仲良く親しむ道~易経 水地比の教え~
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記事:尹玉(ライティング・ライブ福岡会場)
「アメリカの住宅に住んで
中国の料理を食べて
日本人の奥さんいたら、世界一幸せな男である。」
中国ではこのような言葉が流行った時期があったのだ。アメリカの住宅は世界一広い、中華料理は世界一美味しい、日本人の奥さんは世界一優しいと誰かが思われたに違いない。
国と国が比べられ、人と人が比べられて最高に優位に立った時、人は幸せを感じるのかも知れない。
「比べる」といえば、私たちは日常外見、才能、学歴、収入などについて意識的にも無意識にも友人や同僚と比べてしまうことがあるのではなかろうか。
「比」の漢字を紐解いてみると、「比」は人が二人並んでいる形で、仲良く親しむ意味があるのだ。「比べる」と「仲良く親しむ」のはどんな関係性があるのか。
易経64卦の中では仲良く親しむ意味がある「水地比(すいちひ)」卦があるのだが、この卦ではその答えが得られそうだ。
易経は自然現象の摂理を人間世界に当てはめて物事の道理を明らかにしている人生の最高ガイドブックなのだ。
「水地比」卦は水が上にあって地が下にあるのだが、この自然現象を見ると地が凹んでいるところに水が集まることになる。これを人間世界に応用すると人が自分の元によって集まるのは人と接する時の姿勢が低いことにあることを指し示しているのだ。
「比」には「並ぶ」「交わる」「親しむ」「助ける」「和む」「楽しむ」といったような意味もあるようだ。
人も動物も植物もほとんどは、群を成して生活している。だからこそ互い仲良く、助け合いながら過ごすことはとても望ましいことで良い事なのだ。
一方では人が集まると何かにつけて比較が生まれるのも必然なことなのだ。
しかし、いざ比べて見ると上にはいくらでも上がいるものだ。比較することに虚しささえも感じるのではなかろうか。比較して良いものがあるなら、それは「品位・人徳・教養」かも知れない。比べて相手に叶わない、相手から学ぶことが多々あると思えば、その人と仲良くできるように、自ら進んで親しみにいくことを「親比(しんひ」と言うのだ。
比べる意味はここにあるのではないだろうか。親しむ相手を選ぶ為の「比べる」なのだ。
仲良く親しむには誰でも言いわけでない。誰と、どのように、といった「比」の道があるのだ。
水地比の卦辞は「比は吉。筮(ぜい)に原(たず)ね、元永貞(げんえいてい)にして咎なし。寧(やす)からざるもの方に来る。後夫(こうふ)は凶」と書いている。
「比は吉」の意味は人々が集団生活を送る上では、仲良く親しむことは良いことと言っているのだ。
「筮に原ね」の意味は、神様のメッセジーを聞く道具である筮竹にたずねるように、誠意の心をもって、仲良くする相手を選ぶことなのだ。
三国志の中での諸葛孔明も当時、主人である劉備を選ぶのにも、長い時間を要したものだ。
私たちも自分が親しみたい人を選ぶのも慎重に考える必要があるのだ。
「元永貞(げんえいてい)にして咎なし。」の意味は追随・親しまれる側としては、大きい度量をもって、久しく、貞正に(公正に、合理的に)人と関わるのであれば咎なしと言っているのだ。
会社が有名になったら、その会社の社員になりたい人がたくさん応募して来るように、能力がある人の元には、追随したい人がたくさん集まるものだ。
そこで親しまれる側としては、長らくいつも同じような平和な態度で人と接することが大事だと言っているのだ。途中で態度がコロコロ変るようであれば、それは大きい度量の人とは言えないのだ。
面白いところは、「寧(やす)からざるもの方に来る」なのだ。地位の高い人が衆と親しもうとすれば、心の落ち着きを得ない人、何事も不安定な人がこぞってやってくる。それが「寧からざるもの方に来る」なのだ。しかし、そもそも自ら親しみに来る人は、何か自分に足りないもの(不安定なもの)があるから来るものであって、生活が安寧して、幸せであれば求めて来る必要もないのだ。そのような人たちを理解して安定させていくのも、親比(しんひ)される君子の役目だと言っているのだ。
「後夫(こうふ)は凶」は、どの国、町、会社、団体でも、受け入れる許容範囲があるもの。だからこそ良い人と親しむなら、くずくずせずに早く行動することが大事なのだ。
善は急げと言うが、良いチャンスはいつでもあるものでない。何事もタイミングを掴めるかどうかが運命を決めるのだ。
さて、一つの会社の中で、全員気持ちを一つにして、仲良く親しむことは果たして良いことだろうか?
もちろん仲良くなることは良いことだが、少しくらいの雑音があった方がむしろ良いのかも知れない。なぜなら一つの性質のものでは変化が起きないのが陰陽・宇宙の法則だからだ。全員一斉にリーダのやり方に賛同していたら、会社はそれ以上の進化は望めない。異なる意見を出す人がいるからこそ、リーダも慎重に物事を進め、工夫を重ねるような努力をするのだ。
人々が親しむことは良いことだが、時々その反対があるからこそ、久しく人類の文化が続いているのかも知れない。
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