「そんな簡単になられては困るのです」
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:島田 弘(ライティング・ゼミNEO)
「そんな簡単にプロになられては困るのですよ。異業種から、ちょっと勉強したくらいで結果を出されてもねぇ」
これは数年前、私が所属していたある協会の代表者に言われた言葉だ。
プロというものは、長い時間をかけて学び、技術を習得し、体験を経て、やっとプロになれる、という大前提をお持ちなのだなと感じた。
「ひょっとしたら、一万時間の法則を、今も大切にされている方なのかもしれない」と思った。
私が「一万時間の法則」を知ったのは、パーソナルトレーナーという仕事で起業し、いろいろなセミナーなどに通い、ビジネスの勉強をする中でのこと。
ちなみに「一万時間の法則」とは、ある分野でプロレベルになるために必要な、練習や勉強をする合計時間のことだ。
一万時間を費やさなければ、プロにはなれない、一流にはなれないという考え方である。
この法則を知った私。真面目に計算した。
「1日1時間で30年かぁ、1日3時間なら10年。よし、10年やるか」
その後、私が実際に1万時間を費やしたかどうかと言えば、
YESであり、NOである。
ある1つの分野において、プロになるために一万時間を費やしてはいない。
プロになっていく過程で、仕事の時間、仕事について考えている時間を含めれば
一万時間は余裕で超えている。
その一万時間の中では、他の分野から学んだこと、これまでの人生で経験してきたこと、体験したことなども利用している。
それまでの人生の中で、さまざまな経験や体験があったからこそ、理解するまでの時間が短縮されたり、より深く理解できたりということも多い。
一万時間の法則が発表されたころは、確かに、プロになるためには一万時間が必要だったのかもしれない。
私が初めて一万時間の法則の話を聞いた時も、「一万時間かどうかは別として、それぐらいの時間が必要なのだろうな、一流と呼ばれるプロフェッショナルになるためには」と、なんとなく納得した。
今は違う。
この法則が世の中に発表された時と、今では、いろいろなことが違いすぎるからだ。
インターネット、これだけでも十分な理由だ。
画像、動画、オンライン、それらに関係する機器等の違い。
昔は文字だけ、ひょっとすると師匠や先生からの話だけで学んだのかもしれない。さらに職人の世界でよく言われる、師匠から盗む、みたいなやつだ。
しかし今は、何かを学ぼうとすれば、YouTubeを筆頭に、プロフェッショナルの人たちが発信しているコンテンツを、いつでもどこでも学ぶことができてしまう。しかも無料のものも多い。
ということは、昔と比較して、何から学ぶかも選択できるし、誰から学ぶかも選択可能、どんな習得の仕方をするのかも自由というわけだ。
人間の情報処理に関して、こんな話を聞いたことがある。視覚と聴覚を優位に情報処理を行う人が、100人中85〜90人。意味などを考え理解していくタイプが10から15人。そして1人くらい、感覚だけで理解する人がいるそうだ。
仮にだが、最後のタイプの人たちにとって、この法則が知られた頃は、本で情報を得るという学び方くらいしかなかったのではないか。
そんなことを考えると、このタイプの人たちは、昔は、芽が出にくかったと考えられるのではないか。
しかし、今は、自分に合った学習方法を選択できる。そして、自分に合った学び方と教科書が手に入れば、あるレベルに達するまでの確率は高まり、
そのための時間や労力を圧縮することができる、と私は実感している。最後のタイプの人にとっても、誰にとっても、良い時代になった。
地頭の良さ、要領の良さのようなものも少しは関係するのかもしれないが、情熱を持っていれば、プロになるための確率を高めることができる環境が揃っている時代だ。
今の時代において、いろいろなことに興味がある人は、その興味のある分野に全て手を出し、そして全てにおいてプロ級のレベルに達してしまう人も、私の知っている限りでも何人もいる。
一見すると、全く別の分野を学んでいるように見えるのだが、よくよく話を聞いてみると、それまでに学んだことが生かせたり、また逆に、今学んでいることが、これまで学んできた事に生かせたり、想定していなかった相乗効果を強調される方が多い。とても興味深いことだ。
例えば、絵に関して一万時間を費やすAさん。
それに対して、絵に興味を持ち、2000時間ほど学びと実践をしたところで飽きてしまい、次に興味が出てきた写真に変え、またそこで2000時間。また飽きてしまって次はパン屋。
ということを繰り返し、5つの分野でそれぞれ2000時間、合計1万時間を費やしたとする。
絵で学習したことは、写真でも生かせる。
写真で学習したことは、絵でも生かせる。
絵と写真で学習したことは、パン屋でも生かせる。
もちろん、何をどう生かせるのか、どのくらい生かせるのかは、本人次第なわけだが、5つ全てがゼロからのスタートではない、ということは間違いない。
そして、ゼロからではない、というところが何かポイントになっているような気がする。
全く違った分野に見えても、それぞれ何らかの関係性があったり、関係性を生み出したり、そうやって理解が深まっていく。さらに視座や視点にも影響を受けるだろう。
この時代においての、私が考える一万時間の法則はコレだ。
一万時間 ÷(情熱✕自分にあった学習法✕学習量)
つまり、自分にあった学習法をアップデートさせ続けている人にとっては、情熱のある分野すべてにおいて、プロになれる可能性が高い。
そんな仮説を持っている。
1つに絞らなくていい、いや、1つに絞らないほうがいい時代な気がする。
***
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