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告白する、される、どっちがいい?


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記事:ともぞう(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
言ってなかったけど、すごい好きやから……
私が人生で1度だけ、女性に告白した時の言葉である。愛の告白にしてはなんとも中途半端なセリフだ。
 
実は、それまでは告白をされることはあっても、したことはなかった。
と言っても、モテ男だったわけではない。好きな女性から告白してもらうまで待つという、ズルい男だった。
 
やり口はワンパターンだ。ただただ、その人の前で、あなたが好きですオーラを出しまくるのだ。当然、相手は「この男は私のことが好きに違いない」と思う。
「なのに、全然告ってこない。仕方がない、私から告白しよう。だって彼は私のことを好きなのは間違いないから」
そう安心して、告白してもらえるように心がけた。
 
ただ、これはあくまでも相手も私を好きになってくれていることが前提だ。当然、私に全く興味がない人には、この作戦は通用しない。その場合どうするのか?
いとも簡単に諦めてしまうのだ。そして、別の好きな女性を見つける旅に出る。このあたりの切り替えはとても速かった。
 
なぜ、自分から告白しないのか? 言うまでもなく、断られるのが怖いからだ。
とはいえ、誰でも断れるのは多少なりとも怖いものだ。いくらこちらが、好きですオーラを出しても、告白してくれないこともあった。
 
そんな時は長期戦に入る。ふたりで何度も食事や映画に行っても、ディズニーランドに行っても、友達以上恋人未満の関係のまま。しかし、いつまでもこの関係でいられるわけではない。
 
だが、相手も慎重だ。なかなか告白してくれない。でも私もしない。
ついに、相手から「これって付き合ってるよね?」という、告白ではなく質問が入る。
「そうよね?」と私も返す。これは、告白ではなく、確認である。こんな付き合い方もあるんだと思った。
 
出会いがあれば、別れはつきもの。24歳の時、遠距離恋愛していた彼女にふられた。
その後、新しく彼女ができても、別れたあの人を忘れることができなかった。そんな気持ちだったので、新しい彼女とは長くは続くはずもなかった。
 
3年ぐらいその人のことを引きずっていた。別れは電話1本だった。もう一度会って話したいと思いった。元カノに電話をして、次の週末に会う約束をした。当時よく待ち合わせをしていた、阪急梅田駅の改札前で会うことになった。
 
私はこの頃から福岡にいる。当日は、博多から新幹線で大阪に向い、待ち合わせ場所に行った。そして、結論から言うと元カノは待ち合わせ場所に現れなかった。まさか、約束したのに来ないというのは想像してなかったのでショックだった。
 
翌日、このことをある人に報告した。実は事前に相談をしていた。その人から、会ってきたらいいじゃん、とアドバイスされていたのだ。
「何もしないで、引きずっているより、行動を起こしてよかったんじゃない」とその人は言った。
 
確かに、もともと会って、やり直せるとは思っていなかった。ただ、電話ではなく、直接会うことで元カノへの気持ちを完了させたかった。未練を断ち切りたかったのだ。結果としては、会うことはできなかったが、やることはやった的な感じがあり、少し吹っ切れたような気がした。
 
このような経験から、いい加減な気持ちで付き合うのはやめようと思った。そして、次に付き合う人は、結婚する人と思った。それぐらい好きな人でないと付き合わないでおこうと決めたのだ。
 
それから1年後、彼女ができた。そう、あの時、元カノの相談をしていた人だ。
まだ付き合っていなかったときのこと。一緒に映画を観に行くことになった。今思えば初デートだ。映画は、「リング」と「らせん」の2本同時上映だった。なぜ、こんなホラー映画を選んだのだろうか? しかも、オールナイトの時間帯を選んでしまった。
 
今では多くの人が、井戸から貞子が出てきて…… という名場面は知っていると思う。でも当時、全く知識がない状態でみたあの映像は、マジで怖かった。
 
リングが終わった後、休憩時間中にトイレに行ったが、正直行くのも怖かったのを覚えている。上映が終わり、彼女と映画館を出たが、お互い、ビビりまくりでとてもひとりの家には帰れなかった。仕方がないので、近くにあったボーリング場に行った。夜が明けるまで、怖さをかき消すように話をした。
 
心理学でいうところの吊り橋効果は抜群だった。そこから恐怖を共有した2人は急速に近づいた。彼女の家にもよく遊びに行くようになった。私は、あなたが好きですオーラを出しまくる。しかし、一向に彼女からの告白がない。
そんな、ある日、彼女と家で会っていたら、このあと友達に誘われたので合コンにいく、と言ってきたのだ。えっ、どういうこと??? 私は混乱した。
 
彼女は私と別れて合コンに向かった。私は居ても立っても居られなかった。気づいたら、彼女が帰ってくる駅の前で待ち伏せをしていた。しかし、彼女は帰ってこなかった。翌日、話を聞くと、遅くなったので友達の家に泊まったらしい。
 
もう我慢できなかった。私はついに彼女に告白した。
「遅いわ」彼女は微笑みながらそう言って、OKしてくれた。
 
彼女は、今の関係で十分楽しいので、このままでいい。逆に告白することで、万が一関係が壊れるのがイヤだったので、自分から告白する気はなかったらしい。
 
また、彼女は結婚というものに関心がなかった。というより誰とも結婚はしたくないと、言い切っていた。結婚することで今の自由な生活が奪われるのがイヤだ、というのが理由だった。
 
なのに、1年後、私たちは結婚した。人生分からないものである。
家賃がもったいないから同棲しよう、となった。一応、それぞれ親には言っといたほうがいいよねということで、早速、彼女が母親に連絡をして事情を伝えた。
電話を切った後、彼女はしばらく考えていた。そして、こう言った。
 
「結婚しろって」
「えっ、何それ」
「お母さんが、一緒に住むなら結婚したらいいじゃない。今、逃したら後がないよ、って言ってきた。どうする?」
「どうするも何も、僕は最初っから結婚したいって言ってるやん」
「じゃ、そういことで」
 
と、あっさり結婚することが決まった。結婚否定派の彼女だったが、私と半同棲生活をする中で、別にずっと一緒にいても、不自由に感じることはないという気持ちになっていたそうだ。
 
そして今、妻と子供2人で、ささやかながらも幸せな家庭を築いている。あの時、告白していなかったら、この状況はなかっただろう。
そう考えると、本当にあの時、中途半端であったが告白してよかったと思う。
 
自分から告白したのは、これ1回切りではあるが、告白されるより、するのがいいとうのが私の結論だ。若い時、もっと自分から告白しておけば良かったと思う。だが、人生で一度だけ告白した女性が妻である、というもの悪くない。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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