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伝えることが難しい一冊


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記事:山田THX将治(天狼院・リーディング俱楽部)
 
 
「何じゃ! こりゃ!!」
思わず私は、声を出してしまった。別に、松田優作の真似をしたわけではない。
11代目となる、天狼院名物の『秘本』を初めて目にした際に驚いただけだ。ただ、その驚きが尋常では無かっただけのだ。
 
天狼院という書店は、毎回・毎日の様に驚かされる。驚きの中心は、『頭がおかしいのでは』と思える奇想天外さだ。
初めは、『炬燵(こたつ)が在る書店』という触れ込みだった。来客の回転率が勝負の小売業で、脚を止める炬燵とは頭がおかしいのではと私は思い、思わず行って仕舞った。よくよく考えれば、天狼院の三浦店主の思うつぼだった。
昨年開店した湘南天狼院では、『屋上で本が読める』とあった。『また馬鹿なことを』と思ったが、実際に行ってみると大変気持ちよく、唯一無二の場所だと気付かされた。これも、思うつぼだったのだろう。
さらに、名古屋天狼院の開店の際は、『本の行商用ワゴン』為る物が現れた。まったく正気とは思えない代物だったが、またしても私は、一目見るなり思わずiPhoneのシャッターを押していた。まんまと、思うつぼだった筈だ。
 
そんな天狼院では、創業以来の伝統がある。それは、『秘本』というものだ。
この『秘本』というものが、これまた頭がおかしくなりそうな代物なのだ。何しろ、お勧めの本を売っているのだが、黒いカバー(天狼院のブックカバーは黒色)の上からビニール袋が掛かっているのだ。要するに、そのお勧め本が何なのか中身が全く分からない状態で販売しているのだ。購入するのに頼りとなるのは、三裏店主の推薦だけなのだ。
その上、『秘本』には三つの厳格なルールが存在したりもするのだ。そのルールとは、“題名非公開”“返本不可”“ネタバラし厳禁”というものだ。
これで、本を買えというのだから、頭がおかしいとしか考えられない。
 
しかしだ、これまで『秘本』として販売された本は、いずれもハズレが無く、私はどの本も蔵書にしてあるのだ。
『秘本』の中には有名作家の本も有ったが、その殆どはあまり知られていない作家のものだ。小説ばかりではなく、中には実用書に分類されるものもあった。そしてその総ては、私にとって真新しい読書体験と為った。
これも、三浦店主の思うつぼだったと思うと共に、店主が推薦する本は、私にとって信用に足るものと確信するに至った。
ただ、『秘本』のセレクトは時間が掛かり、ただでさえ毎日激務をこなしている三浦店主のことなので、10代目『秘本』がセレクトされてから、かなりの月日が経ってしまっていた。
 
昨年末、秘かに発表された11代目『秘本』に、私は期待せずにはいられなかった。三浦店主のSNSでの書き込みには、『300部しか用意出来ない』と、穏やかでは居られない情報が出ていた。私は、未だ発売されてもいない11代目『秘本』に期待が高まる一方、買い逃すのではとの恐れを感じていた。
そして、年が明けた1月14日、遂に天狼院11代目『秘本』が店頭に並んだ。
私は、居ても立ってもいられず、仕事を早めに切り上げると湘南天狼院へ向かった。
 
閉店間際の湘南天狼院に飛び込むと、閉店業務をしていた店長に、
「『秘本』来てます?」
と、息せき切って尋ねた。店長は笑顔で、
「有りますよ」
と、答えてくれた。私に目の前には、11代目秘本が運ばれてきた。どんな本か当然解らなかったので、私は探し様が無かったからだ。私は先ず、11代目『秘本』の大きさに驚いた。続けて、レジに示された“¥3,960.-”の表示に驚いた。そこで、
「何じゃ! こりゃ!!」
と、反応してしまったのだった。
それはそうだろう。三浦店主のSNSしか情報が無かった私は、自分の常識的範囲での本を想像していたので、その想定を遥かに超えた大きさに驚愕してしまったのだ。
 
何しろ、11代目『秘本』は、A3判の用紙が折らずに入る大きさの‘黒い’封筒に入っていた。私が想像していたのは、せいぜい大型のハードカバーだったので、度肝を抜かれる大きさだった。私は心の中で、
「まったく、頭がおかし『秘本』だなぁ」
と、つぶやいていた。しかし、この大きさならば、税込みで¥3,960.-は納得いく大きさだったのも事実だ。また、300部しか用意出来無かったことにも、合点が行ったのだった。
 
私は、好奇心を抑えられず、閉店時間も気にせず店長に断りを入れ、その黒い大きな封筒を開封してみた。
そして、今度は別の驚きを感じつつ、読み始めてしまった。
しかし、余りに大人気ない行動だったので、11代目『秘本』を黒い封筒に仕舞い直すと、店長に礼を言い一路帰宅することにした。
 
天狼院の11代目『秘本』はルール上、余り内容を紹介することが出来ない。
ただ、推薦分を書いているのが、現在最もイケてるアーティストだったことが、ベストマッチと言えるだろう。
それと、最初の一文目が、私にとって出遭うべき本だったと自信を深めた。
 
望むべくは、この『秘本』は、私が中学生、出来れば高校生までに出遭いたかった本だった。もしそうだったとするならば、きっと私の人生観を大きく変えてくれる本に為っていた筈だからだ。
この本をセレクトしてくれた三浦店主に、感謝の言葉も出ない程だ。
 
それ以上に、
「もしかしたらこの本は、私に為に製作されたのかも」
と、勝手な想像をしながら本を閉じた。
 
一気に読むことが出来る天狼院11代目『秘本』。
ただ一つ御注意して頂きたいのは、一気読みは不可能ということだ。
 
何故なら、ベッドに持ち込むには、大き過ぎる本だからです。
しかし、是非購入して頂いて、私と同じ驚きを体験して頂きたいものです。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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