メディアグランプリ

耳そうじが嫌いなあなたへ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:エルコンドルパサー(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「耳そうじをしなくて良い方法はありませんか?」
そう質問した私に耳鼻科のおじいちゃん先生はこう答えた。
「ありますよ」
 
私は耳そうじが大の苦手である。なぜなら私の耳垢は非常に固い。固いから、耳かきでこそぎ取る様にしなければ取れない。そしてこれがとても痛い。風呂に入っている時にもぐってみたりしても、てんで効果がない。
 
だから私は子供の頃は母親に言われるまで耳そうじをしなかった。もちろん自分からして欲しいなどと言ったことはない。妹の耳垢は柔らかくて、自分から耳そうじをねだっていたのとは大違いである。
 
そんな耳そうじ嫌いの私だから、大人になって一人暮らしを始めたりしてからは、耳そうじをする回数もめっきり減った。それでも大学生までは実家に帰った時に母親に無理矢理されたが、社会人になると一切拒否した。それでも特に健康診断の聴力検査でも異常はなかった。それどころか仕事が忙しくて耳そうじのことなんて考える余裕はまるでなかった。
 
そして気づいたら、全く耳そうじをせずに3年くらい経ってしまっていた。引き続き聴力に異常は無かったが、流石に年単位で放っておいたことにビビった私は、仕事の合間を縫って耳鼻科に行くことにした。
 
私はインターネットで評判の良い医者をじっくり探し、そこにいくことにした。私は歯医者で歯を削られるのと同じくらい耳鼻科で耳を触られるのが嫌だった。だから、もし痛みを伴わずに処置できないと言われたら、すぐに診てもらうのを止めるつもりでいた。そして何件でも痛くない処置をしてくれるところを探すつもりでいた。
 
しかし一軒目が当たりだった。出てきたのは恐らく70歳を優に超えたおじいちゃん先生だった。その見た目からは昔ながらにゴリゴリやりそうな感じがしてビクビクした。しかし、痛くない様にして欲しいと言うと、おじいちゃん先生は耳垢を柔らかくする薬があるのでそれを使ってくれるとのことだった。
 
本当にそんな薬があるのかと私は半信半疑だった。しかしその薬を耳に垂らして数分後、おじいちゃん先生が取れたよ、といってすんなりと処置は終わった。私はほっとしたものの、私の耳から出てきたものを見て、ぎょっとした。なんと、私の耳からは長さ数センチはあろうかという耳垢の円柱が出てきたのだった。
 
私はその大きさに、自分の耳にこんなものが入っていたのかと今更ながら恐怖した。こんなに簡単に耳垢が取れるのかという驚きよりも、自分の耳垢が自然遺産並に成長してしまったことの方に何倍も驚いてしまった。
 
耳そうじは変わらず嫌だったが、それよりもまた数年かけてこの様な自然遺産を育てる勇気はなかった。しかし耳そうじはなるべくしたくない。困惑した私はおじいちゃん先生におそるおそる聞いてみた。
 
「耳そうじをしなくて良い方法はありませんか?」
そう質問した私に耳鼻科のおじいちゃん先生はこう答えた。
「ありますよ」
え? あるの? 拍子抜けするくらいにおじいちゃん先生はあっさりと答えてくれた。
 
「どうすればいいんですか?」
「お風呂に入っている時に、耳を下に向けて、その耳に下側から10秒間シャワーをあてなさい」
「それだけですか?」
「それだけだよ。ただし毎日ね」
「毎日ですか」
「毎日。要は、耳垢を溜めないで洗い流せばいいんだ」
 
私はとても信じられなかった。そんなことで長年苦しめられてきた耳そうじから解放されるとは思わなかった。だが、モノは試し。騙されたと思ってしばらくやってみることにした。すると、意外な程その効果はてきめんだった。この方法で毎日耳をキレイにする様にしたら、おじいちゃん先生が言った様に耳垢が全く溜まらず、耳そうじをする必要が一切なくなってしまったのだ。
 
この方法は本当にすごくて、この方法を続けてもう10年くらいになるが、私はその間に耳そうじを本当に全然していない。つい一月前くらいも耳の様子を見てもらったが、まったくキレイなままだった。おじいちゃん先生の知恵袋、恐るべしである。あるいは、やはり毎日汚れをきちんと落とすということが大事だということだろうか。
 
恐らく、ご自身やお子さんが耳そうじが苦手だという方は結構いらっしゃるのではないだろうか。そんな方には是非、この方法を試してみてほしい。
 
ただし、私は耳鼻科のお医者さんではないし、私にピッタリだったこの方法が、他の人に当てはまるとは限らない。何かあっても責任は取れない。だから、もしこの方法を試してみるのであれば、きちんとかかりつけのお医者さんに相談した上で、試してみてほしい。
 
このお話が、あなたの日常の苦手なものの克服に役立てば幸いである。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事