この子は傷ついているのかもしれない、といわれて、はっとしたこと。
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記事:山本周(ライティング・ゼミ平日コース)
「『この子は、実は傷ついているのかもしれない』と考えてみることが必要です」。心療内科医の明橋大二さんは、著書『HSCの子育てハッピーアドバイス』で書いている。
傷ついている、という表現に、何だかわたしははっとした。この言葉、少なくとも、50歳を越えた、おっさんのわたしが、日常使うことはない(そりゃそうだ)。使うのは……やはり若い人、じゃないだろうか。思春期を迎えた子たちが、傷つけられた、傷つけてしまった、といった具合だ。
しかし、この本で対象として取り上げているのは、幼年期の子どもたちのことである。今、私の家族には10歳と8歳の、小学生の子がいて、まさに、幼年期の子たちであり、この年代の子らが「傷ついている」。
遠い誰かの話ではなくて、自分に身近なことなんだと、妻に手渡されたこの本を読んで、わたしは急に居ずまいを正した。
ひといちばい敏感な子(HSC=Highly Sensitive Child)が、子どもたちの中に一定割合、含まれている、と提唱したのは、アメリカの心理学者、エレイン・アーロン氏である。明橋医師も、スクールカウンセラー、児童相談所の嘱託医として、たくさんの子どもに接する中で、感覚的にも、人の気持ちにも、とても敏感な子どもたちがいることに気付いたという。
わたしの小学4年の息子に関していうと、今はそう頻繁ではないが、小さい頃に、いわゆる「ふてくされる」ことが多かった。友だちとの間で、何か自分の意に沿わないことがあると、言い返したり、それこそケンカになったりすることはあまりなく、すねる、ふてくされてしまう、といったことが多かった。
また、親のわたしなどが、彼に注意した時に、極端に落ち込む、ふさぎこむ、ということがある。例えば、一緒に食事をしていて、その姿勢よくないよ、となにげなく言うと、ガクッと肩を落としてしゃべらなくなる。
えぇっ? どうしてそんなに落ち込むのかな……とわたしは彼の反応にとまどう。そんなことが続き、彼に何か伝える時には、気を遣うようになってしまった。
明橋医師は、「ひといちばい敏感な子」が、ささいな刺激に大きな影響を受け、すぐ疲れてしまうといったことが起こる反面、実はとても豊かな感性を持ち、人の気持ちを思いやる優しい心を持っていることにも気が付いた。こんな子どもたちのことを、多くの人に知って欲しい、理解して欲しいと感じていた矢先、エレイン・アーロン氏のHSCという言葉に出会った。これまで自分が子どもたちに感じてきたことを言い表してくれた言葉がHSCだったのだ。彼はHSCを日本に紹介するため、彼女の著書を邦訳することになる。
2015年に出版された翻訳書、『ひといちばい敏感な子』は、全国から反響があり、「まさにうちの子です! 」「今まで、どこかこの子は他の子と違う、と思ってきましたが、この本を読んで、すべてが腑に落ちました」と続々感想が届いたという。
「繊細さん」というネーミングで、この1~2年、日本で急に認知が広がった人たちがいる。実はこれ、HSCの大人版(HSP=Highly Sensitive Person)のことだ。その人たちのことを書いた『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(武田友紀著)という著書は、メディアでも取り上げられ、約40万部のベストセラーになっている。
わたしは、どちらかというと、さまざま生きていく上で、何らかの障害があり、少し他人と違うからといって、その人を区分けしてしまうようなことは、あまりよくないように思っている。HSC、繊細さんといったように区分けをすることによって、何か特別で特殊な病気のように思えてくるからだ。ああ、あの人はそういう病気なのね、私たちとは違うのね、と思考を停止して関わることをやめてしまうことは、避けたい。
でも、区分けすることで、その症状に合う生活様式が見いだされ、周りの環境も整えられることで、当事者が以前よりも生活しやすくなるということなら賛成だ。HSCの本を読んで、お母さん方が、ああ、うちの子は普通と違って、ものごとをこんな風に受け取り、こんな風に感じているんだ、と思いを馳せられるなら、その子どもたちはもっと生きやすくなる。
わたしの子どもの頃は、HSCという言葉はなかったし、世間一般の認識もなかった。敏感に感じる子どもにとって、周囲の理解のなさは、その子たちが、さらに困難な場面にぶつかる原因となってしまっていたのではないか。
アーロン氏は、HSCの子を育てる時の親の座右の銘として、次のように言っている。「他と違う子の親になるなら、他とは違う親になる覚悟が必要です」。
大切なことは、周囲に惑わされず、まずわが子のことをしっかり見て、その子に必要なこと、必要でないことを親自身が考えていく必要がある。「この子は、実は傷ついているのかもしれない」と考えてみることが大事なのだ。
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