あなたを輝かせるジャンルの条件
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:堀川 哲朗(ライティング・ゼミ日曜コース)
「オレ、好きなことしかやらないで生きていくタイプでー」
そんなセリフを当時一緒に働いていた携帯ショップのバックヤードで、後輩に
投げかけられたことがある。
その後輩はまだ売れないバンドマンで、当時は比較的時給の高かった
携帯電話のアルバイトで生計を立てていた。
毎年年末になると、年間のヒットチャートをチェックするようにしているが、未だに
彼のバンドの名前を目にしたことはない。
音楽が好きだから、ミュージシャンになりたい。
演技が好きだから、俳優になりたい。
ゲームが好きだから、プログラマーになりたい。
このように今も好きなことを仕事にしたいという若者は後を絶たないだろう。
もしくはこの記事を読んでいる社会人の皆様も、「あのとき〇〇が好きだったから
△△の仕事をすればよかった」なんて思いをはせる日もあったかもしれない。
筆者自身はいわゆる販売・営業職として15年以上、2,000人以上の方々とセッションをして仕事をしてきた。いろんな方々の仕事と向き合う価値観やスタンスを見てきた。
好きなこと。
それだけの条件で仕事を選ぶべきなのか。
大学生になったばかりのとき。
父親の事業が傾きはじめ、3年間で500万円以上かかる学費とその経費を
稼ぐ必要性が発生した。
当時アルバイトしていたファミレスのアルバイトの時給は850円。
学業との両立と目標の金額を考えたとき、より条件のいいアルバイトが必要になる。
女の子との出会いもありそうなイベント会社のアルバイトなど興味のあるものも少なくなかった。しかし泣く泣く優先順位を下げざるを得なかった。
たどり着いたのは学習塾の講師だった。
東大をはじめとした、国公立大学でもなければ、早稲田、慶応といった一流私大の学生でもなかった私だったが、何とか採用された。
1日3時間の拘束で小中学生に2時間授業をして、日給7,200円。
魅力的な条件だった。
これとファミレスのバイトを掛け持ちしていけば、何とか目標金額を稼いで、
卒業する目処がたった。ほっとひと安心だった。
もう仕事の中身について、好きとか嫌いとか考える間もなく、飛び込んだ。
○好きじゃないけど、苦にならないこと
各教室に配属になる前に、本部で合同の研修を3ヶ月間行うという。
正社員や契約社員として入社する方も大勢いて、初日は張り詰めた緊張感があった。
その緊張感の理由をすぐにその後、私は知ることになる。
研修のメインは模擬授業である。
教務係の正社員の40代のおじさんを中学生に見立てて、双方向のやり取りをしながら
英語、国語、数学といった科目の授業を行う。
その研修風景は、ハラスメントに厳しい今の時代だったら完全にアウトだった。
課題ができていないと、容赦ない怒号が飛んだ。それも執拗に続く。他の研修生全員の前で。指導されている最中に泣き出して飛び出してしまう方もいたくらいだ。
その中で不思議と私は生き残ることができた。板書の仕方で指導を受けることこそあれ、
厳しい指導を受けることはなく乗り切った。
幸い、自分で授業のコンテンツを組み立てることやジャスチャーや話し方の工夫をすることが苦にならなかった。これが継続できた土台になった。
継続できたのは決して好きだったからではない。
実際、3年半続けて目標金額もクリアし正社員のお話も頂いていたのでそれなりの評価を
頂いていたと思う。実際、最後の年は早稲田や慶応といった一流私大の付属高校を目指すようなトップレベルのクラスを担当していた。
別にチャレンジしたいことがあったので、講師の道を極めようとはしなかったが無事に決して安くはない学費を稼ぎきった。これは自信になった。
そして気がついたら、得意であることを自覚し、好きになっていた。
舞台俳優やミュージシャンといった、「好きで好きでしょうがないジャンル」を見つけた
人達は幸せに見える。
たとえ仕事にしなくても、趣味でそんなジャンルを見つけられたら人生に素晴らしい彩りを添えられるのではないか。
その一方で40年近く生きてきて、そんな幸せものは少数派なのではないか
と思う自分もいる。
だから何かを新しく始めるときに考えること。
「苦にならずに続けられること」
好きなことより見つけるのはずっとハードルが下がっていい。
続けていけばいくほど、新しくて楽しい景色が見えてくることがある。
苦にならないことから、好きなことに変化する瞬間が必ず訪れる。
あなたがもし何かを続けていくのを迷っている状況であるならば、きっと暗いトンネルを抜けた先に素晴らしい景色が待っているかもしれない。
いま私は毎週2000字の文章を書き続けている。
いまのところ、苦にならずに続けている。
そしていつか好きなことになり、書くことが自分の成長に大きく繋がると
信じている。
あなたを輝かせるジャンルの条件は「好きなこと」だけではない。
苦にならないこと、続けられること、自分が持っている過去の自信や経験
の棚卸しをしてみよう。
きっと輝くジャンルを見つけられるはずだから。
***
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