小学生向けに書かれて気付いた「はたらく細胞」の強度
*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:村人F(リーディング・ライティング講座)
最近、本屋さんにてよく児童書コーナーを眺めている。それで気付いたことがある。
「はたらく細胞」を元とした本が多いのだ。
「小学校 中学年から」とマークの付いた小説版もあるし、本作に出てくるキャラクターで作ったウィルス&細菌図鑑もある。
もともと青年向け雑誌に連載されていたマンガなのに、小学生向けの学習本でも主役となるくらい人気になるのは凄いなと思った。
たしかに本作はそれくらい教育的効果の高い作品である。
人間の体を1つの街に見立てて、細胞たちを住人として描く。
その中で働く赤血球や白血球などの個性豊かな人々の姿は、大人の私ですら勉強になると思うほどだ。
しかし青年向けの作品ということもあり、そのまま小学生にお届けするにはブラックな一面もある。
それをどのようにアレンジしているのか気になった私は、小説版「はたらく細胞」と「はたらく細胞 ウィルス&細菌図鑑」を買って読んでみることにした。
どちらも面白かった。
表現はやはり小学生向けに書いているだけあってマイルドにされていた。しかし、雰囲気はそのまま出ていたし、細胞たちの住んでいる「とある人間」に何が起こったのかという原作になかった描写もあって、「へぇ~」となることが多かった。
そして強く感じたのは、私が昔読んでいた学習本と比べると、桁違いに面白かったということだった。
学習本にも色々な本がある。
織田信長などの有名武将の一生を描いたマンガなど、皆様にも心に残る一冊があることだろう。そういった本たちと比べてみても「はたらく細胞」は一線を画する面白さだった。
なぜここまで差があるのだろうか。
それは「はたらく細胞」に、エンタメ系のマンガ連載で生き残った強度があるからだと思う。
通常の学習本は大体が一冊で完結する話であり、競合相手は同じような本たちとなっている。そして面白さよりも勉強になるかというところに重点が置かれている。
しかし「はたらく細胞」は違う。評価されるためには面白くなければいけない。
しかも連載なので1話ごとにアンケートで勝てる作品としなければいけない。
そういったエンタメ業界の厳しい環境の中で、アニメ化まで行く人気を得たのである。
だから作品自体がもともと面白いのだ。
そのため、学習要素だけをピックアップしてもそのクオリティは非常に高いわけである。
赤血球を始めとする細胞やウィルスのデザインがまず秀逸だし、読者を飽きさせない工夫もたくさんある。
作品自体にこういった強度があるからこそ、小学生向けの学習本にアレンジしてもそのままの面白さを提供できるのだろう。
こうして考えると、「はたらく細胞」のような作品は子ども達の強い味方だと思う。
学校教育を受けた私たちにとっては、勉強は「やらなくてはいけないつまらないもの」というイメージが刷り込まれている。
私が学校にいたころも、このあたりの細胞分野は覚える言葉が多すぎて大嫌いな分野であった。
そんなときに本作のような存在があると非常に大きい。
なぜなら「はたらく細胞」が生まれた背景にあるのは、この分野が持つ面白さだからだ。
そして、その面白さを周りに伝えるにはどうすればいいかを必死に考えた本作は、全く興味のなかった私も夢中になるほどの威力を持っているのだ。
きっと小学生のときにこういった本に出会っていれば、もっと真剣に勉強していただろう。
そしてこういった作品がブームになった現代は、教育面で最高の環境となっているかもしれない。
「はたらく細胞」以外にも、科学マンガ「Dr.STONE」や、戦国時代を舞台とした「戦国無双」など、あらゆる分野で勉強の面白さに土台を置いたエンタメ作品が存在する。
これらを見せて、「勉強はこんなに面白いんだよ」といってあげれば、やる気が全開になるに違いないだろう。
そして親世代の私たちも、こういった作品を通じて勉強の面白さを理解することが大事である。学校生活が終わって勉強することが無くなったという方は多いが、それはもったいないことなのだ。
受験が無くなった私たちは自分の興味のある分野だけを勉強できる。
嫌いな科目を無理に覚える必要もない。好きなことだけを自由に学べる。
そういう立場でやる勉強は、ものすごく楽しい。
この事実を私たちも作品から学べるのである。
児童書コーナーで見つけた「はたらく細胞」は、勉強が面白いことを再認識させてくれた。
これを意識しながら、私も色々な作品を通して学び続けていきたい。
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