百聞は一見に如かず
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記事:齋藤絹子(ライティング・ゼミ講座)
昨今デモや民主化運動で何かと話題になっている、香港。
12月初旬に行ってきた。そもそも9月の段階で、すでに現地勉強会のスタディーツアーが企画されており、それに参加する形で、行ってみたのだ。
私はテレビを一切見ないので、日本で香港がどのような形で報道されていたのか、知らない。
が、デモが吹き荒れて、「危険な」 香港などには、渡航したくない、と思わせるに値する
報道だったに違いない。だって、残念ながら、日本人と思われる観光客を、現地で見かけることはほぼなかったし、電車に乗っていて、日本語が聞こえてくることもなかったから。
じゃあ、実際行ってみてどうだったか? というと、ちっとも怖い感じはなかった。
街を歩いていても、治安が悪いところにありがちな、ピリピリした緊張感は、ほぼ感じられない。
ごくごく普通の都会である。下手すると東京よりも治安がよいのでは? と思ってしまった。
もちろん、黒いマスクをした、危うげな学生風もいなければ、デモをしている人達もおらず。
ただし、所々、はめ込まれていた煉瓦を無理やり外して、デモ隊が投げるのに使った後として、
歩道がコンクリートで塗り固められている。
地下鉄の出入り口の一部は、すべてぐるりとトタン板状のもので囲まれて使われないようになっている。スプレーで書いたらくがきの後。通路の柱にベタベタ張られたビラ。
デモの残滓はそんなところに残っていた。
ちょうど11月末に区議会選挙で香港政府側が圧勝したためか、デモはどうやら収束方向に向かっているようである。
「な~んだ、やっぱり大丈夫じゃない」、 と私は一人心の中でつぶやいた。
現地で勉強会を主宰していただいた、香港で創業20年になる日系企業の日本人駐在員の方々も、口をそろえてデモの影響で観光客が激減している、と言っていた。
おかげで、百万ドルの夜景が美しいと言われる、ビクトリアピーク行のトラムもガラガラ。
通常トラムのチケットを購入するのに1時間並び、トラムに乗るのに2時間待ちとか。
いたってスムーズで、観光客も少なく、夜景を存分に堪能することができた。
香港ディズニーランドも同じように、並ぶことなくアトラクションが楽しめるそうだ。
特に中国本土からの観光客が減っているそうで、レストランでの食事も待ち時間なし、
予約も簡単。おまけにホテルもネットで直前に延泊予約をしたら、
割引率が9割近くで激安だった。
日本で報道される情報だけを鵜呑みにしていたら、多くの場合、「危ないから、行かない」、 という選択をしてしまうだろう。確かに、それも1つの選択だ。でも、判断材料を1つだけにしてしまうのは、ちょっともったいないと思う。だって、他にも色々な視点から、安全かどうかを調べる方法はあるから。
実際、外務省の海外渡航安全情報では、香港は、「十分注意が必要」 のレベル1で、
私が現在駐在している、カンボジアと全く一緒だった。これはごく普通に注意していれば、
全く問題ないレベル。
それから、香港、治安情報、などのキーワード検索でヒットするブログを斜め読みして、
現地在住者が書いていて、現地の情報をきちんと伝えているものを複数選び、
必要に応じて質問したりしてみた。あとは自分で揃った材料を基に、どう判断するかである。
そもそも、香港デモの場合、無差別テロ的な爆破事件は起きていない。
だから、実際にデモの起きている場所にさえ、野次馬根性で行ったりしなければ、
安全上の問題はおそらくないだろうと思い、私の場合は、香港、問題なくいけるだろう、
と最終的に判断した。
実際のところ、治安情報にしろ、お土産選びにしろ、現地に住んでいる日本人に訊くのが一番確実だと思う。その方が、ただの観光ではわからないことが、色々と見えてくるし、ガイドブックには載っていない、以外な穴場を知ることができたりするから。
今回は特に、仕事を通して香港に関わっている人から、セミナーという形で色々な話を聴くことができたので、観光客の視点だけでなく、香港という場所から、日本という国の在り方を知る、いい機会にもなった。
例えば、20年前の香港には、ちょうどバブル経済時で、日系企業もたくさん進出しており、香港島の対岸から見るビル群に、たくさんの日系企業の看板が見られたそうである。
が、現在はほんの1-2社のみ。あとは中国系企業等にとってかわられてしまっているとか。
実際それを目の当たりにすると、なんとも寂しい限りである。
こんな風に、日本の外に出て、その場所から日本を観た時に、比較対象ができて初めて、日本がどんなふうに見えるか、その良しあしが、客観的にわかるものがあると思う。
セミナーの最後に、主宰者がいい言葉を教えてくれた。
「百聞は一見に如かず、には続きがあります」、 と。
百見は一考に如かず、
百考は一行に如かず、
百行は一果に如かず、というものだそうだ。
すなわち、色々なものを読んだり聞いたりするより、自分の目で実際に見て、感じて、考え、それを実行して、何か成果に結びつけることが大切である、ということになる。
インターネットで簡単に色々な情報が入手できる今の時代だからこそ、私達はなおさら、
実際にその場所に行って、自分で五感を通して体感することが、大事なのではないだろうか? と私は思うのだ。
機会があったら、ぜひそんな風にガイドブックに頼らない海外旅行をしてみて欲しいと思う。
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