10秒の落書きで気づいたこと
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:なつき(ライティング・ゼミNEO)
私は文章が下手だ。文章のゼミに行って習ったのに上手く書けないし題材も中々見つからない。一緒に勉強する仲間達はとっても素敵だったり、熱がこもっていたり、心にじーんときたり、心に響く文章を書く。私はなんでこんなに書けないのか、上達しないのか。ジレンマに襲われることが結構ある。
何をすればもっと上手く書けるようになるのか。伝わる文章になるのか。分からなかった。文章だけでなく、もともと何をやっても上手くいかない。できない自分に常に何かしらモヤモヤしていた。だから私にできることを何か見つけたくて文章の勉強を始めた。それなのに、文章よ、お前も私を苦しめるのか。書けるようになるための何か突破口が欲しかった。
そんなモヤモヤを抱えながら久しぶりにイラストを描いた。がっつりではなくて、偶々そこにあった紙にシャーペンでシャシャッと描いた。端っこの方に小さく10秒位で描いたもの。何気なく描いた落書き程度のものだったのに癒された。気持ちが落ち着いた。私はお絵描きがで癒されるのかと気づいた。でもなぜ癒しを感じたのだろうか。イラストを描き始めたのはいつだったろうか、ふと振り返ってみる。
私には2つ離れた妹がいた。その妹はお絵描きが大好きだった。また私には8つ離れた妹もいる。妹A(2歳違い)、妹B(8歳違い)と言うことにする。妹Aは妹Bによく絵を描いてあげていた。私はそれを見て一緒に絵を描きたくなった。妹Aは楽しそうにスラスラとイラストを描く。可愛いキャラクターや物語までどんどん生み出していった。妹Bは楽しそうに妹Aの作ったものを見てはしゃぐ。対して私は一向に上達しない。何だかぎこちなく描いては消し、描いては消しで満足できるものが作れなかった。妹Aはどうしてこんなに滑らかに楽しく描けるのだろう。
数年後妹Aは入院した。妹Aは入院中もイラストを描いていた。お見舞いで漫画をもらってそのキャラクターを日々真似て描いていた。時折見せてくれた妹Aの絵は更に上達した。そう言えば前から何かを真似て描いていた。それが今度は漫画になったというわけか。私はそれを見ていて、真似たら上手くなるよ、それってなんかズルくない? と思っていた。今思えば捻くれた性格だとは思うけど、当時の私は真似から入るのは何か違う気がしていた。1年後妹Aはいなくなり描いた絵だけが残された。
しばらくして、気持ちを立て直した時に妹Aの絵を見返した。やはり妹Aの絵は心を惹くものがある。堂々とした感を受ける。こんな絵が描けるようになりたい。妹Aは小学生の時にいなくなってしまったけど将来漫画家とかになりそうな芯を感じていた。妹がやっていたことと言えば、真似ること。少し抵抗を感じながらも好きな絵柄の漫画のイラストを真似て描いてみることにした。
難しかった。漫画の一コマを描くだけで何時間もかかった。描いては消し、描いては消し、同じだと思えるラインにたどり着くのにかなりの時間を要した。絵ってこんなに難しいものだったんだ。それまで好き勝手に描いていたものと違い、完成したものは不格好ながらも軸がしっかりある絵になっていた。真似るって、堂々と描けるラインを探ることだったんだ。何度も顔の輪郭を書き直した。何度も輪郭の線を引き直した。
色々真似て描いているうちに、手をしっかり描きたくなった。自分の手をじっくり見て自然な関節に、形に見えるようイラストに落とし込む。これがまた難しかった。顔の輪郭同様、描いては消し、描いては消しを繰り返す。理想的な手が描けるととても嬉しかった。漫画家さんはこの土台となる練習をどれだけやって1冊の漫画にまでしてるのだろうかと思うと尊敬の念を覚えた。
そうやって学生時代はイラストを描いてきた。描いては消し、描いては消しを繰り返し、黙々とずっと描いてきた。社会人になってからはほとんど描かなくなっていたけど久しぶりに描いたイラストは私の手に染み込んでいた。
ああ、そうか。だから癒しを覚えたんだ。だから10秒程度で描いたイラストに癒しを覚えたんだ。何度も何度も描いて、ああでもない、こうでもないと試行錯誤を繰り返して土台を築いてきた。その土台があったから、手がラインを覚えているから、10秒程度の落書きでもまとまって軸がある感じになって満足できたんだ。満足できたことで自分を癒すことができたんだ。
文章はどれだけ書いてきただろう。イラストを描いた量に比べたらまだまだ足りなかった。前より少し書けるようになってきて、甘えが出てきていた。いけない、土台を築くのを怠ってはいけない。久しぶりにイラストを描いてみたことで今の自分の状況を把握することができた。私は書けないという段階ではまだ無かった。まだまだ量が足りてないだけだった。頭でモヤモヤしている場合ではなかった。題材は何でもいい、短くたっていい、書いて書いて書きまくろう。
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