「与えられる側」を卒業しよう
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:望月まりえ (ライティング・ゼミ 超通信コース)
世の中の人間を「与えられる側」と「与える側」に分けるとしたら、自分は圧倒的に「与えられる側」の人間だった。
「あなたって人から助けられることが多いでしょう」と言われたことがある。自分では自覚していなかったが、言われてみると確かにそんな気がしてくる。たとえば、酔っ払って家の鍵や財布が入ったカバンを失くし、アパートの部屋の前でうずくまっていたら、見知らぬ隣人が一晩泊めてくれたことがあった。他にも、人に話すと驚かれるような「助けてもらったエピソード」がいくつもある。
そもそも、世間知らずでポンコツな自分がどうにか生きてこられたのは、間違いなく周囲の助けがあったからだ。
いままで散々人に助けられてきたのだから、今後はいままで人から与えられた恩を返していこう。与えられる側ではなく、与える側になろう。そんな風に思いながらも、「与えられる側」のまま30を超えてしまった。
まだどこかで「自分は完全には満たされてはいない」と感じていたからだ。
いつもなにかが足りない気がした。自分は人より劣った人間で、人並みのことですらできない。自分にはなにもない。自分より幸せな人が羨ましい……。
もっと愛情がほしい。
もっと認めてほしい。
もっと与えてほしい。
人に与えるよりも、まずは自分が満たされたい。そして、完全に満たされたら、きっと人に与えたくなるはず。
水がコップ一杯になったら自動的に溢れ出すように、自分自身が満たされたら自動的に人に与えたくなるものだと思っていた。
けれども、いくら満足を追い求めたところで完全に満たされることなんてない。人の欲望には際限がないからだ。
満足を追求する生き方は、食べたいものをむさぼり食うことと似ている。
以前の私は食べたいものを食べたいだけ食べるような生活を送っていた。当然体重は増え続け、マックス時はいまより10kg以上太っていた。
増え続ける体重に危機を感じるたびにダイエットを決意した私が、「明日からダイエットをする」と決めたときに必ずしていたことがある。大好きなショートケーキをワンホール買ってきて、好きなだけ食べることだ。
そのときの私は、好きなものを嫌になるほど食べたら、満足して食欲から解放されると思っていた。
結果的に、いくら食べても食欲が満たされることはなかった。ケーキをワンホール食べきった直後は「もう一生ケーキなんて食べなくていい」と思うのだけれど、次の日になるとまた食べたくなってしまう。
そんなことを繰り返しているうちに、好きなものを好きなだけ食べたところで、食欲が完全に満たされることなんてないのだと悟った。
あるとき、「食欲が止まらないのは、必要な栄養が足りていないからじゃない?」と人からアドバイスされたのがきっかけで、ジャンクフードの代わりに野菜中心の和食を自炊するようになった。身体が栄養で満たされると、あれほど湧き上がってきた食欲が次第におさまっていき、適量で満足できるようになっていった。
***
人の心も身体と同じで、欲望に際限がない以上、愛情や施しを与えられるだけでは満足はできないのだろう。
自分の心を満たす方法は、ふたつあると思う。
ひとつは、自分がすでに満たされていることに気付くことだ。少なくても自分がいま生きているのは、間違いなく人や社会から恩恵を受けているからだ。誰かが育ててくれた食料を食べ、公共の福祉に守られているからこそ、今日も私は当たり前のように生きている。
生存が脅かされていないという時点で、十分すぎるほど恵まれていることに気付くと、これ以上求めたいという気持ちは消えていく。
心を満たすもうひとつの方法は「心の栄養」をとることだと思う。
最近YouTubeの関連動画に「アンパンマン」の動画が出てきたので、何気なく見てみた。ジャムおじさんとバタコさんがつくったパンを、お腹をすかせた街のみんなが笑顔でほうばっている姿を見て、泣きそうになった。自分の仕事で誰かを笑顔にできたら、こんなに幸せなことはないだろうと思ったからだ。
きっといまの自分に必要な心の栄養は、人の役に立って感謝されたり、誰かの喜ぶ顔を見ることなんだろう。
私には誰かを救うなんて大それたことなんてできないし、そもそも人を救いたいなんておこがましいとも思う。けれどもこんな自分にだって、人の役に立てることがきっとあるはずだ。
そろそろ「与えられる側」を卒業しよう。自分の欠乏感は、「与える側」になって埋めていきたい。
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