思わず『ちゃん付け』したくなる可愛らしさ
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記事:山田THX将治(リーディング倶楽部)
世の中には、知られていないだけで密かに愛されている物がある。
裏道の隠れた名店などがその代表だ。
今回、私が広めたいのは『パフィン(PUFFIN)』という鳥だ。
全長40㎝程の丸っこい小さな体と、大きく広げても50㎝に満たない小さな翼を持っている。
配色は、背中は黒で腹部は白い羽毛で覆われている。
その配色から、ヨーロッパでは『小さなペンギン』という認識で愛されている。
その、愛嬌たっぷりの姿から、知っている人にとってはパフィンの写真を見ただけで、思わず、
「パフィンちゃんだ!」
と、叫び声をあげてしまう存在だ。
かくいう私も、その一人である。もう、いい歳をしているのに。
私とパフィンの出逢いは、或る洋書店でのことだった。
洋書店の棚には、英国で出版されている『ペンギン・ブックス』という児童書が並んでいた。すぐ横には、『パフィン・ブックス』という、幼児用の本が在った。
未だパフィンの名を知らなかった私は一瞬、
「英国では、子供のペンギンのことをパフィンと呼ぶのか」
と、勘違いを起こしていた。
本の表紙にイラストで描かれたパフィンの姿が、ペンギンと見分けがつかなかったからだ。
しかし、本を手に取って見ると、ペンギンとパフィンは、全く別種の鳥類であることが解かった。第一、パフィンのくちばしは、ペンギンのそれよりずっとカラフルで、目を引くものだ。
私は、もっと詳しくパフィンのことが知りたくなり、鳥類図鑑で調べてみた。
パフィンは、和名で『ツノメドリ』ということが解かった。ちょっと困った様な表情に見える眼から“角眼(つのめ)”と呼ばれる様に為ったのだろう。
世界には北大西洋の北部海岸で暮らす『アトランティック・パフィン(にしつのめどり)』、アラスカ海岸で多く見掛ける『ホーンド・パフィン(つのめどり)』、そしてアリューシャン列島から日本の北海道にかけて生息する『エトピリカ』の三種類が居る。
因みに『エトピリカ』とは、アイヌ語でくちばしを意味する『エトゥ』と、美しいを意味する『ピリカ』から付けられている。
尚、テレビ番組の『情熱大陸』で、クロージング曲として流れる葉加瀬太郎氏の曲は、『エトピリカ』と名付けられている。これは、北海道でゆっくり飛ぶ『エトピリカ』を観た葉加瀬太郎氏が、インスパイアされ作った曲なのだ。
先日、ネットで本を探していた私は、『パフィン!』と名付けられた写真集を発見した。思わず、
「パフィンちゃんだ!」
と、叫び、即ポチした。
『パフィン!』(株式会社 河出書房新社・刊)は、20年程前に英国・シェットランド諸島で見掛けたパフィン(ということはアトランティック・パフィンか)に魅せられたフリーのプロカメラマン中野耕志(なかのこうじ)氏が、ほぼ自費出版同様に出版した写真集だ。
帯にもある通り、日本で初めて出版されたパフィンだけの写真集だ。
小柄なパフィンそのままに、小型の写真集として仕上げられている。
写真集『パフィン!』を開くと、パフィンの可愛らしさが全開となった写真が目に飛び込んでくる。
そして、ペンギンとは違って空を飛ぶ姿や、ペンギン同様に海を潜り主食となる魚を獲る姿が映し出されている。
その愛くるしい姿の半面、天敵が少ない厳しい自然環境のなかで暮らしていることも解かってくる。
また、写真ばかりではなく、時折書き添えられた短い文章が、パフィンの生態を的確に教えてくれている。
何しろパフィンは可愛いのだ。帯にも書かれている様に可愛過ぎるのだ。
海辺に暮らしていて、鳥として空を飛ぶより、海中を泳ぐ方が得意なのだ。
まさに、“怪鳥”ならぬ“海鳥”そのものなのだ。
どこかで、この写真集『パフィン!』を見掛けたならば、必ず一度手に取って頂きたい。
『パフィン!』の中身を一見すれば、必ずやパフィンの可愛らしさに魅了される筈だ。不思議な生態に、興味を持っていただけること請け合いだ。
そして、全ページ観終えたらきっと、もっともっと、パフィンのことを知りたくなるだろう。
ただし、少しだけ御注意を。
この写真集を手にした暁には、次から『パフィン』ではなく思わず『パフィンちゃん』と呼んでしまいます。不意に人前で発すると、時として恥ずかしくなるかもしれません。
それでもきっと、余り知られていない可愛い鳥を、自分だけは知ることに為ります。
可愛い物が好きな方なら99%が、ペンギンが好きな方なら99.9%、パフィンが好きに為る写真集『パフィン!』。
永遠に私の本棚に入れておく、大切な写真集です。
これからも時折取り出して、癒されようと思います。
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