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メディアグランプリ

30年ぶりの再会で夢中になってしまった件


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:江口雅枝(ライティング・ゼミ特講)
 
 
はじめての出会いは小学校3年生の夏休みだったと思う。まだ幼かった私は、その魅力を理解しきれず、捉えどころのない雰囲気と、ツン! とした冷たさが嫌で、たった一度の出会いだけで「私には合わない」と距離を置いてしまった。
 
これまで何度も「そんなこと言わずに、もう一度」と周りからもすすめられる度に断ってきた。別に側になくても全く支障ないし、私は苦手なの、と。
 
そうして月日は流れ、その存在すら忘れかけていた今年の夏、思いがけず出会ってしまったのだ。
 
心太さんに。
 
仕事でお世話になっている方を訪ねた折に、「暑かったでしょう」とよく冷えた麦茶とともに、もう断れない状況の中で、心太さんが、あの時と変わらない捉えどころのない雰囲気で、私の前に現れたのだ。
 
「心が太い」なんて、粋な漢字を身にまとった、ところてんさん。
 
夢中になってしまった今となっては、さん付けで呼びたい。
 
目上の人がわざわざもてなしの席で出してくださったあなたを、いただかないわけにはいかないでしょう。
 
少しの不安と、振り返れば30年越しの出会いに胸は高まり、いざ、覚悟を決めた。
 
でも、正しい心太さんの頂き方に、自信がなかった。見るからに捉えどころのない存在感、そんなあなたを、いくら日本人とはいえお箸で上手につかめるのだろうか。だって、30年振りなんだもの。刻んだ海苔と、胡麻がほのかに香る。酢醤油によって滑らかな曲線の輪郭が際立ち、器の縁に添えられた辛子がアクセントとなっている。
じっくり見ると、実に美しい。
 
子供の頃の、口に合わなかった記憶よりも、涼しげで美しいその佇まいに一瞬見とれてしまった。
 
おそるおそる、お箸ですくい上げようとすると、案の定つるん! とこぼれ落ちてしまう。
 
あっ……
 
そうだ、海苔を利用しよう、細かく刻まれた海苔を滑り止めにして、迷いなくすっとすくい上げて口へ運べば、きっと大丈夫。
 
自分でも驚くほど、30年振りとは思えない臨機応変さで心太さんを迎え入れた。
 
あれっ?
 
嘘だ……
 
めっちゃ美味しい!!
何これやばい、まじ旨い、え、スゴイ 語彙力崩壊。
 
ところてん、超美味しーーーーーーーーーーーーーーーーーい!
 
ひと口で、虜になってしまった。
落ち着こう、とにかく落ち着こう。
 
「爽やかですね、やっぱり夏はところてんですね」
 
さもさも今までごく普通に食してきたかのような感想を言ってしまった。
30年振りなのに。
 
これがまた何故か麦茶と合うんだなぁ。
 
さて、次の問題は、カラシだ。
何を隠そう辛いものが大の苦手な私は、納豆に辛子は絶対に入れない派だ。
 
100歩譲って、とんかつに添える辛子は受け止められる。
とんかつのジューシーさと味の濃さがあるから、ほんのちょっぴり添える程度なら、ツン! とした軽いアクセントとして味わう大人なフリはできる。
 
しかしどうした。目の前にいる心太さんは、ほぼ自身に味が無く、品よく回しかけられた酢醤油に辛子を溶かそうものなら、確実に辛子が勝つのではないか?
こんな場所で、目に涙を浮かべるわけにはいかない。
 
大丈夫、心太さんのつるんとした喉越しと、さっぱりとした酢醤油の流れに乗って、ほんの少しだけ辛子を溶いて、また海苔を滑り止めにして、辛子濃度が濃くなりすぎないように慎重かつ速やかに口へ運べば、スマートな所作になるはずだ。
 
意を決して再びつるん! と頂いた。
 
あ、らららららららら?
 
そんなまさか!
 
辛子を溶かしたら、さらに美味しくなったーーーーーーーーーー!
 
よく冷えた心太に、風味の良い刻み海苔と白胡麻、程よい酸味の酢醤油、そこへスッキリとした後味のカラシを加えると、見事なまでに清涼感たっぷりの夏空へ舞い上がるような味わいになる。
 
もう、心を太く、ズキューン! と射抜かれた。
 
あんなに、あんなに、食わず嫌いだったのに。
こんなに、こんなに、美味しかったのね心太さん。
 
本当にごめんなさい。
 
つるルルルン! と軽やかに、タレの酢醤油最後の一滴まで綺麗に飲み干して、
「ごちそうさまでした」
 
こんなに心から「ごちそうさまでした」を言ったのは、久しぶりかもしれない。
 
再会を果たしたその日、もう居ても立ってもいられず、頭の中は心太さんでいっぱい。帰りがけに和菓子店に立ち寄って心太を購入。
その後も、お店によって微妙に異なる食感やタレの風味で味比べをしたり、ついにはAmazonで心太の突き棒までポチってしまった。
 
今では常時、冷蔵庫の中に愛しの心太さん。
 
何と言っても、カロリーほぼゼロ! 深夜のライティング作業後の夜食に食べても罪悪感ゼロ!
 
心太さんとの再会で最高に元気な夏が過ごせそうだ。
 
 
 
 
***
 
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2019-07-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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