コロナ禍のアンケートでわかったこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:キムラアヤ(ライティング・ゼミ日曜コース)
これはちょうど、日本が新型コロナウイルスによって、ステイホームが始まった頃の今年4月のことである。
「卒業制作は、アートではなくデザインすること。自分本位でなく、制作物が社会とどのように関わり、影響を与えるのかを考えて作ること」
ZOOMの中の先生はそう言った。
「コロナ禍で今、人々はステイホームの号令の下、行動の制限や社会的距離、リモートワークなど急激な生活環境の変化に身を置いています。そのストレスをなんとか少しでも和らげるお手伝いができることを、卒業制作のテーマにしたいです」
私が、大学の先生に卒業制作のテーマを最初にプレゼンした時のことだ。
「それをテーマにするなら、ちゃんとアンケートを取って世の中の人々の声を聴くこと。そして、その中から悩みや問題点を発見すること」
「世の中に求められていることに対してアプローチをするのがデザインで、自分の趣味だけでつくるものではない。自分本位でなく、制作物が社会とどのように関わり、影響を与えるのかを考えて作ること」
私は長年、建築デザイン業界で仕事をしている。長いキャリアの中で、じわじわと新しい刺激と学びを求めるようになった。
「新しいことを学ぶには、今だな」
そう思った数年前、40代になって思い切ってもう一度、空間デザインを学ぶために大学に通うことにした。
そして今年、大学最後の1年を迎えている。卒業に向けた集大成として「卒業制作」に取り組んでいる最中だ。
「デザインには必ず理由がある」
それが私の先生の口癖だ。
もちろん、建築デザインを仕事としているので、いつもこのことは考えている。しかし、意外と「無」のところから「デザインの理由」を導き出すのが難しいことを再認識した。
そして日々の仕事の中で、馴れからか、この基本を置き去りにしていることが多いことに気が付き反省した。
そこで早速、新型コロナが広まった後に変化した生活でのストレスを「新たなストレス」と定義付けし、人々のニューノーマルにおける生活下でのストレスについてアンケートをとった。
「何人の人がアンケートに答えてくれるだろう……」
世の中のリアルな声を知るために、できるだけ多くの回答が欲しかった。
アンケートはSNSで告知することにした。ポチっと押して投稿するだけで友達や知り合いに協力と拡散のお願いをすることができた。今は本当に便利だなあ、とつくづく思った。
回答期限は3日にした。
SNSにアップした直後から、少しずつ回答が返ってきた。みんなが協力してくれることが本当にうれしくて、感謝の気持ちでいっぱいになった。思ってもみなかったアンケートの副産物を受け取った。
回答期限がきた。
最終的に109人のアンケートが集まった。100を超えて、本格的な調査になった。
回答を集計すると、意外なことが見えてきた。
「新たなストレス」を感じている人は、全体の8割を超えていた。これについては、ある程度予測していたことだった。意外だったのは、そのストレスを誰に感じるかということだ。
私が想定していた回答は、会社関係の人やモラルに欠けた行動をする人たちに対してだろうというものだった。
もちろん、そういう回答も多くあったが、それと同じくらいに「家族」や「子供」に対してストレスを感じてしまうというものだった。
今まで経験のないくらい、家族が同じ空間で長い間時間を共にする。そして多くの場合は、その中でリモートワークを余儀なくされていた。
「そうだよね。狭い家の中で、同時に家事も育児も仕事もやらなければいけない人が多くいるんだ。想像しただけでも、ひっちゃかめっちゃか、だろうな。一緒に居られる時間が増えて、うれしいことばかりじゃないんだな」
外国では、新型コロナは風邪と同じようなものだ、という国の代表者もいる。
しかし、アンケートから見えてくる現実に、今回のコロナの影響の奥深いものを感じた。
世の中にはこんなにも多くの人が、コロナの影響で家族や子供に対してもストレスを抱えてしまっているということを。
以前、私にも同じような経験がある。
ステイホームのような状況にはなかったが、家族に対しての距離感に悩み、ストレスを持った。そして、そんな自分がすごく情けなく自己嫌悪に陥った。
そんな状態が長く続いたが、あるきっかけからストレスを緩和し、自分を取り戻せる方法を知った。
それが「コーピング」という手法で、気晴らしできて気分が良くなる方法をリスト化することだ。
きっと誰しもが、自分なりのちょっとした気分転換や自分を癒す方法を持っていると思う。
例えば、深呼吸をするとか、ぐっすり眠るとか、カラオケで発散するなど。
このレパートリーを多く持っているほど、色んなストレスに対応できるのだ。
でも、結構気が付いていないのが、このレパートリーをリストにするということ。
単純に、自分が気晴らし出来たり、癒されたりすることを、ストレスごとにノートでもスマホにでも書きだすだけ。
書き出してみると、客観的に見ることができ、結構多くの対処方法をすでに自分は持っていることに気が付く。そして処方箋になる。
不思議とリストを見ているだけで、心が和んでくるのだ。それはまるで、大好きな写真集をみて、その世界に想いを馳せる時のように。
どんな状況であろうと、人はストレスを抱えてしまう。ましてや、コロナのように生活環境すら半強制的に変化する時ならば、なおさらである。
特に、身近で大切な人に感じてしまうストレスは辛さも増す。
そんな時はぜひ「コーピング」を試してみてほしい。
きっと今より穏やかになれると思うから。
私の卒業制作のテーマはきまった。
「日常にお暇(いとま)できる空間をつくる」
自分のスイッチを切り替えたり、一人集中できる空間が住まいの中にはないということがストレスを誘発しているのだと、アンケートでわかった。それならば、その空間をつくるお手伝いをしようと。
そして今、その空間づくりの実現に向けて卒業制作を進めている。
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