メディアグランプリ

英語が話せないのはアナタの能力や学校教育のせいではなく、◯◯じゃないから!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長谷川徳子(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
私はスペイン語のコミュニティ通訳をしています。と言うと、「英語もできるんですか? 語学ってどうやったら話せるようになるんですか?」と質問されることがある。
 
それに対する私の答えは、いつも同じだ。
 
 
外国語大学のスペイン語学科に入学した私は、語学留学で、スペインのサラマンカという大学町の外国人向け語学学校に入学した。私がいたクラスは、ドイツ人、ルーマニア人、フランス人、中国人、マレーシア人、アメリカ人、そして、私の7人だった。
 
授業はまず午前中に90分の文法の授業があり、20分ほどの休憩をはさんで、90分の会話の授業という時間割だった。初級中級クラスの会話の授業の始まりは、だいたい昨日何をしたか? 何を思ったか? といったテーマだった。最初は、先生が一人ひとりに「あなたは昨日何をしましたか?」と振ってくれるが、全員が、その話を終えた瞬間から自由会話「フリーカンバセーション」となる。
 
この自由会話の授業が私には、本当にキツかった。
昨日何をした? という会話の中で、魚のフライを食べたという話がでたら、誰かがそこから、うちの国では魚はフライではなくこんな調理法で食べますと展開させ、その次の誰かが、料理といえば……と話をさらに発展させて続けていく、アメトークで言う「立ちトーク」形式である。
 
その自由会話中、私は、「日本では~」はスペイン語でこう言えばいい。「火を通さずに生で食べるという食ベ方が~」は、スペイン語で何て言うんだ? などと一言一句頭の中で置き換えて、言いたいことがスペイン語に置き換わってから、その会話に入ろうとした。毎回必死で頭の中で置き換えて、文章を作り上げ、さあ発言するぞ! と思ったときには、話は、魚料理から、フライ・フィッシングの趣味の話しにかわっていて、もう魚料理について話せる場ではなくなっている……。そんなことが何度も何度もあって、私は自由会話の授業では貝になった。
 
たまに、そんな私をかわいそうに思った先生が、「ノリコは言いたいことないの?」と振ってくれたときだけ話せる、そんな自由会話の授業は本当に苦行でしかなかった。
 
2ヶ月がたった頃、スイス人Aが入ってきた。そして、最初の会話の授業でAが最初にこう言った。
 
「きのう いく わたし かう くつのみせ 大きなサイズない スペイン人 あし ちいさい」
 
「はぁ?!?!?!」
 
目が点になるというのは、こういうことなのか? いや、そんな表現では言い表せない強烈さだった。このオドロキを漫画で描いていたら、あのときの私の頭からは、??? というはてなマーク山盛りの吹き出しが出ていたはずだ。
 
先生は、彼に「昨日だから、動詞は過去形で◯◯ね~」と正しい文章を教えていたが、クラスメートたちは笑いながら「そうそう、スペイン人って足小さいよね~」とか、「✕✕店なら大きなサイズも売ってるよ~」などと普通に会話を続けていた。
 
私の頭の中では、そんなことある? そ、そんなカタコトの単語つなげただけで、発言するの? え? していいの? とパニックが起きていた。
 
翌日以降も、彼は「カタコト単語を並べただけ文章」で会話にガンガン参加していた。もちろんそのたびに先生には訂正されていたけれど、それでも、彼の会話は「カタコト単語を並べただけ文章」が多かった。
彼が入ってから最初の金曜日の晩、みんなで授業後に飲みに行こうという話になった。最初の店で彼の隣の席になった私は、彼とスペイン語で会話をした。最初の衝撃からずっとずっと聞きたくて仕方なかったことを私は質問してみた。
 
「Aさ~、会話の授業中に動詞の活用とか順番とか文法を気にしないよね? どうして?」
 
彼は笑顔でこう言った。
「文法は、あまり覚えてない」
その素直な返答を聞いて、私は一番聞きたかったことをストレートに聞いた
「動詞の活用とか間違ったまま話すのは恥ずかしくない?」
 
彼は、私のその質問に大笑いしながら言った。
「間違って話す、何、恥ずかしい? 言いたいこと言えない。それがイチバン、恥ずかしい」
 
 
1年の留学期間終了時、語学学校から成績表をもらった。5段階評価の4.6、
「スペインでは4.5を超える成績というのはかなりレアな成績で、しかも日本人がこの成績を取ったのはアナタが初めてだ」と最上級クラス担当の先生に教えてもらった。帰国前のサヨナラパーティでは、「ノリコは文法が間違ってるとかよりも、言いたいことをどうやったらわかってもらえるかを、いつも必死で伝えようとしてたもんね~。初級クラスにいた頃と比較したら、別人になったもんね~。」と、泣きながら褒めてくれた。
 
 
「語学ってどうやったら話せるようになるんですか?」
に対する私の答えは、いつも同じだ。
 
「語学がうまくなる人の条件は、1に恥知らず、2に恥知らず、3,4がなくて、5に恥知らずです」
 
もし、アナタがお金や時間をかけて学んだのに、英語で何語であれ話せないと思い込んでるなら、正しい言い方とか文法とか無視して、「恥知らず」になって、話してみてほしい。
 
今風に言うなら「通じるは正義」だから。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



関連記事