メディアグランプリ

孤独な通信受講生が、実は一番オトクなわけ。


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記事:ゆりりん(ライティング・ゼミ)

 

トントン。

 

「失礼します。先生……ここの問題教えてほしいんですけど」

答案用紙を採点している先生の横顔を愛おしく見つめながら、声をかけた。

外からはサッカー部の威勢のいい声が聞こえる。クラスの男子も高校最後の大会に向けて練習がハードになっていると言っていたっけ。

 

夕日が差し込む職員室を見回した。

他の先生方は会議だろうか。

放課後の職員室には私と先生だけ。

 

(ラッキー♪)

 

下を向いていた先生が顔をあげた。

授業中とはなんだか雰囲気が違う。いつもは明るくて笑顔を絶やさない先生だけど、放課後は穏やかで落ち着いた雰囲気だ。なんだかほっとする。

 

 

「どの問題?」

低めの声の優しい口調にドキッとする。

 

 

「ここなんですけど……」

友達に聞けばわかる問題だが、私はいつもあえて放課後の職員室まで足を運ぶ。

だって……。

 

 

 

 

少女マンガをバタリと閉じた。よくある展開の話である。

こんな青春時代は本当にあるのだろうか。

先生と生徒の禁断の恋? 生徒の片思い?

どちらでもよいが、キュンキュンするような先生ってそんな頻繁にいないよな。

 

高校時代を思い返してみると、おじいちゃん先生か既婚者ばかりだった。

女性の先生の方がどちらかというとパワフル。

ある時、社会科準備室に用事があって入ったら、男性の先生方が身を寄せ合って机を並べていた。きっと、この部屋が唯一落ち着く部屋なんだろうなと察した覚えがある。

とても、ドキドキしながら入室する部屋ではなかった。

 

 

こんな高校生活だったからか、先生に対して恋心をいだくことはなかった。

先生が好きだからという理由で、わざと放課後の職員室に行ったこともない。

所詮マンガの世界の話だろう。今まではそう思っていた。

 

 

 

……しかし、ライティングゼミの通信受講をしたら、マンガの中の女子高生の青春気分が味わえたのだった。

 

 

 

ライティングゼミ第2講。講師の三浦さんからこの講が最も重要だと聞いていた。

重要な講だからこそ、私は池袋の天狼院書店で受講するかを迷っていた。

 

キックオフ会、第1講ともに天狼院書店に実際に足を運び受講していた。

書店に行けば講師の三浦さんのお話が直接聞ける。その場で質問もでき、他の受講生の方たちとの交流もある。普段仕事をしていると、他の業種の方と交流する機会は少ない。しかしここでは畑違いの仕事の話が聞けて自分の世界が広がるのだ。

 

でも……。このままでいいのか。

第1講を終えた後に気づいてしまったのだ。

書店にいくだけで勉強した気になっていた自分に。

仕事を終え、疲れた身体で都内へ向い、書店で講座を受け「今日もがんばった、自分」と。それだけで満足していたのだ。

 

私はライティングの技術をあげに、この講座に申し込んだのだ。受講料だって安くない。

もとを取らなくてどうする!

第1講のときに、三浦さんが言っていた。

「通信受講生の方がメデイア掲載率が高いんですよねー」

 

なるほど。

書店に行けない分、必死になるのかな。

だから、掲載率が高いのか。

通信受講もありだな。

 

重要な第2講の日。

颯爽と仕事をあがり、下り電車にのった。池袋へは向かわず、帰宅したのである。

夜の満員電車にエネルギーを使うのだったら、その分通信受講にささげようと決意したのであった。自分の部屋だから、もちろん自分ひとりである。今まで他の受講生と会話をしていた時間に

家にいるもんだから、なんだか授業をサボっている子供のような気持ちになり、心細かった。

 

 

18時30分。授業開始まであと1時間。

洗濯機をまわし、夕飯を食べたらあっと言う間に19時。

 

そろそろMacを立ち上げよう。事前に送られていたYoutubeアドレスにログインしたら、すぐに

受講の画面になった。そこには三浦さんがいた。画質もきれいで、しっかり黒板も見える。

なかなかいいぞ。通信受講は映像が不鮮明なのではと疑っていたが、覆された。

 

画面の中では書店に早く来店した人用のミ二講座を行っていた。

音を聞きながら、重要そうなことをノートにメモをとりつつ、洗濯物を干し終えた。

家事をしながら、ミニ講座まで聞けるのってめっちゃ効率いいじゃん!

 

19時30分。講義スタート。

それまで視野に入っていた洗濯物や掃除機が気にならなくなり、まさにそこは天狼院書店

となった。三浦さんの説明を聞きつつ、ルーズリーフにポイントをまとめる。

まわりに誰もいないからこそ、すごく集中できた。

 

時々チラッとこちらを見る三浦さん。書店にいる人だけでなく、通信にも気を配っているのが伝わる。書店にいたら、わからなかった表情も見ることができた。

ケラケラと笑うこともあれば、ふとした真剣な表情。

話すときとパソコンをいじるときでは表情がまるで違う。積極的に参加者に質問し、参加者巻き込み型の講座にしている。

 

参加者同士のワークのときには、カメラの向きを変えるようスタッフに指示。

それまで黒板の方を向いていた映像が、参加者の方に変わった。

なんという、気配り!

 

書店にいるときより客観的に講座を受講できた分、前回よりもノートをうまくまとめることもできた。自分の気づきもプラスで書けた。

 

なにより一番良かったのは、三浦さんと1対1で講座を受けている感覚を持てたことだ。他の参加者の方は彼の小さい表情の変化や心配りに気づいていないだろう。

気づいているのは……私だけ。

ちょっとした優越感を持った。みんなが知らない彼を私は知っている。

 

 

ああ、通信受講いいかもしない。むしろメリットの方が多いのでないか。

もう一度みんなが知らない彼を見たい。誰にも邪魔されず、私と彼だけの空間。

 

 

19時になったら誰もいない自分の部屋の廊下をあるき、「トントン、失礼します」とMacを立ち上げるのだ。「今日はどんな表情を見せるのかな」とドキドキしながら YoutubeのURLをクリックする。うつむいている彼が顔をあげてこちらを見る。きっと真剣に1対1で向き合ってくれるだろう。

 

 

あえて放課後に、先生に質問をしにいく女子高生の気持ちが分かった気がする。いつもと違う先生の表情をひとり占めしたかったのだろう。私だけ知っているという、ちょっとした独占欲の現れだ。社会人になってから、高校生の青春気分を味わえるなんて思ってもいなかった。

 

 

ライティングゼミの通信受講。

集中できる空間でライティングの技術を学び、ノートをまとめ理解をぐっと深めることができる。さらには、女子高生の青春気分までも味わえるのだ。

なんとお得なんだ……!

通信受講生のメディアグランプリ掲載率が高かったのは、こういう理由からなのか。

 

次回はどんな表情を見せてくれるのだろう。第3講でも部屋でひとりで受講するのが楽しみである。

 

 

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2016-10-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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