秋の味覚は天使か、はたまた悪魔のささやきか
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:飯髙裕子(ライティング実践教室)
あの黄金色につやつやと輝くしっとりとした画を見たらだれでも食べたいと思うに違いない。特に女性でこれが嫌いという人は、いったい世の中にどれくらいいるだろうか?
私の知り合いでは、あまり聞いたことがない。
代表的な秋の味覚、焼き芋。
昔はイメージ的に、落ち葉をかき集めた焚火の中に放り込まれて皮が焦げたサツマイモが割ってみるとホクホクで甘―いおいしさを醸し出すという感じであった。
石焼き芋という呼び方が一般的で、何やら遠赤外線で焼くサツマイモはとってもおいしくなるらしいと思っていた。
だから、女性には人気の焼き芋は、男性にはあまり受けが良くなかった。今でも、普通のサツマイモは男性陣ではあまり好きという人に出会わないからだ。
実は、私はサツマイモや、カボチャ、栗とホクホク系が大好きだった。
ホクホクのカボチャを焦って食べて、食道をぎゅうぎゅうと押しながら胃に落ちていくときの何とも言えない苦しさを経験している。
高齢になったら絶対にのどに詰まって死ぬだろうと自分で確信したくらいだ。
実に危ない。
そういうホクホク系としっとりねっとり系の種類がサツマイモにはある。
元々サツマイモというのは、中米が原産らしいが日本に入ってきたのは中国からと言われている。
薩摩藩が最初にその栽培を始めたことから、サツマイモと呼ばれるようになったという。
焼酎を作るために使われたサツマイモの種類はいわゆるホクホク系で今よく目にする種類は「紅あずま」や「鳴門金時」などがある。
最近ではそういうホクホク系よりもしっとりねっとりの「安納芋」や「紅はるか」などが人気である。
特に焼き芋にすると糖度が増して絶品の焼き芋を味わうことができる。
焼き芋があんなに甘くてねっとりとするのには理由がある。
サツマイモの主成分はでんぷんだが、サツマイモに含まれる消化酵素がこのでんぷんを麦芽糖に変化させるのである。
でんぷんは、加熱することによって柔らかく糊化するのだがその温度は、70度くらいといわれていて、その温度をサツマイモ全体が糊化して酵素で麦芽糖に変化するまでキープすることが必要なのである。
だから、ゆっくりと一定の温度で加熱することによって、ねっとりとした極上の焼き芋ができあがるのである。
いろいろとサツマイモは食べてきたが、私の人生史上ナンバーワンと言えるのは、今のところ壺焼き芋である。
壺焼き芋は、それを作っているところで壺の素材は違っていたりするが、陶器の大きな壺の中に専用の金具で、サツマイモを宙づり状態にして下から炭火で熱を送り蒸し焼きにするというイメージの製法である。
その温度が、サツマイモのでんぷんを糊化させるのに最適な70度くらい、そしてゆっくり、じっくりと全体に熱がいきわたるように加熱する。
この製法の不思議なところは、皮が黒く焦げたりせず、中身と一緒にするすると食べられてしまうところである。
さらに、サツマイモの繊維がほとんど感じられないことだ。
普通サツマイモは食物繊維が豊富であることを証明するかのように、端のほうだけでなく真ん中でも繊維質の存在をアピールしている。
けれど、壺焼き芋は、その繊維がほとんど感じられなかった。
スプーンですくう時に全く繊維が当たらなかったのである。そしてとろけるような触感とサツマイモだけの自然な甘さ。一口食べたらとりこになること間違いなしなのである。
それは、サツマイモが好きな女子の話でしょ、と言う方がいるかもしれない。
違うのだ。私と一緒に壺焼き芋を食べたサツマイモ嫌いの男友達が、「うまーーい」と言いながら、私の横で完食していたのだから間違いない。
お芋の嫌いな男性もぺろりと完食してしまう壺焼き芋。
まさに、究極の絶品焼き芋と言っても過言ではない。
この壺焼き芋、嬉しいことに全国各地に店舗があるのだ。
同じ店舗ではないのだが、陶器の壺で焼く製法は同じようである。
信楽焼や常滑焼など、専門店ではよく使われているようである。
私は、一度近江八幡で食べてあの味が忘れられないでいる。
この秋も深まってきた今日この頃、紅葉も素敵だが、何としても壺焼き芋をまた食べたい。
ねっとりしっとりの焼き芋なら、ほくほくの焼き芋のようにのどに詰まらせる心配もないではないか。
大手を振って食べられるというものだ。
サツマイモが好きな方は、幸せに酔いしれることができ、好きでない方は、ほんとに自分がサツマイモを嫌いだったのかと疑いたくなること間違いなし。
さて、今回はどこの壺焼き芋を食べてみようかと真剣に悩む私なのである。
いやしかし、食べすぎには要注意かもしれない。
***
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