書くことは自分の空き容量を増やすこと
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:三浦加織(ライティング・ゼミ日曜コース)
私がライティング講座を受けたのは、仕事で自分が伝えたい言葉が出てこない、と思ったのがきっかけだった。
会議で何かを伝えないといけない場面で適当な言葉が出てこなかったり、企画書に簡潔で説得力のあるコピーが書けなかったり、もどかしい思いをすることが多かったからである。
私はボキャ貧なんだろうな、と思っていたが、どうやらそれだけではないことに気が付いた。
言葉が出てこない原因は、今まで自分のことを話さずに来たからだ、ということだった。
私は子供の頃から人の話を聴くのが好きだった。自分が体験していない出来事や生い立ちなど、相手が話す言葉から想像し、自分のことのように追体験出来るからだった。だから、私は友人の良い聞き役として、割と頼りにされていたように思う。そして、人の役に立っていると思えたことが、自分を認め、肯定するベースにもなっていた。
大人になってからも聞き役として重宝されていると気が付いてからは、そんなことが誰かの役に立つのなら、と産業カウンセラーの資格も取った。誰かの悩みに寄り添い解決に導ければいいな、と思ったからである。そのことで、生きて行く上で誰かの助けになれる、と自分なりに自信につながっていったように思う。
なので、話を聴くことで役に立てるという思いが先にあり、自分自身が誰かに何かを話したい、という欲求はあまりなかった。友達と会っていても、自分のことを話さず終わってしまった、というのも珍しくなかった。
一方仕事では、自分の提案を理解し納得してもらえるような、適切な言葉や文章を用いて説得する、ということに苦手意識を持ち、いつももどかしさを感じていた。
そんな感じなので、FacebookやTwitterなど、SNSは見る専門で、自分からはほとんど投稿をしない。他人の投稿をふんふんと読む方が楽しく、自分から写真をアップしたり出来事を書いたりして発信したい、という欲がなかったからだ。
自分の存在を認めて欲しい、という承認欲求は少なからずあるはずなのに、恥ずかしくて言い出せないし、面白く話せないからいいや、とどこかあきらめていたのだと思う。
転機が来たのは今の業務に就いてからだ。私は今銀行の社内外コミュニケーションを行う部署におり、ブランディングやPRの企画書はもちろん、社長のメルマガなどの代筆をする機会も多い。
私は自分が書けないことに深刻に悩んでいた。それは、パソコンを前に何から書き出したらいいかわからず、全く指が動かないのでどんどん後回しになり、締め切りまで貯め込んでしまうことが多かったからだ。
私には、企画として書きたいイメージはあれど、わかりやすくアウトプットすることが苦手だった。書きたいイメージの構成を考え、適切な言葉に要約し、わかりやすく伝える能力がないのだ、と客観的に見つめては、役に立てていない自分にため息をついていた。
思い起こせば、自分の考えを言語化できないのは、子供の頃から人の役に立とうと思うあまり、自分の思いを伝えようとしてこなかったからではないか、と考えるようになった。
皮肉にも、話を聴くことで誰かの役に立ちたいと思っていたのに、自分の話をしてこなかったことが原因で、仕事では役に立てない自分になってしまったのだ。
思わず、自分の思い描いた人の役に立つ、とは何だったのだろうか、と混乱し立ち止まってしまった。
今更自分の欠点に気が付いたものの、自分の思いを話せるようになるには、一体何から始めたらいいか、また、この数十年の経験の少なさをどう変えていけばいいのか、途方に暮れてしまっていた。
ある時、勇気を振り絞って、ライターをやっている友人に相談した。今実際に仕事で文章が書けないことに困っていること、またそれは、自分の思いを伝える努力をしてこなかったのが原因ではないか、ということを。
そして、その悩みについて話しているうちに、いつの間にか本題から逸れて家庭や仕事の悩みを打ち明け、怒涛のように話していた。珍しく私は自分のことを話したのだった。
「色々とモヤモヤしてるんだね? では毎日1行でもいいから、その日あったことを書き出してみたら?」と友人は優しくアドバイスをしてくれた。「まずは自分の気持ちを吐き出すことから始めて、自分自身のモヤモヤの便秘状態をスッキリさせることじゃないかな。仕事でもなんでも、良いことも悪いことも、インプットを貯めこまないこと。貯め込み過ぎて自分に容量がない状態だと、良いアウトプットはなかなか難しいと思う。インプットをするだけではなくて、思ったことを吐き出して。それから始めるんじゃないかな?」と。
そんな時、Facebookで天狼院書店のライティング講座の広告に目が留まった。広告をクリックしてみると、そこには赤字で、講座の申し込み締め切りが明日の日付で記されてあった。
これも何かの縁だ、と背中を押された気がした。書くというアウトプットをする機会を与えられたと思って、今だ、と即座に申し込みをした。広告をクリックしてから10分も経たなかったと思う。
申込フォームに入力し、送金した。ただそれだけで、もう腹をくくったからか、自分の中のモヤモヤした澱のようなものがスッと無くなるような気がした。
今のところ、作文の提出をギリギリ3回何とか間に合わせているが、どうすれば良い文章が書けるのか未だにわからないし、ああ良いアウトプットが出来た、という感覚には乏しい。今はただ、オンライン講座で教えていただいた型に自分を慣らし、ひたすら手を動かしている、に過ぎない。
それでも、こうやって書くことで自分をさらけ出し、自分の容量を開放しているのだな、と気が付けただけでも、私は嬉しかった。
アウトプットはインプットの母だ、と電通のあるコピーライターの方が言っていた。ライターの友人も、書いて吐き出すことで自分が楽になれる、と言っていた。自分の中の容量を開けないことには良いインプットは得られないことなのだと、自分なりに理解出来たような気がした。
私は今まで、自分のことを話したり書いたりすることを、出来るだけ避けていた。自分のことを話したい、伝えたいという動機もなく、それにどうせ書くなら面白くアウトプットしなければ、とどこか自分を縛っていたからなのだと思う。
それでも、何でもいいから、恥ずかしくてもいいから、面白くなくてもいいから、自分のことをさらけ出さないことには、書けない、話せない、という悩みからは解放されないのだ、とわかった。
自分のことを話さないことが、まさか業務に支障をきたすことになるなんて、全く想像していなかった。
でもそのことに気が付いたおかげで、良い提案、良いアウトプットをするには、まずは自分を開放することからなのだ、と今回この経験を通じて初めて知ったのだった。
はじめは、仕事で文章を書く必要に迫られて、ライティング講座に申し込んだ。でも今では新たな気付きを得ている。
インプットでパンパンになったフォルダを開放し、空き容量を増やすことから始めよう。
それが、私がライティングをして行く上で、必要な過程なのだと。
***
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