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ライティングから得たのは、忘れかけた自分だった。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:冨井聖子(ライティングゼミ4月コース)
 
 
ライティングゼミを受け始めて、もう終わり際。
残りあと2回の課題提出となりました。講座は全て終了している今日この頃。
 
2000文字という、なかなかな文章量。しかも毎週提出。
こんな講座を、よく受講しようと思ったな、と内心でツッコミをいれた日もあった。
 
人に見せる文章を書き出す習慣は、実は、私になかった。
FacebookやInstagramなどのSNSを使って書いていたが、写真があったり、付け加える短い文章だった。2000文字という長文と、向き合うことなどなかったのだ。
 
ライティングって、どうやってするんだろう?
 
申し込む前に調べた。
2000文字、と検索すると「5分程度のスピーチ」とGoogle様が教えてくれた。
音声入力を使って、語れば良いんだ。
それだったら、私にもできる。
文字をきちんと打ち込むのは難しいけれども、1つの話題について語るならできる。
ネタさえ見つかれば書ける、と思ったのだ。
 
でも実際は、そんなに甘くない。
ライティングは、自分と向き合う作業だったから。
 
毎日が慌ただしく流れていく。
小学生の2人は怪獣のようだし、仕事だって自分で作り出している。その上、家事もほとんどしている。そして出張の時もある。
その中で、自分と向き合うタイミングや自分を見つめる時間がないのだ。
ちょっと時間があったり、ゆっくりできるとわかると、脳みそは休止状態にしたくなる。頭を使わなくても、できることをしてしまう。気軽なネットの小説を読んだり、漫画を読んだり、自分のやりたい事に時間を投資していく。
でも課題提出があるから、自分の中にある気持ちを引っ張り出してくる作業はサボれない。
せっかくお金を出しているのだし、毎週の課題提出は頑張りたいと決めていたから。
 
毎日が、ネタ探しの日々である。
主人との関係も考えるようになった。
親との距離も考えた。
友達との関係を考えたこともある。
なんでこの言葉にモヤモヤするんだろう、という私の気持ちをそのまま書いたこともあったし、日常のちょっと面白かった出来事を書いてみたりもした。
過去の恋も思い出した。
 
自分は、たいしたことない人間だなぁ、と、思っていたけれど。
ライティングゼミを通して、切り取り方次第なんだと気づくようになった。
 
読んでよかったと思われる文章を書く。
最後まで閉じられない文章を書く。
共感してもらえるような文章を書く。
要は、文章は、相手への思いやりなのである。
 
でも、知らず知らずのうちに、自分自身が書きたいことを、ただつらつら書いていたのは、他でもない私なのだ。ライティングとブログの違いに、押し潰されそうな日もなかったとは言わない。
 
ライティングは、人の顔が見えてくる。その人となりが見えてくる。
雑誌で、モデルさんがコラムを書いたりすると、好きでもなかったのに、いつのまにかファンになったりする。
この人ってこういう思いを持ってるのね。
だったら、これについてはどうやって書くんだろうって、気になってくる。自分から遠いところにいたモデルさんが、とても身近に感じられるのだ。
 
だから、ライティングを通して、ひとつずつ自分を拾いにいってきた。
 
もう忘れてしまった学生時代の自分。
毎日ワクワク、ドキドキしてた自分。
世界の中心は私で、恐いものなんかひとつもなかった。
でも、もう取り戻せないんだなって思っていた過去の自分。
 
でも実は、少し違うと気付いた。
 
心の中には、それがベースにあるのだ。真珠が年月をかけて大きくなるように、最強と思ってた自分が芯にいるのだ。そこに少しずつ経験値という薄い膜が重なっただけなのだ。
子どものときは、笑って遊んで、電池が切れるように1日が終わった。今は、少しだけ先を考えられるようになった。セーブしているのだ。
そんな自分を寂しいと思っていたけれど、今は、それも経験で、きれいな真珠を作っている過程なんだと思って、自分にやさしくなれる。
木の年輪が増えるように、私自身が少しずつ成長した証。
過去の棚卸しとまでは言わないが、ライティングを通して、落としてきてしまった自分を、拾い集める時間になったのだ。
 
正直、国語の成績なんて、平均点にも届かなかった。
文芸部にも所属していたけど、友達に頼まれただけの数合わせだったし、幽霊部員。
担当も詩だったので、こんなに長い文章を書いた事は無い。
 
でも、小さいとき、歌をつくるのが得意だった自分を思い出した。ヘンテコな歌を大声で歌いながら登校していた。高校時代、テストの裏に、たくさんの物語を書いて、時間をつぶしたことも思い出した。シンデレラは戦略家だよなぁ、とか、白雪姫ってしたたかよね、とか、そんな妄想が好きだった。
 
私にとって、大切なものを拾い集めること。
忘れていた自分を取り戻すこと。
ライティングゼミの4ヶ月は、そんな時間になったのだ。

 
 
 
 
***
 
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