お母さん、辛いときは我慢しないで泣いてもいいんだよ。
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記事:渕脇真希(ライティングゼミ7月開講通信限定コース)
『まき先生がお母さんだったら良かったのに』
『まき先生がお母さんだったら良かったのに』
『まき先生がお母さんだった良かったのに』
ときどき、こだまのようにこの言葉が私の中で思い出される。
もう、20年近く前の話しなのに彼女の言葉が忘れられないのだ。
この言葉は、当時、私が保育所で働いていた時に、6歳の女の子に言われた言葉だ。
無邪気な笑顔の裏には、強い寂しさと悲しさが隠れているのが分かり、とても痛々しくて当時の私には何も答えることができなかった。
私は、笑顔にもならない涙目のひきつった作り笑いで、彼女を抱きしめることが精一杯だった。
私は保育士になってからまだ2年目か3年目の頃だったと思う。
二十そこそこで世間的に言われる『若くて元気な人気者の先生』だった。
私は、一人暮らしでとても小さい1DKのアパートに住んでいたし、何よりも二十そこそこの私には彼女を受け入れる大きな器をもっていなかった。
彼女ももちろん本気で言った言葉ではなかっただろう。
彼女のお母さんは突然いなくなり、3歳の弟と6歳の彼女はおばあちゃんに育てられていた。
保育士の私には、個人の家庭事情には深く入り込むことは出来ないので彼女の母親に何があったのかは分からない。
自分が母親になった今なら凄く分かる。
思い通りにいかない子育てのつらさや、自分のやりたいことをやりたい時に出来ないという歯がゆい気持ちだって痛いほど共感できる。
自分が母親になった今だからこそ『お母さんも辛かったんだよねっ』と一緒に涙を流すことだって出来るかも知れない。
でも、子育てをしたことがなかった小娘の私は『子どもをおいて出ていくなんて信じられない、酷い親だ』なんて無責任にも思っていた。
今なら分かる。
子どもを愛していないお母さんはいない。
でも、それがうまく子どもに言葉で伝えることが苦手だったり、身体で表現することが出来なかったりするのかもしれない。
子どもを置いていなくなってしまった彼女の場合は、子どものために子どもから離れなければいけない事情があったのかもしれない。
もしかしたら、女の子のお母さんも、お母さんから愛情の表し方を十分に伝えられてこなかったのかも知れない。
それは私には分からない。
子どもは、お母さん
あなたを選んで生まれてくる。
あなたは、あなたの子どもにとって世界に一人だけの特別な存在だ。
だからって『完璧に子育てをしなきゃ』と自分で自分を苦しめることはしなくていいと思う。
『私なんてダメな母親なんだ。』なんて思う必要もない。
世界中のお母さんはもう十分に頑張っていると思う。
子どもはあなたの存在があるだけでいい。
あなたはただ、子どもの横にいてくれるだけでいい。
赤ちゃんって生まれてまもなくするとニコって笑うでしょう?
天使のような微笑みで、見ているこっちも自然と笑顔になる
子どもはただお母さんに笑っていて欲しい。
時は経ち私は、今、オーストラリアにいる。
二十の小娘から3人の子どもを育てている少々のことでへこたれない貫禄のある母ちゃんになった。
私の子どもが『ママがママで良かったと思っているかどうかは分からない。』
でも、私はこの子達のママになれて良かったと心から言えるし、心から愛している。
英語圏には『ハッピーママ、ハッピーファミリー』(またはハッピーワイフ、ハッピーライフ)ということわざがある。
家族のことわざでも、日本でひと昔前に流行った『亭主元気で留守がいい』とだいぶ違うなと思い出して苦笑いしてしまったが、、、
『ハッピーママ、ハッピーファミリー』はママが幸せだったら家族も幸せというという意味である。
だから、お母さん
逃げ出してしまうくらい辛いときは、我慢しないでもいい。
泣いてもいい。
子どもの前で泣いたっていい。
あなたの子供が泣いたときにあなたが『よしよし』と頭を撫でてくれるように、あなたの子どももあなたのことを小さな身体全身でギューっと受け止めてくれるだろう。
雨が降った後に虹が出るように、涙の後にはきっと笑顔が現れる。
タイムマシーンにのって20年前の女の子のお母さんに伝えることが出来たらどんなにいいだろう。
『辛いときは我慢しなくて泣いてもいいんだよ。』と。
もしかしたら、女の子のお母さんは泣くことも出来ずに、孤独に耐え切れずに逃げ出してしまったのかも知れない。
6歳の女の子は今頃26歳くらい
お母さんと再会することは出来たのだろうか。
もしかしたら女の子自身が誰かのお母さんになっているかもしれない。
26歳になった彼女は、どんな女性になったんだろう。
私は、きっと6歳の女の子が思い描いた理想のお母さん像とはかけ離れていると思う。
何よりも若くないし、可愛いと言われる年も過ぎた。
でも、母親になったからこそ、母親の大変さも分かる。
ふと、こだまの様に思いだす6歳の少女の言葉
彼女と自分の娘がときどきリンクする。
私は6歳の女の子のママになることは出来なかったが、私の娘が大きくなったときに
『ママがママで良かったよ』と心から思ってもらえるように、笑顔で過ごすことを心得ていている。
世界中のお母さんに伝えたい
お母さん、あなたはもう十分がんばっているよ。
だから、無理をしないで欲しい。
辛いときには助けを求めて欲しい。
笑顔は世界共通だ。
あなたの笑顔はきっと他の誰かを笑顔にする。
笑顔の連鎖を広げたくて私は、ママ向けに色んなワークショップを行っている。
笑顔で過ごすために、まずは好きなものを食べて自分で自分を笑顔にしよう。
ということで私は今から大好きなコーヒーとチョコを頂きます。
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