ミッションはパッションと共に
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:橋詰 典子(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
「ねえ、それって、動物園の飼育員の制服?」
「まさか! これはね、ボーイスカウトの制服だよ。ボーイスカウトって知ってる?」
「何それ? 知らない」
子供会の役員だった私は、100名近い小学生達の集まりの場に、ボーイスカウトの制服を着ていった。
子供達に、ボーイスカウトの存在を知ってもらうためだ。
今時の子供達は、いや、親の世代でもボーイスカウトが何なのか、を知らない人達が多くなっている。
日本でボーイスカウトの前身の団体が発足したのは1922年、大正11年の事だ。
つまり、来年でいよいよ100周年を迎えようとしている。
1921年(大正10年)、皇太子であった後の昭和天皇が、ボーイスカウトの発祥イギリスに渡り、エジンバラで開催されていたスカウトラリーを訪問した。
その時、ボーイスカウトの創始者であるべーデン・パウエル郷の拝謁を受け、その活動の目的に共感、賛同し日本でもボーイスカウトが結成された。
べーデン・パウエル郷は軍人だったため、ボーイスカウトはともすると今でも、軍隊のような訓練をしていると勘違いしている人も少なくない。
現に、私もPTAの活動中に、当時の会長から制服姿をからかわれた経験がある。
「一瞬、自衛隊の方かと思いましたよ」
どうか誤解しないでいただきたいのだが、ボーイスカウトの活動目的は、少年を軍隊のように訓練することではない。
世界中の人々は同胞であり、社会のため、世界のため役に立とうとする青少年を育てることだ。
このことで、世界が平和であり続けるように貢献する、という貴い使命を負うている。
私の子供が4、5歳の頃、週末の過ごし方で時間と体を持て余していた。
私はもともと田舎の育ちで、幼い頃はいつも自然の中で遊んで過ごした。
その経験を子供達にもさせたいと思い、育った町のボーイスカウトに子供たちを入団させた。
スカウト達は異年齢のグループに分かれて、野外活動や奉仕活動を行う中で、楽しく遊びながら自然に親しみ、自然の厳しさを学び、さまざま技術を覚え、時には自分たちで考え、年下の子の面倒をみる。
初めのうちは、幼かった子供とハイキングに行ったり、山に登ったり、川で遊んだり、キャンプをしたり、工作をしたりと親の私も一緒になって楽しんでいた。
しかし、子供が小学校5年生になるとき、保護者のリーダーになるための研修に参加して、ボーイスカウトの真の目的とその大切さを知ったのだ。
遊びを通じて仲間となり、自分たちで自分たちの事をする。活動に必要なものはできるだけ質素で簡単なものを、工夫して使う。少なくとも1日に1回人のために善いことをする。
スカウトのミッションは、「グッド・シチズン(良い市民)」を育てることだ。
後藤新平初代総長の言葉を借りれば、自治三訣「人のお世話にならぬよう」「人のお世話をするよう」「そして酬いを求めぬよう」である。
スカウトは「良い市民」のためのモデルとなるべきであるというミッションがある。
しかし、スカウトがそのミッションを達成するために、指導者が必要だ。ボーイスカウトの指導者は、完全に無償で奉仕している。そのことを先の研修によって知ったのだった。
スカウトの指導者たちは、いつも手弁当で、時には自分の必要経費を持ち出しで隊の活動に奉仕している。そして、どんな小さな活動にも計画書と報告書を作成し、事前の下見やシュミレーションを必ず行う。
例えば2泊3日のキャンプともなれば、そのプログラムを考えるだけでも相当な時間を必要とする上、事前の下見や準備にかなりの手間と時間をかけている。
金銭の報酬がない指導者の活動は、パッションなしでは務まらない。無償の献身の上に、スカウト活動が成り立っているのだ。
私が一保護者から指導者になろうと思ったきっかけは、この先輩達の、スカウトにかけるパッションをみたからであった。
保護者リーダーの研修の帰り際、研修を担当していた指導者から予言めいた言葉をかけられた。
「この中に、必ず将来指導者になる人がいます」
自分にはそんなつもりは毛頭無かったが、きっとそれは私の事だと思った。
なぜなら、その1日の研修の最初と最後で私の表情は全く違っていただろうから。
スカウト指導者のパッションに感動し、子供達のことをこんなに考えてくれる人が他にいるだろうか、と感激していた。ましてや、彼らは無償なのだ。
だんだん高齢化する自団の指導者を助けたい、子供達のために自分も活動したいと思い、スカウト指導者となって4年。まだまだ子供達に教えるよりは教えられることの方が多いけれど、スカウト運動のミッションを支えるために、パッションを持ち続けなければならないと思う。
だから、私は一人でも堂々と制服を着て町を闊歩する。
名誉と誇り高きスカウト活動をアピールするために。
***
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