1時間で仕込む保存食作り

第9回:食欲の秋のキケンなお供! いかの塩辛《マンションの1室で簡単にできる! 1時間で仕込む保存食作り》


2022/09/26/公開
記事:赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
1時間あったら、いつもは何をされますか?
 
この連載では、マンションの1室で簡単にできる『1時間で仕込む保存食作り』についてご紹介します。昔から伝わってきた美味しい保存食の知恵を、狭いマンションでも手軽に楽しめる工夫も含めてお伝えしますね。
 
今回はいかの塩辛を作ります!
 

 
いかは大小さまざまな種類があり、地域によってとれる種類も時期も違います。関東に住んでいた時には、主にスルメいかを目にすることが多かったですが、私が住んでいる広島では、コウいかや九州が産地の水いかをよく見かけます。いかの種類によって、味や食感も違うから面白いですね。
 
……なんて書きましたが、小さい頃、あまりいかは好きではなかったです。塩辛も市販のものはイマイチ。でも、祖母の手作り塩辛がとても美味しくて衝撃を受けたのです。手元にレシピが残っていないのがとても残念なのですが、昔の記憶をたどりながら祖母の味を再現するようになりました。
 
今日ご紹介するいかの塩辛にむいているのは、スルメいかです。スルメいかは塩辛の材料として使うワタが大きいからです。ワタは肝臓のこと。調べてみると、冬にとれるヤリいかの食感が塩辛にするのにはいいみたいなのですが、ワタの部分が少ないみたいなので、スルメいかのワタを利用することもあるようです。かつて、いかならなんでも塩辛にできるだろう、と思って、水いかを買ったところ、ワタがほとんどなくて作れなかったという失敗をしたことがあります。初めて作られる方は、ぜひ新鮮なスルメいかを手に入れて下さい。お魚屋さんにあらかじめ予約しておくと無駄がありません。
 
ちなみに、いかをさばいて観察するのは簡単でとても楽しいので、お子さんと一緒にやってみてください!
 
それでは、仕込み開始です!!
 
 
<1時間でいかの塩辛(基本の塩辛)を仕込む>
いかの塩辛の出来上がり約1杯分
仕込みの季節:7月~9月(地域によって獲れる時期が違うので、年中手に入ります)
材料:スルメいか1杯、塩小さじ1~(いかの大きさにあわせて適宜増やす)
器具:網付バットor揚げ物の網がついている皿(なければザルと水受け用の皿)、まな板、包丁、キッチンばさみ、キッチンペーパー、ボウル、保存容器
 
※実作業時間は1時間ほどですが、2日間にわたって作業します。
 
事前準備:冷凍されていない新鮮ないかの場合には、24時間冷凍し、冷蔵庫で解凍する
アニサキスの食中毒を避けるためです。
 
 
0:00 ① いかの胴を確認する。目と目の間あたりで、くっついていない方をキッチンバサミで上の方まで切る

 
目と目の間の部分を見ると、胴にくっついている側とくっついていない側があります。くっついていない方をキッチンバサミで上の方まで切ると、中身を傷つけずにきれいに開くことができます。胴から足と内臓の部分を抜くやり方が一般的ですが、内臓を傷つけてしまうことがあるのでこちらの方が簡単です。
 

 
 
0:05 ②胴と足や内臓の部分がくっついている部分をはがす

 
膜がついているのではがしづらそうですが、足から順番に離れるので、無理に力を入れないように慎重に進めて下さい。ワタを傷つけないように注意します。
 
0:10 ③いかの胴から軟骨を抜き、エンペラ(耳)をはがす
 


 
軟骨はすぐに抜けます。エンペラをはがすときは滑りやすいので、胴をしっかりと押さえてはがします。エンペラの部分にも軟骨のようなものがあるので取り除きます。
 
0:15 ④胴の皮をはぐ
エンペラの皮ははがしにくいですが、比較的皮がやわらかいのではがさなくても食べられます。胴の部分だけ取っていきます。
 

 
 
0:25 ⑤いかのワタと胴体を切り離し、墨袋やそのほかの内臓も外す

 
ワタの袋がやぶけないように引っ張りながら、膜の部分を切り離します。
 

 
墨袋はワタにくっついているのではがします。こちらも破ると墨が出てしまうので注意します。その他の臓器は手でも外せますが、ワタを傷つけないようにするために、適宜キッチンバサミを利用します。
 
 
0:25 ⑥足の部分から、目玉、トンビ(クチバシ)を外し、吸盤を塩でしごく

 
目と目の間にハサミをいれ、内側から目を出します。また、足の根元に口があり、その中にクチバシがあるので、外します。
 
目、クチバシ、内臓(ワタと墨袋を覗く)以外は、塩辛の具材として使えます。
 

 
足は、汚れや吸盤についている輪があるので、塩(分量外)でしごいて掃除します。水でさっと流してキッチンペーパーで水気を拭き取ります。
 
 
0:40 ⑦さばいたいかに塩をこすりつけ、ラップをせずに一晩冷蔵庫で寝かせる

 
塩は小さじ1くらいから、まずワタにたっぷりとまぶし、あとは、すり込んでいきます。ラップはせずに冷蔵庫に入れます。
 
 
⑧一晩おく
0:45 ⑨余計な水分をキッチンペーパーで拭き取り、食べやすい大きさに切ります。

 
 
0:50 ⑩ワタの袋の先を切って、中身を絞り出す

 
 
0:55 ⑪切ったいかと和えて保存容器に入れる

 
これで仕込み完了です! 行程が多そうに見えますが、ほとんどいかをさばく工程になるので、慣れると時間は短縮できます。半日たったあたりから食べられます。
 
保存は冷蔵庫で1週間ほど、長期保存をしたい場合には、冷凍庫に入れて下さい。
 
 

いかの塩辛アレンジ


基本の塩辛をアレンジすると世界が広がります! こちらもぜひ作ってみてください。
 
食べる分だけ取り分けて作ることができますよ!
 

(写真キャプション:左からおばあちゃんの塩辛、カルパッチョ、黒作り)

 
 
アレンジ1 おばあちゃんの塩辛
私の祖母のレシピです。基本の塩辛に、お酒とみりんを少しずつ足します。アルコールなので、お子さんが食べる場合には、お酒とみりんを一度煮立ててから混ぜます(煮切るといいます)。よりお酒が進む一品に。
 
 
アレンジ2 中華風
ごま油を和えます。香りが強いものを使ってみてください。
 
 
アレンジ3 カルパッチョ風
オリーブオイルとニンニクすりおろしを和えます。パスタの具材にもなります。
 
 
アレンジ4 黒作り
墨袋から墨を出して和えます。実はいか墨は栄養が豊富なのだとか。無駄にせず使ってくださいね。北陸の方で作られているそうです。
 
 
アレンジ5 麹塩辛
基本の塩辛に麹を混ぜ、1日に1回混ぜます。4日ほどすると、まろやかな味わいになります。
 
 
基本の塩辛だけでも、あっという間になくなるのですが、沢山作ってアレンジもぜひ試してみてください。
 
 
Let‘s try いかの塩辛!
 
 
(文:赤羽かなえ、写真:たけださなえ)

□ライターズプロフィール
赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)

広島県在住。横浜から広島に移住した当初はほぼ外食暮らしをしていたが、産直などで手に入る自然の恵みに魅せられて保存食作りを始める。今では味噌や沢庵などの発酵食品から梅干し、栗の渋皮煮などを手作りしながら、発酵仕掛人として発酵の魅力を伝えている。また、子供達が自分達の力で一汁二菜を作るキッズキッチンのインストラクターをしていた経験から、単に料理を作るということにとどまらない食文化を伝える食育の必要性を感じている。

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2022-09-21 | Posted in 1時間で仕込む保存食作り

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