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正義の味方が人を傷つけるかも。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:白銀肇(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
私はちょっと短気なところがある。
自分でもわかっていて気をつけているつもりなのだけど、どうしても瞬間的にカッとなってしまう。
 
怒りをあらわにする姿というのは周りに良い印象は与えない。
一度あらわにしてしまうと周りの空気を損なってしまう。
勢いもあるから、途中で我にかえっても引くに引けないときもあったり……。
とにかく良いことはない。
 
そんな自分の怒りについてハッと気づかされる機会があった。
 
それはつい先日、郊外の大型倉庫系スーパーへ家内と娘と買い物に出かけたときのことだった。
そこは、取り扱う商品がボリューミーなものばかり。
だから商品を入れる買い物カートが大きい。
 
その大きなカートをお店の入り口前で取り出し、ゴロリゴロリと音を立てて店内へ入っていく。
このご時世ではあるのだけど、人気のお店だけに店内は人がいっぱい。
連休中でもあったことから小さい子供さんを連れた家族ぐるみのお客さんが多かった。
 
そんな人混みのなかを、周りをよくみて気を使いながら大きなカートを押し進んでいく。
 
さまざまな人がいる。
カートの押し方も、人それぞれだ。
 
そんななか、ついカッしてしまうことがある。
 
それは、人の流れを邪魔するかのようにカートを置いて商品を物色する人や、さらに、そんなことに全く気がつかずカートをどけようとしない人を目にしたときだ。
 
このような場面を見てしまうと、私はすぐカッとなってしまうのだ。
「もうちょっと周りを見てカゴを置けないものかな」とつい思ってしまう。
 
自分が直接迷惑をこうむったときならまだしも、そうでないときでもこのような場面に出くわすと、怒りを感じてしまうのだ。
 
車を運転している時でもそうだ。
ちょっとマナーの悪い車、譲り合いや思いやりが感じられない運転、自分さえよければ……と思える運転、このような状況を目にすると、同じようについカッとなってしまう。
 
「なんでもっと他の人のことを考えられないのだろう」
「なんでもうちょっと周りへの注意が払えないの?」
 
そんな思いと怒りの感情が込み上げてくる。
 
マナーの悪いやつらは許されないよね
人に迷惑かける人って信じられない。
 
自分はちゃんとしている、だからちゃんとしていない人は許せない。
正義の味方気取り。
「自分が正しい」という思いが底にあって、そこが自分の怒りの根源であることに気づかされた。
 
そもそも自分の「正しさ」ってなんなのだろう?
そう問いかけたとき、明確に言葉にできない自分がいることもまた気づかされた。
 
この自分の「正しさ」が幻想でいかにもろいものであったか、ということを思い知らされた出来事がこの買い物中におこったのだ。
 
それは、一緒に来ていた娘から受けた注意のひとことから。
 
「お父さん、危ない! 周りをもっとしっかり見てなあかんよ」
 
自分は、周りを見てカートを操っていたつもりなのだが、どうやら危ない場面があったらしい。
それを娘が指摘してきた。
 
おかしいな、そんなはずはない、自分はちゃんと周りを見ていた。
間違いない、私はちゃんと見ていた。
だから、すかさず答えた。
「ちゃんと見てたよ」と。
 
娘がさらに言ってくる。
「何いうてんの、さっき小さい子に当たりそうやったの気がつかなかったん? かなり危なかったで」
そこまで言われてようやくハッとした。
え? そやったん? 小さい子? あれ、そんな子いたっけか??
 
どうやらいたらしい。
その子の存在に私はまったく気がついていなかった。
周りを見ていたつもりだったのだが、結局のところすべてを見きれていなかったのだ。
そんな自分にも非がありながら、娘の言葉が聞こえていないようなフリをして私はバツ悪そうに先へ先へと進んでいってしまった。
 
結局のところ、自分はできているつもりで実はできていない。
そんな人の過ちは許さないけど、自分の過ちは認めることができずごまかそうとしている。
そんな自分の一面を突きつけられた瞬間であった。
なんとも情けない話だ……。
 
だけど、この出来事はあらため気づかされた。
自分が放つ「怒り」ってどれほどの独りよがりなんだろうか、と。
自分が思いどおりにならなかった感情をただ周りに巻き散らしているだけやないか、と。
だから「怒り」って周りをいやな気持ちにさせてしまうのだ、とそんなことをあらためて実感した。
 
さらに言えば、「自分が正しい」なんて思い込みからの怒りなんて、もっとタチ悪いかも、と思う。
だってそれは「怒っていることが正しいのだ」という「思い込み」になってしまうから。
周りの嫌な気持ちにさせている怒りを振りまいていることが正しい、ということを信じてしまうことは冷静に周りが見えなくなってしまっているということだ。
それこそ、「自分が正しい」と信じてしまって、他の人を傷つけるような言葉を平気で発してしまうかもしれない=誹謗中傷への道。
 
自分が正しいと思っていることから怒るのだ=自分の怒りは正しい、という幻想。
このことが一番怖いかも、と思ってしまった。
 
怒りの原因は他にもいろいろとあるかもしれない。
でもまずこの原因のひとつが見つけられただけでも気持ちがスッキリした。
娘にはちょっとカッコわるいところ見せてしまったが、でもこのことを気づかせてくれた娘のひとことには「ありがとうございます!」と感謝しないではいられない。
 
「この気づきを教えてくれて、ホンマにありがとう!」
 
 
 
 
***
 
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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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