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理系はロジカルな人だ、なんて思わないで!


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記事:長谷川 博紀(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
今日も言われました。生きてきた中で何度聞いたか分からないあの言葉……。
 
「長谷川さんは理系だから……」
 
理系だから何ですか、何だと言うのですか!?
次にくる言葉は予想がついていますが、相手の一呼吸の間に心の声で高速のツッコミを入れました。それでは、続きをどうぞ。
 
「……ロジカルな人ですね!」
 
はい、いただきました。ロジカルな人認定。ありがとうございます。
 
実は、この「理系=ロジカルな人」という図式について、私は昔から違和感を覚えています。まるで「関西人=面白い」みたいな図式。関西人でありながら「全然面白くないですね……」と勝手に期待しておきながらガッカリされること数多ある私としては、その言葉にどこかプレッシャーを感じてしまいます。そこで、私は声を大にして言いたい。
 
「理系はロジカルな人だ、なんて思わないで!」
 
私は理系なのですが、本質的にはロジカルな考え方が苦手なタイプです。論理的というよりも対をなす感覚的な部類に入る人間で、理由なく思い付きで発言しちゃうタイプが本来の私なのです。それなのに、どうしてよく「ロジカルな人」と言われるのでしょうか。まずは、「ロジカルな人」という言葉の定義から話していきます。
 
「ロジカルな人」、つまりは「ロジカルシンキングができる人」と言い換えることができるのですが、「ロジカルシンキング」とは「論理的思考」のことです。辞書などを見ると「物事が体系的に整理されており、話の筋道に矛盾がない考え方のこと」と書かれています。
高校の3年間、私は理系クラスにおり得意科目は数学、大学から大学院の6年間は工学を学び白衣を着て実験を繰り返す日々を過ごしていました。そして、就職先は某化粧品会社の研究員でメイクアップ商品の開発担当でした。このように振り返ってみるだけでも、私からは「理系臭」がプンプンしています。これは、理詰めで発言をしてきそうなタイプです。
 
ところが、私は「ロジカルな人」ではありません。話の筋道に矛盾がないように、ストーリーを考えることは好きなのですが、体系的に整理する、ということが苦手です。専門用語でMECE(ミッシー:ヌケモレなくという言葉の頭文字を取ったもの)というものがあるのですが、私はMECEに整理することがどうしても難しいのです。そのため、上司に報告・相談を行う際にも、報告した上司から「こういう視点はどうだろうか?」とヌケモレを指摘し、尋ねられることも少なくありませんでした。
 
また、周りが理系ばかりの学生時代や研究員時代には「真にロジカルな人」と多く接してきていました。その人たちは「論理的思考」の言葉通りの頭の良い人で、自分は圧倒され、そして恥ずかしさを覚えるようになりました。そして、ある時、この人たちと同じようにはなれないが、せめて近づけるようにしていかなければいけないと思った私は、次の三つの行動に出ました。
 
一つ目の行動は「発言する時に根拠をできうる限り集めて発言するようにすること」です。感覚的に話す私のような人にありがちなことが「思い付きで話すこと」です。自分の発言に対して「それって、どういうこと?」と聞かれた際に答えられないと急に説得力が弱くなって口ごもってしまいます。このようなことを防ぐために、できうる限りの根拠を集めて発言するようにしました。
 
そして、二つ目の行動は「ロジカルシンキングのフレームワークを使えるようにすること」です。ロジカルシンキングには、次のように決まった「思考の型」があります。
・ロジックツリー(ピラミッド構造)
・縦の論理(因果関係)と横の論理(MECE)
・帰納法と演繹法
・Where、Why、How
これらを状況に応じて適切に使えるように、ロジカルシンキングの書籍に目を通し、研修を受講することにしました。目的は知ることではなく、使えることですので、日頃の作業や業務に落とし込み習得を目指しました。
 
最後に、三つ目の行動は「脳の筋トレ」、つまり物事を考える習慣やスキルを身に付けるようにしました。中でも、私が最も有効だと思うものが「フェルミ推定」と呼ばれる考え方です。フェルミ推定とは、「“わからない数値” を ”わかっている数値” で組み合わせて推定すること」です。この考え方は「体系的に整理すること」と「筋道を通して検討すること」の「ロジカルシンキング」に重要な2つの要素を兼ね備えているので、とても良い「脳の筋トレ」になりました。
 
この三つの行動により「真にロジカルな人」には及ばないものの、多少なりとも「ロジカルな人」として思考力が増し、たくましくなりました。なぜなら、上司から考え方のヌケモレを指摘されることも少なくなり、それと相関するように成果も安定してあげることができるようになってきたからです。以降は、論理的と感覚的のバランスを取りながら「なんちゃってロジカルな人」として過ごしていけるものと思っていました。
 
ところが、部署の異動に伴い、過ごす場所が理系の方ばかりでなくなると、途端に自分の「ロジカルな人」よりの存在が希少価値となりました。つまり、相対的に私が正当な「ロジカルな人」としての扱いを受けることになってしまったのです。
これはマズイ。
周りが理系ばかりだと「なんちゃってロジカルな人」として過ごせそうだったのに、ここでは大層できる「ロジカルな人」という期待の目で見られている……。
これは困った。
……しかし、この期待に応えないわけにはいかない。
ということで、今は理系ばかりで過ごしていた時以上にロジカルに考えて行動するようになっています。
その結果、今度、仕事で経営者を対象にした「ロジカルシンキング」の研修の講師を務めることになりました。「ロジカルシンキング」はスキルなので、トレーニングすれば誰でも身に付けることができるということを、私の経験を踏まえてお伝えしようと思っています。
大変な役目ですが、なんちゃってではなく「ロジカルな人」として頑張ってきます。
 
 
 
 
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2022-04-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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