる。
食事の場所を見つけられずお腹すいたまま過ごすのでは……とビビる。
飛行機に乗るのも怖くて、乗ると決まってから降りるまで延々ビビる。
 
そんな『起こってもいない出来事』に対してのビビりである。
 
夫から
「あなたは先のことばっかり見て、目の前のことが見えてないよね」
と、しみじみ呟かれたことがある。
母からは、
「先のことばっかり考えすぎ。考えても答えの出ないことは考えない!」
と言われたこともある。
 
でも考えてしまう。
だって怪我したくないし死にたくないし恥ずかしい思いもしたくない。
だって人ってそういうモノじゃない、と心の中で反論しつつも、なんで私はこんなに先の事ばかり心配してビビってしまうのだろうと悩んでいた。
 
そんなある日、図書館で一冊の本を見つけ、思わず手に取った。
子どもの頃に何度も読んでいた本。
何度も飽きずに読んでいた「おっとあぶない」(マンロー・リーフ:作 渡辺茂男:訳 復刊ドットコム:刊)という本だった。
 
この本は日常生活での様々な危険を描いている。
それもお説教じみていない。こんな危ない事をする人は『〇〇まぬけ』である、とユーモラスにいろんな『まぬけ』が登場する。
 
子どもの頃はなんだか面白くて、こんな『まぬけ』面白いなーとか思いがら読んでいた。
毎日のように読んでいた。
 
ただ懐かしさで手に取ったのだが、ページをめくるうちに、私の幼い頃の記憶がよみがえってきた。
この本に出てくる、場所や状況を考えずに飛んだり跳ねたりして痛い目をみている登場人物たち。
私は、読むたびにこう思っていた。
 
――こんな危ない目にあう『まぬけ』はバカだなぁ。
何も考えずに危ないことしていてバカだなぁ。
でももしかしたら自分も知らずにしちゃうかもしれない、いや、似たようなことしてる。
やばい、『まぬけ』にならないように先を考えて遊ばなきゃ。
『まぬけ』になったら痛いし恥ずかしい。
 
私のビビりの一因がここにあった! と思わず興奮してしまった。
まさしく私はずっと『まぬけ』にならないようにと生きてきたのだ。
 
そして、本ってすごいなぁと思った瞬間だった。
 
この本に描かれているたくさんの危険な状況、そしてその危険なことをした『まぬけ』という結果。
繰り返し読むうちに、
 
――こうやるとケガをするかもしれない。
――ここに近づくと危ないかもしれない。
 
と、予測するような癖がついたのだろう。
さらに成長して視野や行動範囲が広がると、
 
――知らないところへ出張で行ったら、私は方向音痴だから迷って会議に遅れるかもしれない。
――飛行機の事故は確率が低いというけど、いざ事故になったら助かる可能性が低いから危険すぎる。
 
などと変に応用するようになったのだ。
やたらと未来の、未だ起こっていな出来事に対してビビるのは、この本を何度も何度も読んでいたからなのか。
なんだかとっても腑に落ちた。
 
それにしても、幼少期の読書体験というのは、なんと影響力のあることか。
 
子ども時代の読書は大切、とよく言われるし私自身もそう思うが、ではなぜ大切かというと、自分自身の明確な答えはなかった。
色々な書籍で根拠など説明されているし、なるほどと思ってはいたけれど、実体験で納得したのは初めてだった。
 
よく本を読む子は頭が良い、などと言われる。
それも理屈としてはわかるものの、本当にそうなのか懐疑的だった。
だって私は本が大好きで小さいころから本ばかり読んできたと思うけれど、勉強はできない。
 
それは試験勉強をせずに本を読んでいたから、当たり前である。
けれど、子どもの頃の読書体験が成長に大きく影響するということ。これはこの本の思い出を元に、実感を持ってお伝えすることができるようになった。
 
おそらく、この本を成長してから読んでも、これほどの影響力はないと思う。
なるほど、と思うだけか、下手をすれば「なんでも危険と結び付けて考えすぎ!」なんて思うかもしれない。
 
そう思いながら「おっとあぶない」を読んでいると、一つの考えにたどり着いた。
 
私はこの読書体験で、危険を予測することを覚えた。
この予測するというのは、『想像力』につながるのではないか。
きっとそうだ。
「おっとあぶない」を熟読することで、体験せずとも頭の中でいきいきと危険を想像できるようになっていた。
 
これがもし、熟読したのが別の本でもそうだったのではないかと思う。
イソップ物語やグリム童話を熟読していたとしたら、これもたくさんの人生の危険予測につながるだろうと思う。
 
子どもがどのように本の中のメッセージを受け取るかは、生活環境や子ども自身の性格によっても変わるのだろうけど、きっと『想像力』が身につくはずだ。
私は「おっとあぶない」を読んで、怪我をしそうな状況を予測・想像することを覚えた。
 
そして大人になり、怪我をした時のことを想像して、保険は必要だという知恵と知識を持つことができた。
老後の生活を想像して、貯金をしようと考えることが出来るようになった。
もしも『まぬけ』になってしまった時まで想像して、ビビりまくって先手先手に準備するようになった。
ありありと、人生においても痛い目をみることを想像してはビビり、準備をするのだ。
 
ああ、子どものころに本を身の回りに置いてくれた母たちに感謝だ。
試験勉強をしている振りして本ばかり読んでいたけれど、それすらも『想像力』を駆使して、なんとか進級・卒業してここまで生きてくることが出来た。
 
今の私がいるのは、子ども時代の読書体験、そして『想像力』のおかげである。
 
 
 
 
***
 
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2019-07-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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