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小さな子どもに片づけはできるのか?


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記事:林 菜緒(スピード・ライティング特講)
 
 
「ねぇ、お片づけしようよ~」
小学校2年生と年中の子どもたちに声をかけても、床一面に広げられたおもちゃが片付けられることはない。「ふぅ」とため息とつきながら一人で片づける。
 
私は片づけが得意な方だと思っていた。でも、今は毎日片づけに追われている。その原因は100%子どもたちだ。子どもたちのモノはすぐに増える。その代表格は、絵や工作だ。今、この文章を書いているパソコンの右隣には書きかけの絵が、左隣にはトイレットペーパーの芯で作ったクリームソーダが無造作に置かれている。(あまりに雑然としていたので、いったん書くのをやめて片づけた……)
 
こんな毎日を過ごしているうちに、ひとつ分かったことがある。それは、私は片づけが得意ではないということだ。私は一般的な女性と比べて、持ち物が極端に少ないので、散らからなかっただけなのだ。でも子どもたちのモノは指数関数的に増えていく。何もしなければ、秋の落ち葉のように積み重なり、あっという間にモノだらけになってしまう。家の中が散らかると、「ママ~、○○どこ?」と聞かれる回数は増えるし、忘れ物が多くなるし、イライラすることが増える。そんな時に保育園で衝撃の光景を見てしまったのだ。
 
コロナ禍でお迎えは玄関までとなっていたのが緩和されて、久しぶりに教室の入り口まで入れるようになった。息子は私の姿を見つけると、なんとそれまで遊んでいたレゴブロックを片づけ始めたのだ。お迎えが嬉しくて、ニコニコしながらずっとこちらを向いているので、片づけは反射的にやっているのだろう。まるでパブロフの犬のようだ。思わず「お片づけできるの?」と聞いてしまった。先生からも「年中さんはお片づけ、自分でやってますよ」と言われた。
 
家では片づけられないのに、なぜ保育園ではできるのか? それからお迎えのたびに、息子やおもちゃの収納を観察するようになった。
 
保育園では、一つのおもちゃが一つの入れ物に入っている。入れ物は特別なものではなく、100円ショップで売られているような収納ケースや、空き箱で作ったものだ。入れ物としまう場所の両方に絵や写真が貼ってあり、戻す場所が明確になっている。収納棚はゆったりとしていて、子どもでも戻しやすくなっている。息子だけでなく、他の子どもたちも迷わず片づけているように見える。
 
遊び方にも違いがあった。保育園では、おもちゃを一つだけ広げて集中して遊んでいる。それは友だちと一緒でも一人の時も同じだった。でも家では、おもちゃを出してちょっと触って、次のおもちゃを出してちょっと触って…… マトリョーシカをどんどん開けていくように、おもちゃを出すこと自体が遊びになっているように見える。
 
それから、保育園では床で遊ぶスペースが決まっていて、おままごとやお人形ごっこはマットの上で上靴を脱いで遊ぶようになっている。だから、子どもたちがそれぞれに好きな遊びをしていても、床におもちゃが散乱することがないようだ。
 
保育園とわが家を比べてみると、片づけるシステムの精度が全然違うのだ。おもちゃは一応分別しているけれど、それは私が分類したもので、ラベリングがしてあるわけでもなく、子どもには全く理解されていなかったのかもしれない。さらに分類しきれないものはカゴにまとめて放り込んでいたので、私には次から次へと出しているように見えていたのは、実は目当てのおもちゃを一生懸命探していたのかもしれない。
 
家にあるすべてのおもちゃを保育園のように収納するのはハードルが高いので、「ママ、取って~」と言われる率が一番高いはさみ、セロハンテープ、えんぴつの3つを一つの箱に入れて、子どもたちがよく使う場所に置いてみた。そうしたら、「ママ、取って~」からはほぼ解放された。使ったあとも「箱に戻して」と言えば片づけてくれるようになった。保育園でのように自分から片づけるところまではいっていないけれど、それでも大・大・大成長である。
 
もしかすると、保育園は片づけのシステムを作っているのではなく、遊びの中に片づけが組み込まれているのかもしれない。昔、小学生の時に「家を出て、家に着くまでが遠足だよ」と言われたが、「おもちゃを出して、しまうまでが遊び」なのだろう。だから子どもたちも自然に片づけができているのだと思う。さすが保育士の先生方! いろいろな工夫をして子どもたちが成長できるように導いてくれている。
 
その反面、家での子どもたちを見ていると保育園での片づけは“がんばって”やっているのかな、とも思う。保育園では、家とは違って生活や遊びにルールがある。自分の気持ちのコントロールが未熟な中で、先生に言われたことを一生懸命やっているけれど、きっと疲れてしまうこともあるだろう。そりゃ、家でおもちゃを「ガラガラガラ~」と全部出して遊ぶのは、自由で楽しいよね。そんなことを想像すると、家では私がイライラしない程度によく使うものだけ「保育園方式の収納」にして、あとは今まで通り「ガラガラガラ~方式」にしようかなと思うのであった。
 
 
 
 
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2022-05-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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