関西人にとって「オチ」とは「パンツ」である
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:岸本 暢子(「ライティング・ゼミ」出張フル講座2DAYS in 神戸)
「やっぱり関西の人が書く文章ってオチがついてることが多いんですよ!」
これは、天狼院書店という摩訶不思議な本屋さんが開催するライティング・ゼミに参加したときの話。
講座終了後、大量のインプットに火が噴きそうな脳みそを甘いお菓子で癒しながらプチ懇親会をしていた時、講師の川代先生から出てきた言葉に驚いた。
「このライティング・ゼミは全国でやってるんで、全国の受講生が書く記事のフィードバックしてるんですけど、やっぱり関西の人が書く文章にはオチがついてることが多いんですよ!」
え? えええ?
ちょっと待って?
え? むしろオチなくていいんですか?
オチなしで世に出していいんですか?
なんたる衝撃。
オチがないままの記事を人様の前に出しても良いなんて……。
パンツを履かずに人前に出るのと同じようなもんやん。
私は今年の6月19日からnoteをはじめた。
もうかれこれ3か月が経っている。
「よーし! どんどん発信していくぞー!」
というはじめの勢いはどこへやら……。
現時点で公開した記事はまだ4つしかない。
さぼりまくって全然書いていないのかというと実はそうでもなく、「下書き」には着々と未公開の記事がたまっていっている。
まだ世に出せないと自分で判断しているただの文字の羅列である。
なぜ、公開できないのか?
それは話の「オチ」がついてないからや!
冒頭の講師の一言を聞いた時、やっと腑に落ちた。
私の中に「オチ」がついてないと人前に文章を出せないという謎のストッパーが働いていた。
確かに2日間のゼミの中で「話にオチをつけろ」とは一言も言われていない。
でもプロに習うライティングスキルというのは、プロのファッションコーディネーターにおしゃれな着こなしを習うようなもので、まずはパンツを履くところから教えてくれるわけではないというのが暗黙の了解である。
大丈夫です!
パンツの履き方は教えてくれなくてもちゃんともう履いてきてますし!
それくらいの心構えで臨んでる。
では「パンツ」についてもう少し掘り下げてみたい。
パンツって普段履く時意識してないでしょう?
お風呂から出たあと、「よーし! 今日もパンツ履くぞ!」と気合いをいれて履かないし、
朝起きて「今日も元気にパンツ履いてる!」とは自覚しない。
出かける時にわざわざ「あ、パンツ履いてるかな?」って玄関でチェックもしないし、
取引先でプレゼンする前に「今日はパンツ履いてるから大丈夫!」なんて安心しない。
一日の最後、お風呂に入る前に「あぁ、今日も一日パンツ履いた!」なんてわざわざ充実感に浸りながら脱ぐこともない。
試しに想像してみてほしい。
少し肌寒い日に、「あー! カーディガン忘れたー!」とはなっても「あー! パンツ履き忘れたー!」なんてことはまずない。
そう、パンツはいつも私たちの無意識の中で標準装備されている。
必ず必要なものであり、私たちが人として存在している自覚を陰で支える大切なものなのに、普段は意識されていない。
つまり、われわれ関西人にとっての「オチ」とは「パンツ」である。
普段からわざわざ「この話にオチつけてやるぞ!」と思ってしゃべってないし、文章を書く時もそう。
「オチ」はそんな気合いを入れて装備するものではない。
そもそも気合いを入れてわざとオチをつけた時ほどすべる確率が高い。
でも関西の外に出ると急にこの「オチ」が無意識の世界から表に引きずり出されることになる。
話に「オチ」を求められるのだ。
「やっぱり、関西人は話にオチをつけないとダメなんでしょう?」
「最初からどんなオチをつけるか考えながらしゃべってるの?」
それはまさに「今日パンツ履いてきた?」って唐突に聞かれるようなもの。
キラキラとした期待の目で「今日どんなパンツ履いてるの?」と聞かれているようなもの。
変態か!
関西人はみんな一応パンツを履いてるけれど、その時のテンションや体調によって勝負パンツの時もあれば、ゴムがゆるゆるになったくたびれたパンツの時もある。
なので、あまりパンツパンツと期待しないでほしい。
関西人は話にオチをつけないと死ぬ生き物のように思われているけど、パンツを履かなくても死なないように、オチをつけなくても死なない。
私たちもぼんやりとその場の会話をやり過ごしたい時もあるので、過度な期待は止めてほしい。
とはいえ、話にオチがないのはパンツを履かずに人前に出ることであり、それはとっても恥ずかしいことなのだ。
私のnoteの下書きに残る「ノーパン状態」の文章たちにも早くパンツを履かせて人前に出してあげなければ……。
ということでこの記事は、ライティングのプロが見るということを想定して私が持っている中での一番の「勝負パンツ」を履いてみた。
こんなに意識してパンツを履いたのは久しぶりである。
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