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片づけが苦手な私は家事代行サービスに泣きついた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小田恵理香(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
私は片付けが苦手だ。
料理をするのは好きだし、掃除をするのも嫌いではない。
だが片づけるのは苦手だ。
収納の仕方がわからないし、収納グッズがありすぎてどれを使えばいいのかもわからない。
そもそも圧倒的に時間がない。
フルタイムで仕事をして、仕事から帰れば息つく暇もなく保育園に息子を迎えに行く。
慌ただしく夕食の準備をして食べさせた後はお風呂に入れさせて寝かしつける。
寝た後は残りの家事を夫とこなす。
食べた後の食器を食洗器に放り込み、仕上がった洗濯物を畳んでいく。
自分も入浴し、翌日の準備をするとかなりいい時間になっている。
そんな平日を過ごしていると土日はぐったりしている。
職業柄休日出勤もあるし、家族で出かける日もある。
何度自分に影分身の術ができたらと思ったことか。
 
我が家の間取りは2LDK。
洋室と和室が1室ずつ。
そんなこんなで一番荒れ果てていったのは和室だ。
もともとは客人用の寝室として使っていた。
だがコロナ渦で来客もめっきり減った我が家の和室は物置兼食糧庫と化してしまった。
積みあがる育児グッズと和室の主として鎮座してしまった五月人形の空き箱たちは山になっていた。
在宅での仕事が増えた夫が、段ボール山に囲まれてひっそり作業し、私自身もオンラインでの勉強会に参加することが増え、背景が気になるようになった。
 
「これはまずい」
 
私は危機感を感じていたが、荒れ地と化した和室をどう手を付けていくか“絶望”の文字が頭をよぎっていた。
そんなある日TVで家事代行サービスの特集が放送されていた。
整理収納アドバイザーを持った方が、家にやってきてモノを片付けていってくれる。
あるいは一緒に片づけることによってどんどん荒れ地が美しくなっていく。
金銭は発生するが、片付けないといけないというストレスからも解放されるし、片付くことによって心の余裕も生まれる。
 
「もはやプロの力を借りるしかない」
 
そう思った私は、すぐに紹介されていた家事代行サービスに登録した。
 
登録するにはかなりの手続きがあった。
特に運転免許証やマイナンバーカードなどの登録、そしてその証明書をもって自分の顔を自撮りしたものを事務局に送る必要がある。
海外ドラマなどで見る犯罪者の写真のようだと思いつつも、派遣されてくる方が安心して仕事ができるよう配慮されているなと感じた。
そして承認されることができれば晴れて代行をお願いすることができる。
登録ができたら自分が代行してほしい家事と居住エリアから来られる方を探し、その方とアポをとり当日を迎えるという仕組みになっていた。
 
そして迎えた当日。
とてもにこやかな女性がやってきた。
事前に部屋の写真を送り、現状は知ってもらっていた。
また彼女からは可能であれば用意してもらいたいものを事前に聞いていたのでそれも用意していた。
時間は3時間。
簡単な挨拶を済ませ、早速作業に取り掛かった。
まずは現状の把握。
荒れ地と化してしまった和室をどういう目的で使っていきたいか。
ということを確認された。
そして一旦和室にあるものを全て出してしまう作業から始まった。
次に不要なもの、必要なものの仕分け作業。
もう使わないかなというものは、この機会にどんどん捨てていく。
必要なものは使用頻度を洗い出す。
仕分け作業が終わった私に課せられたのは、空き箱をどんどん潰していくこと。
不要な空き箱は捨てていくし、また使うであろう空き箱は残していく。
空き箱というのはかなりスペースを占領していくそうだ。
特に今我が家を圧迫しつつある育児グッズは第3者への譲渡や、引っ越しを考え箱はほとんどとっていた。
箱を整理しているうちに
 
“付属されている説明書はどうしたものか”
 
そう考えていると、アイデアを出してくれた。
それはマスキングテープで内側に貼り、一緒に畳んでしまうというものだ。
こうすることで紛失も防げるし、譲渡する時も一緒に渡すことができる。
なんと見事なアイデアなのだろう。
 
次に私に課された任務は袋類の仕分けだった。
 
「この際、本当に残しておきたいものだけ残して、あとは捨ててしまいましょう」
 
そう言われて見ていくと紙袋や旅行に行った際のビニール製の小物袋、ショップ袋など
圧倒的に不要な袋類が多いことに気づかされた。
ディズニーランドのかわいいお土産袋など、残しておきたいものだけにしてどんどん捨てていくと、それだけでゴミ袋は1つ満タンとなった。
 
そうして整理していくと、あっという間にスペースが生まれていった。
 
「この押入れの活用法を考えますね」
 
と考えてくれている彼女に作業をお任せし、子供に食事させ昼寝をさせた。
寝かしつけた後和室を覗いてみると、なんということだろう。
 
食品ストックや掃除用品のストックはきれいに整理され、客用ベッドに山積みになり、失敗したテトリス状態になっていた五月人形の箱はしっかり収納されていた。
押入れ上段には必要だが基本的に使わないものが、不要な空き箱を使い見事に収納され、1つ1つの箱にどんなものをしまったか見た目にわかるように付箋で印もしてくれていたのだ。
足の踏み場がかろうじてあるぐらいだった部屋は広々とヨガをできるぐらいに美しくなったのだった。
 
「どうすればうまく収納できるか考えるのが楽しいんですよ」
 
と笑いながら仕事を終えた彼女は達成感に満ち溢れ、とても美しかった。
3時間で1万円弱。
ゴミ袋は計4袋になった。
 
「これなら定期的にお願いしたいね」
 
と夫と笑った。
現代人は忙しい。
代行サービスには整理収納のほかにも、掃除の代行や、料理の代行等多岐に渡っている。
今回利用したことで、苦手な片づけをなんとかしようとするも時間のない私と整理整頓が好きな夫との間で生まれていたジレンマは見事に解消された。
家事代行は敷居が高く、収入のある富裕層が使うものというイメージもある。
時間をお金で買う、とういことにはまだまだ抵抗があるかもしれない。
だがそれによって得られる余裕と幸せは山のように大きい。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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