良いじゃん!飲みにケーション
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記事:井上敬介(ライティング・ゼミ平日コース)
「ウチの会社は飲み会が多くてさあ……」
久々の同窓会。向かいの席に座った友人が5杯目のハイボールを飲みながら愚痴り始めた。
なんでも彼の会社は昔からの体育会系な社風だそうで、仕事終わりに上司や先輩に飲みに連れられて行くことがしょっちゅうあるのだという。
うらやましいな、と思った。
私の勤めている会社は、長野県のちょっと奥まった場所にあることもあり、社員のほとんどが車で通勤しているため、飲み会というものがほとんどないからである。
「自分は大の酒好きだから、もっとお酒を飲む場が欲しいのに~!」というわけではない。
ただ、コミュニケーションの場としての職場の飲み会、いわゆる「飲みにケーション」があることを「うらやましい」と思ったのだった。
私がそう思ったのには、現在私の会社で社内セミナーや勉強会が頻繁に行われている「チームビルディング」に関係がある。
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「チームビルディング」とは、メンバーが主体的に力を発揮しながら、高いパフォーマンス(成果)を上げられるチームになるための、取り組みや施策のこと。
昨今では新しい組織管理の方法として、注目されている考え方だ。
チームビルディングを解説している書籍によると、チームとして高いパフォーマンスを発揮するためには「量のコミュニケーション」と「質のコミュニケーション」が、両方必要だといわれている。
「量のコミュニケーション」とは、お互いの家族の話や最近あったことなどの、他愛のないコミュニケーションのこと。
対して「質のコミュニケーション」とは、来期の会社の戦略の話や、現在の仕事の課題解決策など、いわゆるちょっと頭を使うコミュニケーションのことだ。
相手の人となりも分からないままに、お互いの意見をすり合わせて、納得感の高い施策を実施していくのは難しいからこそ、量→質の順にコミュニケーション量を増やしていきましょう……というのが、チームビルディングのベースとなる考え方である。
私自身、チームビルディングは良いものだと感じているので、力を入れて取り組んでいるのだが、ここ最近の悩みの種となっているものが「量と質の真ん中にあるコミュニケーション」の欠如である。
量のコミュニケーションは確かに大切だ。
が、仕事を進めていく上では「昨日家族とこういうことがあってさ」という話をするだけでは不十分なように思うのだ。
チームで意思決定する、そのためには、メンバーそれぞれの仕事観・価値観なども知っておいたほうがベターだ。
そうしておいた方が、議論の過程で「なんでこの人はこんな意見を出すんだろう」とモヤモヤすることも減り、結果として良いパフォーマンスが発揮できる可能性も上がる。
ただ、そういった仕事観や価値観の話は、なかなかするタイミングがない。
日常の話(=量のコミュニケーション)ほど気安いものではないし、具体的な仕事の議論(=質のコミュニケーション)を話しているときにするような話でもない。
この、量と質の間のコミュニケーションが出来ると、もっとスムーズにチームで仕事ができるのに……と感じているのだが、そこが上手いこといかないのだ。
なぜか、と考えてみる。
そこで思い至った一つの要因が、冒頭に出てきた「飲みにケーション」の少なさである。
「いやいや、別にわざわざ飲みに行くことなんてないじゃない。ランチで十分でしょ」
という声が聞こえてきそうだが、考えてみてほしい。
大抵の会社の昼休みは1時間。そこから食事場所への往復移動時間、実際に食べている時間……などを差し引くと、残るのは2~30分ほどのものだ。
そこで「ちょっと踏み込んだ仕事の話」をするのは、かなり難易度が高いのではないかと思う。できたとしても、尻切れトンボになってしまうのではないだろうか。
だからこそ、飲みにケーションは有効だと思うのだ。
仕事が終わった後に、ちょっと腰を据えて、ただ会社の中よりはフランクな雰囲気で、仕事の話をすることができる。「量と質の真ん中にあるコミュニケーション」が取りやすいのでは、と思う。
そしてその後の仕事で「質のコミュニケーション」がもっとできるようになるのでは、すなわち、大きな成果を出せるようになるのでは……と思っているのである。
飲みにケーション、というと今は「パワハラ」「アルハラ」などのネガティブな言葉とともに想起されがちだが、そこには会社で成果を出していくための、良い側面もあったのではないだろうか。
「仕事は仕事、プライベートはプライベートできっちり分けて考えたい」
「アフター5は会社のことを忘れて自分のことに時間を使いたい」
最近は、そんな考えの人が増えているのだと思う。
が、その一方で「仕事仲間と飲みに行ってコミュニケーションを深め、もっとチームで良い仕事をしたい」と思っている僕のような人も、実はそこそこいるんじゃないか、と思う。
「会社の飲み会が多くて面倒だな……」と憂鬱になっている人は、
その飲み会に参加することの意味を、同僚や先輩、後輩と何気なく話してみたら良い。
「飲み会をそんな風に考えている奴がいるんだ」と、飲み会の見方がちょっと変わるかもしれない。
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