メディアグランプリ

多面評価でへこんだ話

thumbnail


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:bajio(ライティング・ゼミ 2月コース)
 
 
「営業推進をチームリーダーに任せるのではなく、課長にも協力してほしい」
 
「課長に相談しても答えが出てこない。頼りにならない」
 
「過去のいきさつにとらわれて、物事を変えようとしない」
 
辛らつな言葉の数々。
 
これは多面評価でのコメントだ。そして、誰へのコメントかというと、そう、わたしに対してなのだ。
 
「多面評価」というものをご存知でしょうか。
 
「360度評価」、「360度フィードバック」とも言われ、対象者に対して、上司・同僚・部下など立場の異なる人が多面的に評価をする手法である。
 
会社でその人を評価するにあたり、上司が部下の業績や能力などを評価するだけでなく、部下からもその上司が評価されるのだ。
 
ただ、上司が部下を評価することとの違いは、多面評価は無記名でのなされる。誰が評価したか、分からない。
記名で評価する、となると言いたいことも言えないので当然と言えば当然だが、無記名なので、みんな思い切ったことを書いてくる。
 
まるでSNSのコメント欄。匿名をいいことに書きたいことを書いているのと同じ。そして、わたしへのコメントは荒れに荒れていた。
 
わたしの会社での肩書きは「課長」
とある営業所で、10人の部下を持たせてもらっている。として、上には部長、営業所長がいる、いわゆる中間管理職という立場だ。
 
そして、今年の1月。1か月前に実施された多面評価の回答がかえってきた。
ワクワクして回答をみるわたし。自分なりに一生懸命やってきたつもりだったので、それなりの結果にはなっているだろうと思っていたのだ。
 
それが、みんなからの辛らつなコメント。
 
さすがにへこむ。
と、同時に、好き勝手言いやがって、との怒りがふつふつと湧き上がって来たのだ。
 
「営業推進をチームリーダーに任せるのではなく、課長にも協力してほしい」
いやいや、チームリーダーは、次に課長になれるポジション。営業の推進をしていくことで、その能力を高められるから、任せたんだよ。
 
「課長に相談しても答えが出てこない。頼りにならない」
そりゃ答えを出すのは簡単だよ。でも何か問題が起こった時に「どうしたらいいですか」
で解決したら、自分の力にならないよね。まずは自分で考えて来てほしいという、という想いから突き放したんだよ。
 
「過去のいきさつにとらわれて、物事を変えようとしない」
これは多分、営業所のルールについて、これまでのやり方を変えたいと相談された時のことだな。それをただ否定したわけではなくて、なぜそのルールの意味を考えた上で、発言してる、という意味でいったつつもりなんだけどな。
 
無記名とはいえ、そのコメントの内容や書きぶりで、なんとなく、書いた人の顔が思い浮かぶ。
 
わたしとしては、その人の次のキャリア、今後相談をする立場から、相談を受ける立場となっていくことも見据え、接してきたつもりだっただけに、ますますへこんだ。
 
そして、わたしの上司である部長との面談。多面評価の結果を上司とディスカッションすることになっているのだ。
 
「この結果を見てどう思った?」との部長からの質問に、自分の想い、やるせなさを語った。
 
「あなたがよくやってくれていることは見ている。部下のことを想っての行動だったことも分かる。でも、その部下への想いは、ちゃんと伝わっていたのかな。
このままで良いと想っているのなら、もうこれ以上の成長はないと思うよ。これを受けて、自分で変えるところがないか、もう一度考えて見てごらん」
 
普段は厳しい部長が、わたしが落ち込んでも察し、優しく諭してくれる。
やさぐれていたわたしもこのままではいけないと思ってきた。
面談が終わり、部長の言葉を振り返える。
 
部下への想いから、取っていた行動であったことは確かだと思う。
でも、その想いはちゃんと伝えていただろうか。どこかで、分かってくれているはずと思っていなかっただろうか。
こちらの意図が伝わってないとすると、ただの頼りないやつ、と思われてもしょうがない。もっと自分の気持ちを伝えてみよう。
 
それからは、相談を受ける時に、もっと自分の気持ちを伝えるようにしていった。
 
「まずは自分の考えを言ってほしい。それがないとやらされ仕事になってしまうよ。自分で調べて、考えて、行動したことは必ずあなたの力になる」
 
自分が想っていること、起こった出来事が、その人が成長するための絶好の機会であること。これまで心に秘めていたこと、言わなくても伝わると想っていたことを相手に伝える。
それは、照れくさくもあったし、1回1回の相談時間も倍くらいかかるようになったが、部下の反応は日に日に変わってきた。相談を受けることも増えてきたのだ。
 
そして、相談をする際の話し方も変わってきた。
 
これまでは「お客さまから、こういう依頼が来たのですが、どうしたらいいのでしょうか」となっていたのが
「お客さまからこういう依頼が来ました。手続きではここまでしか出来ないのですが、これこれという観点で問題ないので、ここまでして差し上げたいのですが、よろしいでしょうか」と自分の考えを添えて相談してくれるようになってきたのだ。
 
そして、その部下たちがいきいきと働いていると、感じるようになった。
やらされ感ではなく、自ら動くという感じ。活気づいて来たのだ。
 
多面評価という匿名アンケートだからこそ分かった部下の気持ち。
これからもしっかり向き合おうと思う。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2022-04-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事